オンラインでの学びのあり方を探る【生きる力を育むオンラインコミュニティCo-musubi】

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作成者:杷野 真弓 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、2020年5月に行った子どもの生きる力を育むオンラインコミュニティ Co-musubiの代表である井上真祈子さんへのオンラインインタビューを記事化したものです。インタビューでは、Co-musubiで行われている学びやオンライン上での学びのコツなどについてお話を伺いました。

2 Co-musubiが考える学び

Co-musubiは子どもの生きる力を育むオンラインコミュニティです。その数ある活動の中でも特に、月一回程度行われるメインプログラムである「子どもミーティング」は、日々の暮らしの中で、子どもたちが自分らしく学ぶためのきっかけであると考えます。学びは、日常そのものであり、意識の問題なのです。子どもミーティングでは対話の時間を重視していています。なぜなら、他者と意見を交わす中で、多様な考えに触れ、自分自身についても深く知り、自己効力感を高めることによって、自分の人生を切り開いてもらいたいと考えているからです。

3 Co-musubiでの学び「答えのない問い」

小学校高学年や中学生の子どもミーティングでは、子どもたちは社会の中の問いに対しても対話していきます。例えば、最近だと「『国』とは何だろう?」というテーマを設定しました。このテーマで対話していく中で自然と、各国のコロナウイルスの対応についての話につながりました。

そこから、途上国と先進国で分けて経済政策などジャンルごとに調べ始めた子どももいれば、とりあえず新聞を読むことからはじめた子どももいます。取り組み方はそれぞれで違いますが、それは自由であることがよいと思っています。このような余白の中に学びの個性が表れます。学校のように、学び方や内容が予め定められている学習ばかりでは、学びの個性が失われてしまい、「自分は本当は何をしたかったのか」がわからない人を育てることになってしまいます。このため、Co-musubiでは自分なりに自分の視点から学ぶということを大切にしています。たとえ時間がかかってしまったとしても、学びの個性を忘れないことが重要です。

4 オンライン上でのファシリテーションのコツ

オンラインであっても、オフラインであっても、対話の場で自分の考えを引き出すことが難しい子どもがいます。Co-musubiの対話の場では、挙手制にして、その子どもが自分のペースやタイミングで発言できるようにしています。だから、対話の場で発言することができなくても問題ありません。しかし、最後に感想を言う時間を取っているので、その時間だけは全員が話せるようにしています。

ファシリテーションにおいて、ファシリテーターの役割はあくまで「サポート」です。なので、ファシリテーター自身が自分を司会者だと思わないことが大切です。ファシリテーターが司会者になってしまい、彼らを指名してしまうと、当てられた子どもにとって対等ではありません。なぜならその場合、子どもたちの準備が整ったタイミング、つまり彼ら自身のタイミングではないので、指名された側からすると、ファシリテーターの考える正解を探してしまい、発言することが難しくなります。

5 カメラをオンにする

Co-musubiのミーティングでは、参加者はカメラをオンにして行います。そのコミュニティの特性によって変わると思いますが、我々はカメラをオンにして参加することを、ルールではなくマナーとして考えています。Co-musubiにおいて、ルールとは「誰かが決めたものに従う」という意味です。誰かが決めたものに従うように子どもたちに言うと、子どもたちはそれを当たり前のように考え、思考停止してしまいます。一方、マナーとは自分がどうすればよいかを自分で考えるということです。ルールを置くのではなく、マナーとして捉えるのは、自律的な人間を育てたいという想いにも繋がっています。カメラをオンにするのは、Co-musubiが強制的に行うのではなく、参加者全員が納得した上で行なっています。

6 集中力を保つために

また、月1回行う週末の子どもミーティングは2時間以内に終わるようにしていますが、明確な終わりの時間を設けていません。このため、参加している子ども同士の対話の時間によって終わる時間が変わってきます。集中力の切れやすい子どもたちが最後まで集中している状態を保っているのは、子ども自身がオンライン上のやりとりに参加するかどうかを自分の意思で選択していることにあると思います。子どもたち自身が子どもミーティングに「出たい」と思うだけでなく、「出ることが自分自身の成長の糧になる」と気づいているのです。ビデオ通話は、双方向なやり取りをしている間は頭を使いますが、受動的な時間はどうしても退屈になってしまいます。Co-musubiでは、自分で考えて自分で答えを出す必要があり受動的な時間がないので、どの子どもも集中力を保つことができていると考えています。

7 オンライン授業をよりよい未来の学びにつなげるには

各学校がオンラインで対応するために動き出していますが、「学習指導要領で定められている時間数はそもそも全員の子どもたちにとって必要なのかどうか」「学習指導要領に記載してある項目を全て教える必要はあるのか」「学習指導要領に記載してある対象学年は適切なのかどうか」などの私たちが当然のように思っていることを改めて問い直さなければならないと考えています。

そして、一番大切なのは、子どもたちが学ぶべきことをきちんと習得することです。これまでの対面での学校環境の中でも学習事項を習得できていなかった子どもは一定数います。しかし皆が皆、学ぶべきことを習得できていたわけではないのに、従来の学習設計を是としてこれからの学習のあり方を話し合うことには疑念を感じざるを得ません。それぞれのペースでそれぞれが学習内容を習得できるような制度設計が必要です。

8 最後に

新型コロナウイルスの感染拡大に伴いICT教材が積極的に活用されるようになり、教育の変化に拍車がかかりましたが、まず第一に教育の目的を見直す必要があると思います。Co-musubiでは「子どもたち一人一人が幸せになること」が最上位の目的になっており、「幸せ」は「一人一人が本当の自由を手にしていくこと」を意味します。その上で、「本当の自由」は「自分で選択し、自分が持って生まれた潜在的な魅力を開花させた上で自分の人生を生きていくこと」だと考えています。誰かの人生を生きることではありません。そのために日々、対話やプログラムを行っているのです。

9 井上真祈子さんのプロフィール

子どもの誕生を機にこれまでの教育に疑問を感じ、個性と子どもの “やりたい” 気持ちを尊重する家庭教育により、その子の持つポテンシャルを最大化できるはず、と実践を始める。好奇心・探究心を軸にこどもの個性を尊重した教育が日本でもスタンダードになることを願い、家庭でこどもの生きる力を育む親子のコミュニティ団体「Co-musubi」を創立。また、ひとり一人の内なる声からはじまる教育に挑む教育関係者がつながりコラボレートできるコミュニティ VOICEや、休校期間の1ヶ月間限定で、誰でも参加できるオンラインの学びの場 Yoka-Yokaも立ち上げ。Learn by Creation には、ワークショップデザインチームリードとしてプロボノで参画。

Co-musubi
https://www.co-musubi.com/

VOICE
https://www.voicewmr.com/

Yok-Yoka
https://www.yoka-yokaonline.com/

Learn by Creation
https://www.facebook.com/LearnXCreation

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11 編集後記

新型コロナウイルスの感染拡大によりオンライン授業が広く行われるようになりましたが、オンライン授業を行うことで学びの遅れを取り戻したと錯覚してはいけないと感じました。きちんと目の前の子どもには何が必要なのかを見定め、そこに対してきちんとアプローチすることが大切になってくると思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杷野真弓・清川美空)

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