学校の先生方へ「知ってほしい…病気の子どもたちのこと」①

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

本記事は、赫多久美子(かくたくみこ)さんによる全10回連載の第1回目となります。

この連載で扱われるケースは全て赫多さんのご経験などを基にした架空のお話です。

1 第1回 A君の入院

職員朝会を終え、出席簿を持って職員室から教室に向かいます。階段を上りながら欠席しているA君のことが気になります。昨日、お母さんから「近所のお医者さんから一応大学病院で検査をするように言われたので、これから紹介状を持って出かけます。痛みが引かないので、たぶん明日もお休みします。」と学校に連絡があったのです。

A君は明るく元気なサッカー少年。心優しくちょっとひょうきんなところもあり、クラスの人気者です。3日前の体育の時間、ランニングの最中に右足が痛いと言って、珍しく途中から見学していました。特に転んだり、ぶつけたりした記憶はないとのこと。保健室で湿布を貼ってもらいながら、「一度、整形外科に行って診てもらった方がいい」と養護教諭の先生に言われたのでした。

地域のサッカーチームではレギュラーだし、頑張り屋だから練習のしすぎかな?でも最近、ちょっと元気が無いなぁとも思っていました。もしかしたら、前から足に違和感があったのかな?日焼けしたA君の顔を思い浮かべながら、明日からは登校してくれるといいなと考えていました。

その日の放課後、お母さんから電話がありました。

「先生、実はAが入院することになりました。まだ精密検査の結果が出たわけではないのですが、しばらくかかりそうです。今、大学病院からかけています。私もまだ混乱していて…すみません、またこちらから連絡しますので。」

電話の向こうのその声から、ことの重大さが伝わってきます。

(しばらくって、いったいどれぐらい入院しなくちゃいけないの?精密検査って、どういうこと?)

でも、今はお母さんにそんな質問など、とてもできないと感じました。

「分かりました。お母様も突然のことで大変ですね。A君のために何か私にできることがありましたら遠慮なく仰ってください。連絡をお待ちしています。」と言うのが精一杯でした。

担任している子どもが入院するという経験をされたことがありますか?

長く教職に就いていても、クラスの子どもが長期間入院する事態は、それほど多くあることではありません。でも、上記のケースのように元気で学校生活を送っていた子どもが、突然重い病気になってしまうことはあり得るのです。A君の担任の先生は、入院の第一報を受けた時に、お母さんにとても大切なメッセージを伝えることができました。大変な状況の親御さんを思いやり、A君のために力になりたいと申し出たのです。このような対応がどれほど親御さんにとって心強いものか。また直接声をかけられなくても、先生が心配してくれていることはA君に伝わるはずです。この心のつながりが、その後のA君の入院生活を支える大きなサポートになることを知っていただきたいのです。

病気の子どもたちに対して担任としてできることは何か、これから皆さんとご一緒に考えていけたらと思います。

第2回 保健室で

http://edupedia.jp/entries/show/1480

2 投稿者プロフィール

赫多 久美子 (かくた くみこ)
元都立特別支援学校病院内分教室・訪問学級担任。
現在は大学非常勤講師として教員養成に従事。

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