花の構造はどうなっているの? 静電気って何? 疑問を真の学びにつなげるアクティブ・ラーニング (岡本竜平先生)

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作成者:Ken Kamishima (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2018年6月15日(金)~16日(土)に大阪府で開催された「New Education Expo 2018」で行われたセミナーのうち、「高校におけるアクティブ・ラーニング実践~高大接続、実社会の人材作りを意識した授業改善事例~」の模様を編集・記事化したものです。

近年、教育現場ではホットな話題の1つである「アクティブ・ラーニング」の実践例や重要なポイントを、登壇者の一人である、関西学院千里国際中等部・高等部の岡本竜平先生に紹介していただきました。

2 岡本竜平先生による講演

①理科をどう教えるか

私の担当教科は理科です。理科においては、目の前で起こっている現象を注意深く観察し、それを正確に記録した上で考察する、という過程がとても重要です。そのため、私の理科の授業では実験を多く取り入れています。

今までの例としては、蛙の解剖や、手羽先の肉を自分で削いで骨格標本を作るといった授業を行いました。生徒に悪影響を及ぼすのではないか、と反対意見もありましたが、動物の体の構造や命の大切さを直に学ぶことができるという点で、こうした授業はとても重要である、と私は考えています。

②ICTと教育

あと数年で教育界に大きな影響を与えるだろうと思われる技術について、世界中のテクノロジーの専門家達が予測し、その内容をメディアで発表しています。それによると、現在のロボットやコンピュータの発展に続き、2019年までにはVR、2021年までにはAI(人工知能)やIoT(The Internet of Things)といったものが、初等中等教育において重要になってくるそうです。

世の中はこのように変化していくという予測が立っているのに、教育が20~30年前のものからずっと変わらずにいるというのはおかしい。そういう考えのもと、私は先生という仕事に就いて、今成すべき教育を実践しようと尽力しているのです。本校の高等部ではBYOD(Bring Your Own Device)、つまり「自分の情報端末を学校に持ち込んで使う」というポリシーのもと、高等部の生徒には自分のパソコンを持参してもらい、中等部では学校所有のiPadを授業で活用しています。

③アクティブ・ラーニングの実践例

ここからは、中学理科でのアクティブ・ラーニングの実践をいくつか紹介します。

動画作成(花の構造)

1学期は、花の構造について説明するビデオを生徒達に作ってもらいました。3~4人のグループで1つの作品に取り組ませました。あまり制約を設けずに彼らに自由度を与えたところ、説明を分かりやすくするために立体の模型を作るなどの工夫が見られたグループもありました。

より分かりやすい動画を作るためには、花の構造を正確に理解しなければなりません。そのために、生徒達は何度も教科書を見返す、実験を繰り返す等のアクションを起こしていました。生徒のアウトプットを意識し、その過程を大切にした授業を実践することによって、花の構造についての知識がしっかりと生徒達に定着したことでしょう。

動画作成(静電気)

1学期で動画を作れるようになったので、夏休み明けは「人間の体内のように、見えないものを見える化しよう」という目的のもと、生徒達にはグリーンバックを用いて合成動画を作ってもらいました。例えば、あるグループが作成した動画の中では、彼らが独自で考えたキャラクターを軸にして静電気の説明を行うという工夫が見られました。発表内容も、教科書に書いてあることにとどまらない、かなりハイレベルなものでした。

授業づくりやその評価について

教室に集まって勉強することと同様に、生徒達が自分のペースで勉強できる環境も大切にしています。先生が前でずっと話していても、その話の内容が頭に入っている生徒と入っていない生徒がいます。だから、授業に関する資料等をドライブ上に作り、生徒達が授業時以外でも共有できるようにしているのです。授業内容をきちんと理解できるように、生徒自身に、授業内容を理解するためのタイミングを与えることが重要なのです。

また、本校では授業においてICTの活用を積極的に行っています。例えば、G Suite for Educationを活用し、個人で取り組む課題だけでなく、他人と協力しながら授業を進める重要性を実感できるように授業を構成しています。「共有する」という大切さを私も実感しています。

授業には評価をつけなければならないので、どういう作品が望ましいのか、どういう努力が必要なのか、といったことを基準に作成したルーブリックを生徒達に提示しています。今の所、その基準は先生達だけで設定していますが、いつかはこの評価表も生徒達と一緒に作ることを視野に入れています。先生も生徒も納得する基準で成績をつけること。これもアクティブ・ラーニングの取り組みの1つとして大切にしています。

④「自分で何かを生み出す」教育

自分のクラスの生徒達に向かって「創造性が大切なんだよ」と言う先生は多いと思います。しかし、私は先生こそより創造性が求められるのではないかと感じています。例えば、出来上がっている動画を見て学習することも大切ですが、その動画を彼ら自身で作成するときこそ創造性が発揮されるのだと考えます。その際、先生は自分の考えを押しつけるのではなく、彼らの考え方を受け入れることが大切であると思います。その上で、より彼らの創造性を発揮できるようにアドバイスすることが先生に求められていると感じています。これからも彼らと楽しい授業をつくりあげていきたいと思っています。

3 「New Education Expo」について

New Education Expo」とは、毎年日本全国で開催される、教育関係者向けのセミナー&展示イベントです。学術機関・教育現場・官公庁・産業界等から教育界で活躍されている方々が講師として登壇し、教育に関する話題のテーマに関する講演を聴講することができます。

今年は、プログラミング教育教材やICT機器といった、最先端の技術を用いた教材の展示も行われ、140以上の企業が集まりました。

4 登壇者プロフィール

岡本竜平 先生
2017年4月より関西学院千里国際中等部・高等部に勤務。担当教科は理科。
日本だけでなく世界の教育者と交流を深め、広い視野を持って教育を行っている。日々の授業ではICTを活用しながら、創造性を育むような実践を行うことを目指している。
Apple Distinguished Educator。
GEG(Google Education Group)Takatsukiのリーダー。
(2018年6月16日時点のものです)

5 編集後記

ただICTを導入したアクティブ・ラーニングを実践すればいいということではなく、「生徒の学びにとって重要なものは何か」ということに焦点が当てられています。ICTは教育界では最先端の技術ですが、そこから生み出される生徒の学びはよりクリエイティブなものになることでしょう。

(編集・文責 EDUPEDIA編集部 上島憲)

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