小学校英語『We can!』10のネタ 〜Small Talkから所見文例まで〜

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目次

1 はじめに

本記事は、2018年5月12日に行われたEDUPEDIAスペシャルセミナー「新教材『We can!』10のネタ〜明日使える。誰でも使える。〜」を記事化したものです。今回のセミナーでは、古賀真也先生が自身の実践例をもとに発表を行いました。明日からすぐに使えるネタを盛り込んだ記事内容となっています。

関連記事も合わせてご覧ください
「小学校外国語教育~次期学習指導要領で必要な指導力~」
Let’s Enjoy Our English Dramas!

2 10の実践ネタ

①授業の型

いきなり英語の授業をやれと言われても、何をしたらいいのか悩みますよね。
まずは、同僚の先生から助言をもらい、授業の型を作ってみました。
もちろん、型にはめて授業を行うことは、クリエイティブさに欠けてしまう点もあります。
しかし、型を使うことで、子どもは授業の流れに乗りやすいです。そして、担任の先生が授業を行う際の第一歩目としては非常に有効だと思います。

以下は、We Can!1 UNIT1の授業の一例です。

②教材研究

一番大事なことは、デジタル教材を触ってみることです。指導編だけでは少し分かりにくいと思います。デジタル教科書の中には、映像付きのものがありますね。これらの映像を見ることをお勧めします。ただ見るだけではなく、教師用指導書で確認しながら、実際の授業の見通しを意識してみましょう。忙しいのであれば、まずはこれらのことやってみてください。

③Small Talk

Small Talkとは、英語で行うちょっとしたやり取りのことです。
これは多くの先生方が、どんな内容を話すか悩まれているのではないでしょうか。
子どもたちにとっても、英語でいきなりやり取りをするのはハードルが高いようです。

まずは、5年生と6年生ではSmall Talkの目的が異なることを確認しましょう。
5年生では、以下のように記述されています。

まずは、5年生と6年生ではSmall Talkの目的が異なることを確認しましょう。
5年生では、以下のように記述されています。

「指導者によるまとまった話を聞いて分かったり」「それらを使えるようになること」「その場で質問に答えられるようになること」

このように、先生役が多く英語を話すのが特徴です。まとまりのある英語を話すことで、こちらが主導し、子どもたちが答える流れになっていますね。
もし自信がない場合は、ALTに教師役をしてもらうように相談すると良いと思います。

We Can1 Unit3

YouTubeより

6年生では、以下のように記述されています。 

「既習表現を繰り返し使用できるようにしてその定着を図ること、対話の続け方を身に付けること」

こちらは、子どものやりとりが主になり、文量も短く、動画の時間も短いのが特徴です。
 最初は、ダイアログ(対話)を黒板に板書してみましょう。型を与えて、自由度を上げていき、徐々に既習事項も付け足していきましょう。授業の一例を挙げてみます。「今日は、30秒間で挨拶と好きな教科と場所を話してみよう」と言い、実際にやってもらいます。それからは別のお題へと幅を広げて行けば、Small Talkは難しくはないと思います。
細かい間違いは気にせず、会話のキャッチボールを楽しむことがポイントです。

We Can!2 UNIT4


YouTubeより

※その他のSmall Talkのサンプルは、指導案にたくさん掲載されているとのことです。文科省のHPからダウンロードできるので、ご確認ください。

※慣れてきたら、既存のテンプレート表現以外にも、夏休みや好きな〇〇などテーマを変えても構わないでしょう。

④振り返りカードのネタ

(私は、次回の授業づくりに役立てるために、振り返りカードを作って子どもたちに書いてもらいます。子どもの学習の状況を把握するだけではなく、子どもたちが楽しんで授業に参加できているのかを確認することもできます。もちろん、学期末の英語評価の所見にも使えます。

STEP BY STEPカード.pdf

⑤Writingのネタ

大切なのは、音声でたくさん言ってから書くようにすることです。ワークシートに関しては、基本的に文部科学省が配布しているものを使うようにしましょう。教材研究しやすいように、全て印刷して、ユニットごとに分けてファイリングしておくことをお勧めします。必要に応じて、自分でワークシートを作成してもいいと思います。

⑥Sounds and Letters(フォニックス)のネタ

一音ずつ読む練習

例) D, d, d, d, dog

一つずつ文字の発音を学習した後に、全体の単語を勉強していきます。ALTの後に繰り返して言うように促してみましょう。担任の先生は、発音の仕方を日本語で説明するようにしましょう。具体的な発音の仕方については、松香フォニックスの『フォニックスってなんですか?』が参考になります。

音の足し算の練習 

例) b+a+g=bag

 フォニックスは、ルールがたくさんあるので難しいかなと思います。なので、1学期は簡単な「dog, god, cat」などの3文字を読めることを目指してみるのも良いでしょう。フォニックスとは少し異なりますが、ローマ字を宿題に出して、授業で復習する方法もあります。

⑦リスニングのネタ

リスニングは、非常に難しいですね。Small Talkより長文になっていますし、子どもたちは何を聞いていいのかわかりませんよね。英語を理解させるために、We Can!でリスニング練習ばかりしていたら、子どもたちが英語嫌いになるのではないかという懸念があります。

なので、リスニングではハードルを下げてみましょう。
どういうことかというと、We Can!のunit2ならイベントについて書いてありますよね。文章はそこそこ長いので全てを理解するのは大変です。そこで、「”月”に関する言葉に注目して聞き取ってみよう」とします。すると、難易度はぐっと下がると思います。いきなり、リスニングをしてみよう、というのは実際にやってみて厳しいと実感しました。これはあくまで例ですが、ハードルの下げ方や下げ具合はたくさんあります。

また、子どもたちには、なるべく生の英語に触れさせたいですよね。なので、ALTに指導書編に乗っているスクリプト(リスニングで流れる英文)を渡して、発音をお願いしてみてはいかかがでしょうか。

⑧挨拶カード

担任の先生方が、扱いやすいのは挨拶かと思います。私の学校では、全学級に配布し、担任の先生に主導してもらっています。ぜひ、朝の会などで使ってみてください。

挨拶カード.pdf

⑨校内研修メニュー

とりあえず、挨拶や指示などを英語で話すクラスルームイングリッシュをやってみるといいと思います。その際に、小学校外国語活動・外国語研修ガイドブックを参考にしてみると良いかと思います。文科省が、クラスルームイングリッシュの例をアップロードしています。
 
子どもに、難しい英語をいくら言っても、すぐに言えるようにはなりません。毎日たくさんの積み重ねがないと厳しいでしょう。そこでクラスルームイングリッシュでは、「Let's play ◯◯!」「 Sounds good!」など繰り返し聞く簡単な表現から始めていくと良いでしょう。難しいことにチャレンジして全く出来ないよりも、できそうなことからやっていくことが大切です。

⑩所見文例のネタ

最後に、所見文例のネタです。著作権フリーなので、自由に使ってもらって構いません。もうすぐこれらの観点も変わりますが、今年度までは以下の3つの観点で記述します。

①コミュニケーションへの関心・意欲・態度②外国語への慣れ親しみ③言語や文化に関する気付き

We can! 1
Unit 1
①聞き手の反応を確かめながら、簡単な自己紹介をしようとしています。
②活字体の大文字を識別し、発音することができています。
③身の回りで英語が既に多く使われていることに気づくことができました。

Unit 2
①共感しながら、友達の好みや欲しいもの、誕生日のことについて聞くことができました。
②バースデーカード作りを通して、活字体の大文字を書くことができました。
③日本とは同じ月でも、季節が異なる月があるということを知りました。

Unit 3
①聞き手の反応を確かめながら、時間割やそれについての自分の考えを伝えようとしました。
②「夢の時間割作り」を通して、教科についての英語を言ったり聞いたりすることができました。
③動画の視聴を通して、外国の学校生活に興味を持ちました。
世界の学校の様子に違いがあることに気づきました。

We can! 2
Unit 1
①好きなことやできることなどについて意欲的に伝えあおうとすることができました。
②英語で自己紹介やできることなどを聞いたり言ったりすることができました。
③世界の子どもたちの自己紹介を聞き、挨拶の言語の違いに気づくことができました。

Unit 2
①聞き手を意識しながら、日本文化について伝えあおうとすることができました。
②自分が好きな日本文化について英語で紹介することができました。
語順を意識しながら、日本文化についての英文を書き写すことができました。
③外国の行事にも、日本と同じように楽しい行事があることを学びました。

Unit 3
①「can」を使って、キャラクターについてのクイズのヒントを意欲的に作ることができました。
②語順を意識しながら、自分や友だちを紹介する文を書くことができました。
③英文を書き写すことを通して、日本語と英語の語順の違いに気づくことができました。

以下は組み合わせて使ってください。
・いつでも、友だちとコミュニケーションをとろうとするその態度に感心します。
・友だちのスピーチのいいところに気づき、自分のスピーチに生かすことができました。
・リズムのある英語のやりとりができるようになり、自信を持って英語活動に取り組むことができています。
・原稿を読むのではなく、聞いている人の目を見ながら発表することができました。気持ちの伝わる発表でした。
・いつも英語を上手に話せるようになりたいという向上心が感じられます。
・授業で扱った英語の表現は必ず家で練習しているようです。その姿勢はこれからも続けてほしいと思います。
・失敗を恐れずに英語を話すという前向きの姿勢が感じられます。
・分からない英語はすぐにALTに質問していました。そのおかげで英語がどんどん上達しています。
・堂々と大きな声で発表する姿は友だちのお手本になっています。
・活動にいつも全力で取り組んでいます。とても立派な態度です。

活用される際は、自己責任でお願いします。

3 プロフィール

古賀真也先生
大阪府池田市小学校教員。中高の英語の免許を所持している。自治体の海外派遣事業で英語の指導法などを学ぶなど、小学校英語の個人研究を続けている。「担任が中心となる小学校英語」をモットーに日々研究を続けている。小学校で英語を教えて15年になる。(2018年5月12日時点のものです)

4 編集後記

現在、英語教育は過渡期を迎えています。2020年度からは、小学校英語が教科化されることもあり、世間からの注目度は非常に高いです。そして、指導を行う先生方には、様々な悩みが存在することでしょう。本記事が、そんな先生方の悩みを少しでも解消できるものであれば幸いです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 中澤歩・津田佳歩・潮龍太・山本裕佳)

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