「みんな」が百マス計算をできるようになるために(岡篤先生)

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作成者:福山 浩平 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~百マス計算をやらない理由~ 1008号~1014号」から引用・加筆させていただいたものです。
百マス計算を全員ができるようになるための工夫を紹介します。百マス計算をしない子どものなかにも2パターンあり、そのケースごとに紹介しています。
岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

やらない理由

百マス計算は集中して取り組めばほとんどの子がタイムを伸ばします。タイムが伸びることで、ますます意欲が出たり、自己肯定感が高まったり、という好循環が始まります。しかし、やらない、やってもだらだらとして集中しない、そんな子もいます。理由は大きく分けて2つです。

できないからやらない

実は、九九や足し算、引き算がスムーズにできない、という場合があります。それを認めたくないので、あるいは自分では認識していないので、「やりたくない」という言葉が出たり、なぜやらないのか尋ねても返事がなかったり、ということもあります。この場合の対応は簡単です。できるようにすることです。

特訓型と温泉型

百マス計算がスムーズにできない子に指導するには、2つの道筋があります。これを私は特訓型温泉型と読んでいます。

⑴特訓型

特訓型はその名の通り、練習量を増やして力をつけるというものです。ある程度の力はあり、何よりも本人の意欲が高いことが大切です。その子に、「練習したら絶対速くなるよ。やってみる?」と余った百マスのプリントを渡すといったやり方です。

◇特訓型の成果

これは結果は明白です。何より、本人のやる気があって練習量が他の子よりも多いのです。結果は1週間もすればはっきりと出ます。「おっ、山田さん、速くなったね。実は、自分で練習してたんだよね。努力の成果が出たね」と、タイムの伸びと共にみんなの前で努力を認めるような声かけをすることができるはずです。問題は、本人のやる気があまりない場合です。多くの子はこちらでしょう。そういう子に無理矢理、たくさんやらせても拒絶反応が強まってしまうだけ、ということになりかねません。温泉型で対応します。

◇特訓への拒絶反応

温泉型とは、私の試行錯誤の中から出てきたネーミングです。最初は、特訓型にあたることばかりを考えていました。ところが、できない子に無理矢理余分にやらせることで、ますます拒絶反応が出てしまうという失敗を経験しました。そこで、特訓型が誰にでも通用するわけではないということを悟りました。

⑵温泉型

◦楽をさせる

というより、百マス計算をやらない子の中では、特訓型が通用する子の方が少ないというのが事実でした。そこで、問題の数を減らしたり、問題の数字を易しいものに変えたりして、楽にできることをやらせることにしました。これが温泉です。

本当は計算が苦手なために百マス計算に集中できなかったり、反発して「やりたくない」などと言ったりしていた子どもも、温泉につかると気持ちにゆとりが出てまたやる気がもどってきます。この場合の「温泉」とは、楽な問題ということです。

▼温泉のような問題

例えば、みんなは、百マスをしているのに、その子は50マスにする。みんなは、問題の数字を0~9にを使っているのに、その子は0~4までにする。上のようなことを説明して、「どうする?」と尋ねます。今まで断った子はいませんでした。

▼2つの配慮

温泉型に取り組む場合、問題の内容をどうするかということがあります。その子ができる内容でなければ温泉になりません。かといって、ぬるすぎては力がつきません。これこそ、担任のさじ加減です。子どもの実態をまず観察することが大切です。かけ算の場合、九九はどれくらいできているのか。おそくても、正しくできるのか。といったことを把握した上での判断になります。その上で2つの配慮が必要です。

①本人と周りへの声かけ

まず、本人への声かけです。「計算はずっと必要なもので、今頑張っておかないと後で、どんどん大変になるよ。それに、集中してやることも大切でこれも百マス計算に真剣に取り組むと伸びるからね。だけど、今の問題は少し難しくてしんどいみたいだから、易しくしてみたんだよね。だからがんばろうな。これがすらすらできるようになったら、みんなと同じ問題にもどろうね。」と言います。要は、楽を当たり前だと思わずがんばれということを確認しておきます。

②周りへの声かけ

他の子が普通の百マスをしているのに、一部の子だけが問題数や数字が易しい百マスをするわけです。周りの子への説明も必要です。それがないと、「あの子だけずるい」「おれも、楽な方がいい」とせっかくの配慮がマイナスに働きかねません。

▼「応援してあげて」

他の子にも説明をします。「川本さんは、とても計算が苦手です。みんなと同じ百マスをしていましたが、なかなかできません。そこで、先生と川本さんで相談しました。もう少し易しい問題から練習して、速くできるようになったらみんなと同じ問題にもどるようにしたいと思います。川本さんは、それで一生懸命がんばると約束しました。みんなも、『ずるい』とか『それがいい』とか思わないで、応援してあげて下さい」これで、他の子も納得するはずです。

▼温泉型で力をつける

普通の百マスではその子の実態に合っていない場合もあります。タイムがなかなか伸びなかったり、間違いがたくさんあったり、やる気を見せなかったり、といったことから分かります。そんなときはこれまでに書いたような配慮をすることで、力をつけることがよくあります。

▼温泉から上がると

不思議なもので、しばらく温泉型で楽をして(本人なりにはがんばっているわけですが)力をつけてもどってくると、けっこう他の子と互角のタイムになっていることもあります。遠回りしたようで、結局、地道に進んだ方が早かったということになります。ここまでくれば、百マス計算は苦痛ではなく、心地よさを感じる時間とすることができます。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。(2016年月日時点のものです)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

ここでは百マス計算をできないという子どもを出来るようにする工夫を紹介しました。百マス計算を嫌がる子どもにも2ケース存在していて特にここでの「温泉型」が必要な子どもが多いということも書かれています。
これは百マス計算は勿論、そのほかの教科の勉強にも当てはまるのではないでしょうか。そこでこの工夫を応用してみてはいかがでしょうか。

(文責・編集 EDUPEDIA編集部 福山浩平)

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