1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第30回「日本の地形(山や川)」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。元気ですか。今日から日本の地理に入ります。では始めましょう。
今日のお題は「日本の地形(山や川)」です。
日本は、ほとんどが山にかこまれた島国です。その理由は、太平洋のまわりには、ロッキー山脈やアンデス山脈などの大きな山脈にかこまれています。この地域を環太平洋造山帯(かんたいへいようぞうざんたい)といい、日本はその一部に属するからです。下の地図は日本の山脈です。たくさんあるでしょう。なかでも、アを飛騨山脈(ひださんみゃく)、イを木曽山脈(きそさんみゃく)、ウを赤石山脈といい、日本アルプスといわれる高い山がそびえているのですヨ。
また、日本は島国ですが、たくさんの川の平野もあります。下の地図を見てください。青い線で描かれたのが川です。その中でも、日本一長い川が信濃川(しなのがわ)や日本一流域面積が広い川は利根川(とねがわ)があります。また、それぞれの川の下流には平野(へいや・・・緑色で描かれたところ)が広がっています。なかでも日本一大きな平野が関東平野(かんとうへいや)です。平野の数が少ないように思いますが、これは代表的な平野で、日本の海岸付近には、大小いくつもの平野が広がっています。
次に、下の絵を見てください。山奥から川が流れてきていますね。その途中に扇状地(せんじょうち)という土地があります。これは字のごとく、山のふもとから平野部にかけて扇型(おおぎがた)に広がった土地をいいます。この扇状地は、畑作や果樹園に利用されたりしています。さらに、川が海にそそぐところの河口(かこう)には、上流から流れてきた石や砂が何千年ものあいだに堆積(たいせき・・・積もっていくこと)して、三角州(さんかくす)とよばれる地形をつくっています。ここは水田として利用されています。いろんな地形があるのですね。
は~い。お疲れ様。では復習問題に進んでください。
復習問題
1.山がちな日本の地形についてまとめてください。
日本は、ほとんどが山にかこまれた島国です。それは、太平洋のまわりが、ロッキー山脈やアンデス山脈などの大きな山脈にかこまれています。この地域を環太平洋造山帯といい、日本はその一部だから山が多いのです。また、世界にはもう一つアルプスヒマラヤ造山帯があります。
2.日本の川や平野の特長をまとめてください。
日本は島国ですが、たくさんの川の平野もあります。その中でも、日本一長い川が信濃川です。そして、日本一流域面積が広い川は利根川です。また、それぞれの川の下流には平野が広がっています。なかでも、日本一大きな平野が関東平野です。日本の海岸付近には、大小いくつもの平野が広がっています。
3.扇状地と三角州について簡単に説明してください。
山奥から川が流れてきて、その途中に扇状地という土地があります。これは字のごとく、山のふもとから平野部にかけて扇型に広がった土地をいいます。この扇状地は、畑作や果樹園に利用されたりしています。さらに、川が海にそそぐところの河口には、上流から流れてきた石や砂が何千年ものあいだに堆積して、三角州とよばれる地形をつくっています。ここは水田として利用されています。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第30「日本の地形(山や川)
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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