1.1 児童が道徳的価値にかかわる自分の感じ方や考え方を表現する場を工夫した事例
この実践は文部科学省から許可を得て、文部科学省ホームページ上の「先生応援ページ」より転載させて頂いております。ここから指導案もダウンロードできます。
資料名
アゲハチョウがとんだ 文部省 小学校 思いやりの心を育てる指導
ねらいとする道徳的価値について
文明が高度に発達した現代では忘れられがちであるが,人は自然の中で生かされている。自然と豊か につながることで,命を感じること,感性や情緒の発達,自然と共に生きていくことなど,人間として の正しい成長が望まれるのである。自然体験が減った現代だからこそ,自然と触れ合うすばらしさを通して,動植物を慈しみ,全体で共に生きていこうとする素地を,児童に育んでいく必要がある。第2学 年の児童は動植物に心で語りかけ,つながりを求めていくことができる。動植物をいたわり,真心をこ めて接していく姿勢を養っていきたい。
資料
心を込めてチョウの世話をする生き物係のゆうじたちの姿が,児童の実態に重なる資料である。ゆうじたちのチョウに対する思いが表現されていることで,ゆうじたちの立場で生き物とのかかわりを考え ていくことができる。チョウの世話をしてきたゆうじと,チョウを気遣うとしおたちに視点をあて,そ の思いを想像する授業を構成する。ゆうじたちの共感は生き物を慈しむ思いを追体験させることができる。また,としおたちへの共感は生き物の生命を尊重しようとする思いを児童の心に生み出していく。 本時で扱う自然愛・動植物愛護は,児童にとって大変身近な内容であり,自己の振り返りも容易で,豊 かな話合いになることが期待される。そこで資料を通した話合いの時間をしぼり,自己の振り返りの時 間を多く取ることで互いの経験を共有し,深めていく。
本時の学習活動
【ねらい】 動植物の命を慈しみ,大切にしながらかかわろうとする心情をはぐくむ。
【指導事例と学習指導要領との関連】
小学校学習指導要領・道徳の第2内容の第1学年及び第2学年の「3-(2) 身近な自然に親しみ,動植物に優しい心で接する。」に関する事例である。本事例は,動植物愛護の心情を育てることをねらいとして,児童の対話を重視して互いの考えを交流する場を工夫したものである。
【言語活動の充実の工夫】
本実践では,道徳の時間の特質である道徳的価値の自覚を深めることを押さえて,道徳的価値を自分なりに発展させていくことへの思いや課題を培うために,展開段階において,児童に「生き物のことを大切 に思ったこと」を振り返らせる。
児童が自分自身を振り返る学習で言語活動を工夫し,はじめに自分のことを振り返った後に,対話を重視して2人組でそれぞれの考えを交流する。一人一人の振り返りの内容は,自分の経験を,つたないなが らも自分の言葉で表現することができるようにする。自分の思いを話すことだけでなく,友達の考えを聞くことにより,互いに刺激を受け合い,生き物や動植物への思いを深めたい。
低学年の段階から,様々な学習の中で,道徳の時間の特質を踏まえて,かかわり合いながら互いに高め 合う姿勢を育むために言語活動を工夫することは大切である。
言語活動の実際 (展開3の概要)
思考→ペアでの話合い→全体での話合い
T1 みなさん,よくゆうじくんやとしおくんたちになりきって考えられましたね。優しい思いがたくさん聞かれました。今度はみんなのことを聞いてみます。みんなはたくさんの生き物と一緒に過ごしていたね。みんなは,心から生き物のことを大切に思ったことはあるかな。考えてみよう。
ペアでの話し合い
C1 わたしは,ひまわりが枯れそうだったから,水を一生懸命あげてたら,元気になった。アサガオも大切にお世話しているよ。
C2 ぼくは,パンジーの花が枯れそうになったとき,丁寧に水をかけたら,なおった。
T2 どんな気持ちだったかな。
C2 きれいに咲いたから,わたしもうれしかった。
C2 アサガオのお世話もしているの。
C5 アサガオに水をたくさんあげている。
T3 みんな,草や花を本当に大切にしているんだね。一生懸命世話をしている人はいますか。
O 全員が挙手。
全体での話し合い
T4 では,虫や犬みたいな生きものを大切に思ったことはありますか。
C6 チャボと遊んだとき,足を怪我していたから小屋にかえしてあげた。
T5 どんな気持ちでやったのですか。
C7 かわいそうだった。
C8 カブトムシを飼っているけど,けんかをして穴が空いてかわいそうだった。
C9 モンシロチョウが幼虫のとき,野菜を育てていたら逃げてしまった。でも,葉っぱにもどって チョウになってよかった。
C10 朝ご飯のとき,アサガオが揺れていて,学校で風が吹いたとき,心配になった。
C11 水槽を洗ってきれいにしようと思ったら,金魚が水槽からでてしまった。みんなが「大丈夫」と言ってくれてうれしかった。
T7 みんなは,たくさんの生き物を大切にしていて,とてもうれしい気持ちになりました。
引用元
文部科学省ホームページ「先生応援ページ」(授業資料・学習評価等)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/index.htm
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