単元計画と授業づくり~算数の思考力・表現力を育てる~教材研究編

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作成者:大和 信治 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

「授業をつくる」と聞くと放課後に「明日の授業をどうしよう」と考える姿を想像されるかもしれません。私も、初任の頃は授業以外の仕事もある中、しっかり教材研究ができないまま授業を行うという状態が続いていました。
 しかし、初任者研修で「単元計画」という考え方を学び、それをもとに授業を考えていくうちに、見通しを持って授業準備ができるようになりました。教科書や学習内容を1時間ごとぶつ切りではなく、数時間のまとまりのある学習(単元)として捉え、授業を構想します。
 そうやって授業を考えるのは当たり前だと言われるかもしれません。しかし、今でも十分ではないですが、それが全くできなかった自分が、どんな工夫や実践をしたのかを紹介することで何かの参考になれば幸いです。

単元を計画する(算数)

本記事では、私が実践した単元計画の立て方を紹介します。
 取り上げる単元は、以下の3つで、思考力の育成が中心目標です。
小学2年算数

  • 「100より 大きい 数を しらべよう(6月)」
  • 「ひっ算の しかたを 考えよう(9月)」
  • 「1000より 大きい 数を しらべよう(1月)」

 教材研究については主に6月単元、授業展開は6月、1月単元を中心に紹介します。
授業展開①
授業展開②

2 単元計画を立てるための3ステップ

単元計画を立てるには、大きく①「単元の繋がりを知る」②「単元を構想する」③「単元目標を達成するための教材を用意する」の3つを考えます。

①「単元の繋がりを知る」

思考力を育むために、学習の繋がりを掴む

指導案は、教師が考える授業の理想の形ですが、書くだけでそれが叶うはずがありません。また、教師が「これはこういうことです」と伝えて、子どもがそれを受け取ることで目標が達成されるものでもありません。
 知識や技能は教師が教える部分もありますが、考える力や関心を育むには、子どもが考えたくなる課題・手立ての提示が大切になります。そのため、実際の授業で目の前の子どもが何を考え、何を感じるのか、これを想像しながら教材を用意します。
 考えることに関して、「型にはめず自由に考えることが大切だ」と聞くことがありますが、算数の授業では自由ならOKではなく、「既習を生かしているのか」「より分かりやすいか」「単元を越えて有効な考え方か」などの基準をもとに、数学的な考え方を身につけることが大切だと考えます。
 そのために、特に下の3点を明らかにします。

1.「本単元と関連して、今までにどんな学習をしてきたのか」

2.「既習はこの単元とどう繋がるのか」

3.「この単元の考え方は、これからの学習とどう繋がるのか」

①−1、「本単元と関連して今までにどんな学習をしてきたのか」

本単元(100より 大きい 数を しらべよう)と関連して子どもがどんな学習をしてきたのかを知るには、1年生の教科書を参考にします。写真は1年生のプリントです。ここで気を付けるのは、「何を知っているのか・できるのか」だけではなく「どのような考え方をしてきたのか」も考えるようにします。

例えば、1年生の「20より大きい数」「おおきい かず」では、位取りや10を単位とする見方や計算の仕方を学習しているので、2年生と重複する部分は復習という位置づけで授業をすることで、新しい単元の学習も安心して取り組めます。
 「1年生でこんなことやったよね」と言うと、「それやったー!」「なんで知ってるの!?」などの声が聞かれます。算数が好きな子はそれだけで意欲を持ちます。算数が苦手な子には、「1年生で難しかった人は、2年生で少しでも分かるようになると良いね」と励まします。

①−2、「既習はこの単元とどう繋がるのか」

算数は学年間の学習の繋がりが掴みやすい教科だと思います。今回の単元では、1年生の「10を単位とする見方や計算の仕方」の理解を深めたり、それを使って、100より大きい数についての見方を広げたりします。 キーワードは「位で数を捉える」「10のまとまりで次の位に引っ越す」です。単元の数学的な考え方の評価規準として、「230などの数を、10を単位としてとらえることができる」「1000までの数の多様な見方について考え、説明している」があります。

思考力・表現力について、1年生では算数ブロックなどの操作で考え方を身に付けてきましたが、2年生では少しレベルアップして、それを図や言葉で表現できることを目標にします。書くことが増えるので、学校生活全体を通していかに書くことへの抵抗を減らすか、が重要になってきます。「抵抗を減らす」というとネガティブなので、「書くことの楽しんでほしい」と考えます。音・美・体といった実技科目と同様に、自分を表現することは楽しいはずです。算数も、そのような考え方で授業をします。

①−3、「この単元の考え方は、これからの学習とどう繋がるのか」

「小学校の算数は、数の合成・分解、四則計算の基礎など、高学年の内容や数学を考える基礎になる1~3年生の学習が重要だ」と聞きます。
 そのため、2年生の学習が、これからどう繋がっているかを意識して授業をすることで、学年が上がっても算数が苦手だと思う子が増えないでほしい、という思いがあります。

今回の単元では、同じ2年生では主に「ひっ算の しかたを 考えよう(9月)」、「1000より 大きい 数を しらべよう(1月)」との繋がりを意識しました。(授業展開②で紹介)

写真は「100より大きい数」と「1000より大きい数」の思考:評価プリントです。
考え方は共通していることが分かります。

他の学年の内容では、3年「10000より大きい数」、4年「小数」と関係します。また、既習をもとにして、自分の考えを図や言葉で表す思考力・表現力については、「割り算」や「割合」など、どの単元にも共通した考え方であり、他の教科にも繋がる力です。
 新学習指導要領解説:算数編には、数学的な思考力・表現力を育てるために、「言葉や数、式、図などを用いて考えたり表現したり、互いに自分の考えを表現し合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れること」とあり、もっと先をみると大学入試の数学にも関係してくるでしょう。

このような繋がりを意識することで、子ども自身が新しい学習をする時に「何年生でやったことと似ている」「あの時の考え方を使えば・・・」と考え、自分で学習を積み重ねていく力にもなりまるでしょう。

②「単元を構想する」

単元名と単元目標

「100より 大きい 数を しらべよう」
〔指導時期〕6月上旬~6月下旬 〔指導時数〕13時間

【単元の目標】
 ○1000までの数について,その意味や表し方を理解し,数の概念について理解を深めるとともに,数を用いる能力を伸ばす。

□関・10や100のまとまりにして数えるよさに気づき,十進位取り記数法と関連づけてとらえたり,計算の仕 方に活用したりしようとする。

□考 ・十進位取り記数法の仕組みを考え表現したり,数を相対的な大きさからとらえたりすることができる。

□技・3位数について,書いたり読んだりするとともに,数や式の大小・相等関係を,不等号や等号を用いて 表すことができる。

□知 ・3位数について,数の読み方や表し方,数の構成や大小,順序,数の相対的な大きさを理解する。

単元全体を掴み、具体的なゴール(評価)を設定する

単元の繋がりを把握したら、次に本単元の構想を練ります。
下の写真は「東京書籍:教師用指導書」より、単元の指導・評価計画です。

教師用指導書の単元計画

教科書会社のHPにも年間指導計画が載っていますので、そちらも参考になります。一般的な指導案の中に書く単元計画はこのような形で良いと思いますが、これだけでは、実際に授業をどう組み立てて、どこで何を評価するのか十分とは言えません。

そこで、下の写真のように、単元の評価(「どんな課題で」「何がBなのか」)を予め設定します。

具体的な評価計画を加える

この作業をすることで、単元のゴールが具体的にみえ、用意する教材や授業の組み立てがはっきりします(教科書のページ順番に進めるのではなく、学習がスムーズに進む順番がみえてくる)。
 評価の設定(特に思考力)は最も難しい部分かもしれませんが、ここがはっきりしないと単元でどんな力が付いたのか、あるいは付かなかったのか、が曖昧になってしまいます。もちろん、この段階ではあくまでも「評価計画」なので、授業後のノートやプリントを見て修正しながら評価していきます。評価課題は次項の教材選びと並行して考えます。

単元前半のイメージ

上の写真は、単元前半の簡単な展開イメージです。本単元では、「位で数を捉える」「10のまとまりで次の位に引っ越す」ということを理解することが単元を貫く大切な考え方になります。
 それらを、実感を持って理解できるように、単元前半は数カードやタイルを使うゲームや活動を中心に進める計画にしました。

③「単元目標を達成するための教材を用意する」

単元の構想が出来上がると、その目標を達成するために授業で使う教材を準備します。

写真は神奈川県大和市教育委員会が作成して無料で使える「プリもん」の縮小コピーです。単元の全範囲プリントを縮小コピーして(写真はA4サイズを4分の1縮小)一覧で見ることで、単元を俯瞰的に捉えることができ、全時間の見通しがよく分かります。そこから、教科書の順序ではなく、「先にこのページを扱った方が良い」という判断もできます。
 本単元は、写真以外にも市販の問題集もコピーして、全部で約20種類のプリントから単元を構想しました。単元末に行う大きいテストも参考にします。

「算数プリモン」とは?
http://www.ed2.city.yamato.kanagawa.jp/archive/primon/whatsprimon.htm

3 おわりに

「教材研究編」では、学習の繋がりや教材の準備の仕方を中心に、単元計画の立て方をみてきました。

「授業展開編」では、その計画が実際にどのように展開していくのか、毎時間の学習がどのようにつながっていくのか、をみていきます。
 評価プリントや児童のノートなどの写真を載せて、具体的な活動をイメージしやすいように記事作成しましたので、続けてご覧ください。

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