学校の先生方へ「知ってほしい…病気の子どもたちのこと」⑧

GOOD!
4432
回閲覧
15
GOOD

作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

本記事は、赫多久美子(かくたくみこ)さんによる全10回連載の第8回目となります。
 第1回『A君の入院』  http://edupedia.jp/entries/show/1415
 第2回『保健室で』  http://edupedia.jp/entries/show/1480
 第3回『校長室で』  http://edupedia.jp/entries/show/1518
 第4回『靴箱の前で』 http://edupedia.jp/entries/show/1548
 第5回『教室で』   http://edupedia.jp/entries/show/1568
 第6回『メール』   http://edupedia.jp/entries/show/1682
 第7回『お見舞い』  http://edupedia.jp/entries/show/1734

この連載で扱われるケースは全て赫多さんのご経験などを基にした架空のお話です。今回は前半は「学級だより」、後半では「学年会の報告メモ」という形を取っています。

1 第8回 学級だより

第3回 テレビ会議交流
ーA君による「病院で働く人々」の発表ー

インターネットを使用したテレビ会議システムによる あおば学級との交流も3回目になりました。
子どもたちはモニター越しの会話に慣れて、とても自然に話し合っていました。画面に映るA君の発表を聞く子どもたちは真剣そのもので、質問タイムでは、たくさん手が挙がりました。また、A君が病院に関係するクイズを出題して、全問正解者に賞品贈呈というサプライズもありました。
このセッションの様子はビデオに録画してありますので、保護者会でご覧いただこうと思います。
では、子どもたちの「ふり返りメモ」のいくつかをご紹介します。

「A君と久しぶりにテレビ会議で会いました。手術が成功してよかったです。切ったところは糸でぬうのじゃなくて、ホッチキスみたいなものでとめて、傷がくっついたと聞いてびっくりしました。手術中は麻酔で眠っていて全然痛くなかったけど、翌日から傷の消毒があって、それがすごく痛かったと聞いて、かわいそうだと思いました。A君は笑いながら言っていましたが、その時は大変だったと思います。きっと私だったら泣き出していたと思います。A君は何回も消毒に耐えてすごいなと思いました。」

「 クイズコーナーで、全問正解者の5名になって嬉しかったです。その中でA君とのジャンケンに勝ち残った人に賞品があるというので盛り上がりました。私は2回目で負けてくやしかったです。A君が春野先生を呼んで青い箱を出しました。先生がモニターに向かって手を出して、こちらに向き直ったら同じ箱を持っていてマジックかと思いました。箱の中にA君の手作りミサンガが入っていて、優勝したリョウマ君が『やったぜ!』と喜んで、画面の向こうのA君とエア握手をしておもしろかったです。」

「ぼくはA君の発表を聞いて、病院で働く人が医師や看護師以外にもいろいろあることを知りました。薬剤師や栄養士の仕事はだいたい知っていましたが、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、CLS(チャイルドライフスペシャリスト)については、あまり聞いたことがありませんでした。すごく勉強になりました。それから、A君の主治医の先生の「生放送 スペシャルインタビューコーナー」がとても良かったです。中学生の時に弟が病気で入院した経験から、将来は小児科の医者になると決めて、苦手だった数学も一生懸命勉強したという話に感動しました。A君は、マイクを持ってテレビ局のレポーターみたいでした。
またテレビ会議でA君と話したいです。でも、早く出張から戻ってきて欲しいし、やっぱりリアルA君と教室で一緒に勉強したいです。 」
注) クラスでは、「A君はあおば学級に出張中」と言っています。

<学年会報告用メモ>

予定通り、7月×日に右足の手術、無事終了
手術後の経過は良く、傷の痛みも比較的早く収まった

お母様から連絡あり: 抜糸も済んで、落ち着いた
8月×日、深見先生とお見舞い
ベッド上で元気に話をしてくれた

保護者、あおば学級担任が同席して、主治医と担当の理学療法士と面談
復学後の学校生活、修学旅行について

復学の見通し
順調にいけば10月中旬には退院し、その後は外来治療
それまでに2、3回の外泊予定
修学旅行に参加の方向

骨折厳禁
退院後もしばらくは、車椅子での移動 自走できる
骨や筋力の回復は個人差が大きい
家庭内では様子をみて松葉杖歩行も可

学校では他の児童との接触により転倒する危険があるため
しばらくは車椅子移動を原則にし、様子をみた方がよいとの見解
校内の各階への移動は給食用エレベーターを使用
(校長先生より教育委員会に打診 許可済み)

左足の筋力は鍛えて保持しなければならない
松葉杖で安定させて、左足に体重をかけることは可
洋式トイレへの自力移動は現在でもできる

深見先生と校内の車椅子対応の確認
研修用に車椅子を借りてきて、教員が実際に校内で使って
危険箇所をチェックする必要性あり

…………………………………………………

テレビ会議システムの活用を

インターネット高速回線があれば、病院の中の学校とテレビ会議ができます。リアルタイムの動画交流で、病院と学校の距離はグッと縮まります。
 情報教育担当の先生に相談して、是非実現して下さい。

受け入れ態勢を整えるのに早過ぎはありません

学年集団で情報を共有し、復学に向けて早め早めの対応を心がけてください。主治医の許可があれば、修学旅行など大きな行事にはできるだけ参加の方向で受け入れ準備を進めてください。

どうしたら参加できるのか、関係者で知恵を絞れば、子どもにとって最善のプランニングができるはずです。

第9回 復学支援会議

https://edupedia.jp/article/53b1576b03de53289d165e03

2 投稿者プロフィール

赫多 久美子 (かくた くみこ)
元都立特別支援学校病院内分教室・訪問学級担任。
現在は大学非常勤講師として教員養成に従事。

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。