1 ◆この記事の作成経緯と目的◆
寳迫先生は「これから先生になる方や、経験年数の浅い方にとっては、ベテランの者にとっては当たり前のことの1つ1つが新鮮かつ重要である。」とおっしゃっている。
そのため、一見何の変哲もない「学級日誌、日直の仕事、家庭訪問事前調査」の基本的な書類の説明および使い方について取り上げる。同時に、そこに隠されている教育的意義に気づき、今後の学校生活に生かしていってほしいそうだ。
また、それぞれの項目の下に編集用として書類データをそれぞれ掲載したので、ダウンロードして、自分なりにアレンジして使ってみてはいかがでしょうか。
2 ◆補助書類の説明・使い方◆
●学級日誌
<説明>
先生にとって、子どもたちのほんのちょっとした変化・成長というのに気づくことは非常に大切である。また 子ども自身にとっても、自分の成長を実感することは非常に大切である。これらの非常に大切な、「成長を記録する」を果たすツールの1つが学級日誌である。また、先生と子どものコミュニケーションツールでもある。
<使い方>
学級日誌は、一日の終わりに(日直の)子どもが自らの学級生活を記録し、1日を振り返り、担任が、目を通してコメントをするものである。
〈学級日誌の記入事項〉
(1)年月日、曜日、天気
(2)今日の予定・行事
(3)授業の内容や様子
(4)日直の仕事リスト
(5)欠席者、遅刻および早退者
(6)一日の反省
(7)先生からのコメント
<学級日誌の一例>
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●日直の仕事
<説明>
この資料は、日直の子どもがする仕事をまとめたものである。
<使い方>
明文化することによりやるべき仕事をはっきりさせ、集団生活における仕事(やらなければいけないこと)というものの存在・必要性を認識させ、確実に行うように指導する。
〈日直の仕事〉
(1)授業の号令(1人ずつ分担する)
…「これから◯時間目の学習を始めます」
(返事)
「礼」(「よろしくお願いします」)
「着席」
〜 授 業 〜
「これで◯時間目の学習を終わります」
(返事)
「礼」(「ありがとうございました」)
(2)学級日誌を書く
(3)黒板をきれいにする(2人で協力して)
(4)教室を移動するときや帰るときに電気を消す
(5)帰るときに窓を閉めてカーテンを開ける
(6)明日の日付と日直の名前を書く
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●家庭訪問事前調査
<説明>
家庭訪問の際に、大切なことはご家庭での子どもたちの様子を聞くこと。学校が終わってから、就寝までの間、どこで誰と何をしているのか・習い事、自宅での学習、手伝いについて・就寝時間 等の学校生活に関係が深いことを説明し、保護者から状況を教えてもらう。そして、保護者と協力して子どもの成長について考える。また 保護者は、子どもの学習状況や友人関係について気にしていることが多いので、この話題は必須である。子育てに悩む保護者もいるので、その子の情報を共有し、安心して子育てができるように支援していくことが大切である。
このように 家庭訪問というのは、子どもたちのことをより知るためや、保護者との連携をとるために非常に大切であるが、あまり時間が割けないのが実情である。そのため、その短い時間を有効に使うためには、やはりそれなりの準備が必要である。それがこの家庭訪問事前調査である。
<使い方>
家庭訪問を行う前に「家庭訪問事前調査」を配布して、この意図を理解したうえで 保護者に記入してもらい家庭訪問に臨む。これにより、家庭訪問の短い時間を有効に使うことが可能になる。
〈調査事項〉
(1)家庭訪問で話題にしたいこと
(2)ご家庭でのお子さんの様子(遊び、勉強、生活習慣、家族関係など)
(3)お子さんから見える学校の様子
(4)その他
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3 ●編集後記
あまり意識しなかった補助書類にも、実はとても重要な教育的な意義が隠されているのだということを感じた。これからは、アンテナを高くして さりげないところにどんな意味があるのかということを常日頃から、意識していこうと思う。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮崎雅人)
4 ◆講師プロフィール◆
寳迫 芳人(ほうさこ・よしと)
1970年生まれ。小学校教諭。
働きながら通信制の大学を卒業して教員免許状を取得。1996年に小学校教員として正式に採用。1997年から、教育実践について情報を交換する場所として、Webページ「みんなで教育を考えよう!」を自ら作成。
現在 小学校の教員として、情報モラル教育や算数科教育の研究をしている。また、小学校教育にLINUXなどのオープンソースや、コンピューティングを持ち込んで、子どもたちの思考力・表現力を育てる研究を行っている。
●HP
みんなで教育を考えよう!: http://www.geocities.jp/yhousako/
指導案&教材集: http://www2.ttcn.ne.jp/yhousako/
全国城跡ネットワーク: http://www.geocities.jp/shiroato_net/
つれづれなるままに…(BLOG): http://4oc.blogspot.com/
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