オンライン授業の実践を振り返って―遠隔授業ならではの利点も紹介―【コロナと向き合う】

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目次

1 はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大は教育現場にも大きな影響を与えており、対応に追われている先生も多いのではないでしょうか。EDUPEDIAでは、必要な情報が教育関係者に届くように、【コロナと向き合う】特集をはじめました。

本記事は、EDUPEDIAが実施したアンケートおよび取材での回答内容を基に作成しています。

今回は、小川達也先生によるオンライン授業の実践をご紹介します。小川先生は、関西学院千里国際中等部・高等部で中学一年生と高校生の数学を担当しています。オンライン授業の流れや生徒たちの反応、今後の意気込みを伺いました。ぜひご一読ください。

2 オンライン授業実践例を紹介!

ソフトウェアの紹介

オンライン授業の実践にあたり、小川先生は以下のソフトウェアを使用しています。
Google Classroom(以下Classroom)…オンライン上の学習空間。出席確認や課題の管理など。
Googleフォーム…アンケートなどのフォーム作成が可能。小テストを作成。
Google Meet(以下Meet)…ビデオ会議のツール。個別の質問対応。

授業の流れ・工夫

基本的に「①出席確認②本日の課題③解答配布・自己採点④小テスト」という流れでオンライン授業を展開します。「いかに生徒が画面を見る時間を抑えつつ、学習内容を理解できるか」を意識したという小川先生。オンライン授業で従来の授業を再現しようとすると、先生と生徒双方の負担が大きくなります。生徒の集中力や家庭の通信環境などを考慮した結果、自主学習を中心とした授業形態に至りました。まず、生徒たちはClassroomに投稿された課題に取り組みます。その後配信される解答を基に自己採点をし、課題として提出。そしてGoogleフォームを使った小テストで、学習内容の定着度を確認します。各2点の問題が5つあり、計10点満点です。
 授業中は生徒の質問に対応するために、Meetで待機しています。iPadの画面を共有すると、数式を書き込む様子も伝えられるそうです。またMeet内ではお互いの表情を確認できるため、先生とのつながりを感じられる場でもあるとのこと。小川先生は、生徒たちに安心感を与えられると考えています。
 さらに、生徒が苦手意識を持ちやすい単元に関しては、動画を作成し提供しているそうです。5分程度になるように、ポイントを絞ったスライドをまとめています。「動画に盛り込む内容を吟味することで、動画の質向上や生徒の興味関心を高める効果を期待できると思います」この短い時間設定も、画面を注視する時間の削減につながる工夫といえるでしょう。

実践を振り返って

生徒たちを対象にオンライン授業に関するアンケートを行うと、以下のように高い評価を得ることができました。

・分からないときのみMeetを用いて質問することができる。

・自分のペースで勉強できる。

・毎授業後に小テストがあるため、怠けることなく学習に取り組める。先生がテスト範囲の動画を送ってくれるのも助かる。

・先生が画面を共有しながら説明してくれた。

「出席確認を含め、授業中の課題や確認テストの投げかけ・締め切りの設定が程良い緊張感を出せているのかもしれません」と語る小川先生。生徒たちの反応からも、学習習慣の確立に役立っていることがうかがえます。また、自分のペースで物事が進められるという利点は、生徒のみならず先生にも当てはまるそうです。例えば動画の予約配信など、指導する側も時間を有効活用できるといいます。
 そしてオンライン授業の良さを踏まえたうえで、小川先生はこう述べています。「より工夫したオンライン授業を作りたいとは思っています。しかし、今はオンラインでの学習を強いられている状況。最優先事項は『学びを止めないこと』です。またオンライン授業で意気込みすぎると、生徒も先生も疲弊してしまいます。誰もが実践可能な授業の仕組みを考えたので、ぜひ多くの先生方の参考にしていただきたいです」

3 小川達也先生のプロフィール

関西学院千里国際中等部・高等部教諭(数学科・生徒会顧問)。担当教科は中学生と高校生の数学。高校3年生の進学先決定者向けの授業や、新しい探究科目の理数探究基礎も担当している。令和元年度日本私学教育研究所委託研究員。Apple teacher。小川先生のnoteはこちら。(2020年5月12日時点のものです)

4 編集後記

小川先生の「学びを与え続けたい」という思いが印象的でした。本記事の閲覧が、オンライン授業ならではの良さを発見する機会となれば幸いです。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 来間れいな)

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