掃除を「子どもを伸ばす場」に 2

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目次

1 掃除がうまくいかない

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学年はじめに子供たちの掃除の様子を観察しました。1日目、2日目ぐらいはやる気と緊張が手伝って、一生懸命にやっているように見えたものの、だんだんとだれ始め、1週間後、2週間後と、どんどん悪くなっていってしまいました。掃除場所を離れる、友達と遊ぶ、けんかを始める、キレ苦なっていない、後始末をしない・・・・・。何が原因なのでしょうか。
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1.学級や学校をきれいにしようというモチベーションがない
2.掃除が下手
3.家庭で掃除をした経験に乏しい
4.分担ができない
5.すぐにふざけてしまう
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岡先生の↓
「掃除を「子どもを伸ばす場」に
に、触発されて、追随する形で記事を書いてみます。ぜひ岡先生の書かれている「拭き掃除」「掃き掃除」の指導を試してみてください。
また、雑巾・ほうき・傘などをきれいに収納させるのも大事な指導であると思います↓。
ユニバーサルデザインな掲示 ~ 百聞は一見にしかず

清掃がきちんとできるかどうかは、学級・学校のバロメーターでもあり、これがきちんとできている場合、学級は荒れにくいと思います。
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2 6年生でもできない場合も・・・

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岡先生の記事に書かれてあることを、低学年から教師が継続して指導してくれている場合は、高学年になると掃除の腕前に磨きがかかりますし、少々途中の学年で教師が指導をサボっても、なかなか崩れないです。ところが、低学年の教師、あるいは歴代の教師の中に、指導がきちんとできていない教師の割合が高い場合、高学年になると掃除がでたらめになってくる場合があります。いや、場合によっては高学年になるほどひどく乱れてきます。
「清掃指導は放置して教師は仕事をしていても学年が上がるほどに掃除は上手になり、黙々と頑張った」などというのは1990年代の前半までの状況です。
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「●年生なんだから、掃除ぐらい自分たちで頑張るだろう。」
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などと、油断をしていると、ずるずると掃除の時間は崩れていきます。掃除が崩れることは、学級や学校の荒れにつながり、危険です。「学級崩壊」現象が顕著になり始めたあたりから、子ども達の中で、「教室全体をきれいにしようという意識」が低くなってきており、「時間が終わるまで、なんとなく箒や雑巾を持って過ごしておけばよい」といった雰囲気で掃除に臨んでいる子どもが増えてきたように思います。放置していれば、教室の隅から蛇行して掃くことができず、教室の真ん中から好きな所を真っすぐに掃く子どもがほとんどです。
トラブルが多い子供には「上手で熱心に掃除をしている人を見つけて、勉強してね」という事にして教師のそばで掃除見学をしてもらうのも一つの手段です。そんなことをするのは残念なのですが、暫定的措置として掃除はきちんとやらせないと、「荒れ」につながる危険があります。
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箒を持てば自然と体が隅から隅まで掃くように動くぐらいに鍛えていきましょう。
きちんとした指導の積み上げがある中で学年が上がってくれば、低学年の様にたっぷり時間をかけてやる必要はありません。ただし、6年生であったとしても、ひと通りのやり方を確認する時間はとるといいと思います。
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3 黙動

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掃除の時間に放送委員会などが音楽をかけている学校はありませんでしょうか。学校によっては、子どもがその音楽を聞きながら、黙々と掃除をしています。そうなると、情操的にも非常に効果があると思います。
しかし、そうでない場合もあります。音楽がかえってうるさい、子どももしゃべっていてうるさい。「うるさい」の相乗効果で、掃除をしているどころの状況でない学校もありました。そういう場合は、一旦音楽を止めて、「黙って掃除をする」を徹底する所から始めなければなりません。本当に「一言もしゃべるな(黙動と呼ぶこともあるようです)」で押し通すのもいいですし、「必要な場合以外は基本的にだまってする」と少し「ゆるめ」でやるのもいいでしょう。
「もくもくそうじ」「もくもくせいそう」などと、名前を付けるのもいいと思います。
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4 暇を与えない

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学級が荒れている状態では、清掃中にべらべらしゃべる、追いかけっこやチャンバラが始まる、誰がサボった、ここは私の分担だ(分担ではないだ)とトラブルが連発し、教師も子どもも掃除の時間が苦痛にさえなってくる場合があります。きれいになってさっぱりするどころか、掃除がストレスの原因になってしまうケースです。こういう場合は、とりあえず立て直しを図る必要があります。前述した「黙動」を取り入れるのもひとつの手段でしょう。
「掃除が終わったら、どうするのか」
を、はっきりさせておきましょう。他の終わっていない場所を手伝うことにしておくと、よいように思えるかもしれません。ところが、手が余って逆に邪魔をしてしまうこともあります。そんな状態であるなら、暇を与えてはいけません。
掃除が始まって●分までは何があろうとやめずに頑張る。それが終わったら、自分の机が運ばれるまで机運びを手伝い、自分の机が運ばれたなら座って読書等をする。適当に掃除を終わらせたら楽と思わせないように、「先生は座っている人に、特別作業をお願いする事があります」などという取り決めをしておいた方がいいと思います。
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ごみ捨ては誰が行くのか。バケツの水替えは誰がするのか。「ごみ捨てジャンケン」さえできない学級崩壊状態を見たこともありました。ジャンケンができない場合は、あらかじめ誰が行くのかを決めておく必要があります。細かい分担(場合によってはどの机を運ぶのか、拭くのか)までこちらが決めておき、とにかく作業がスムーズに流れる状況を作る必要があります。
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場合によっては清掃の分担箇所が少なく、手余りな状態で掃除が面白くないという状況もあるかもしれません。2人でできるようなことを6人も7人もの子どもでやっている場合は、仕事を増やすなどして、何か対策を取る必要があると思います。仕事は少数精鋭が基本です。
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5 画像で共有

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口うるさくののしる必要はありませんが、何年生になっても根気良く、何度も、できるまで指導を重ねていくことが大事だと思います。
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写真を使ってルールを確認すると子どもは理解しやすいですし、くどくど口で言うよりもスピーディーです。添付ファイルに以下の写真を入れています。できれば自分の学校のケースに応じて取りなおしてあげてください。こういった画像を映し出すのにはプロジェクターとパソコンがあるのが最善ですが、プロジェクターがなくても、TVやDVD・にSDカード等のスロットがあれば、簡単に映しだせます。そういう環境がない、あるいは邪魔くさければ、紙芝居にして共有しましょう。いくつかの画像は、教室に掲示しておいてもいいでしょう。是非、全校的にこういう画像を共有して、子どもたちが「美しい掃除の仕方」をイメージできるようにしていきましょう。
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6 具体的に指導する

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美しい掃除の仕方をできるだけ具体的に指導しましょう。モグラ叩き的な個別指導ではなく、全員に、細かいところまでしっかり伝えていきましょう。
【教室のはき方0】
・・・残念ながら、今の子供たちには箒の持ち方から教えなくてはならない場合もあります。掃除が上手でないようであれば、先生が手本を見せて、両手でしっかりと持つところから教えましょう。
【教室のはき方1】
・・・一番隅からスタートします。真ん中、好きなところから始めない。
【教室のはき方2】
・・・蛇行するように。または、「東西、西東、東西、西東、(とうざいざいとう)」「北南、南北、北南、南北、(ほくなんなんぼく)」などと言ってイメージづけしていきましょう。

物をどけてはく。黒板と並行に動くように意識づけておきましょう。先生が先頭、その後に子供たちがついて、蛇行する掃き方を教えるのもいいかもしれません。
【教室のはき方3】
・・・ごみを集める場所を決めます。どこか一カ所がいいです。「教室の後ろの真ん中」がスタンダードでしょう。椅子や机などの目的物を置いて、その下に集めさせるのもいいと思います。みんなで一カ所に向かってたくさんごみを集めるのだという意識を持たせましょう。
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【箒のロッカー内での置き方。】
・・・ロッカーにロッカー内の整理された写真を貼っておくといいですね。
【机を真っすぐに整列】
・・・床にマークを付けておくのもいいかもしれません
【机を四角く拭く】
・・・「お好み焼き拭き」は×
【雑巾はしっかり絞る】
・・・拭いた後、びちょびちょは×
【雑巾の畳み方】
・・・ぐしゃっとつかんで持つのは×
【雑巾のかけ方】
・・・きれいに洗って、ピンと伸ばして、洗濯バサミではさむ
【お疲れ様でした】
  ・・・分担場所が終わったら、必ず「これで“チームぞうきん”の掃除を終わります。お疲れ様でした」と班長が言い、全員で「お疲れ様でした」で終わるなどを取り入れても面白いですね。どういう状態になったら「終わり」であるのかも、しっかりと伝えておきましょう。
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7 ほめる

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 「すごいねえ、うれしいねえ、さすが●年生だねえ。」と、仕事を任せられるように育てるのか、「●年生になっても箒をまともに持つことさえできないのか!」と罵らなければならないように育てるのか。清掃のように毎日取り組まざるを得ない活動であるからこそ、心して指導をしていく必要があるのではないかと思います。
 通りがかりでいいですから、教職員が他のクラスの子どもたちにも、「おっ、何年生?上手に掃除ができるねえ」等と、一声かけてあげられる学校になるといいですねえ。ほめる、とにかくほめるが大事です。

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