算数博士になろうⅡ(トピック)-昔から伝わる文章題アラカルト-(間嶋哲先生)

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目次

1 はじめに

児童は,この授業を通して昔から伝わる文章題を解くことにより,図をかかないとなかなか解決ができなかったり,相手に解決の過程を説明することが難しかったりすることを体験します。

また,相互評価のシステムを変え,「小集団」を固定的な「班」ではなく,表現が終わった者同士が集まる「コミュニケーション広場」とすることによって,自分の考えを表現し終わった者同士が,時間的なロスを生じることなく,互いの考えを検討できます。さらに,自分の考えがまだ表現できていない子どもにも,じっくり考えさせることもできるという効果が期待できる実践です。

2 単元名  

算数博士になろうⅡ(トピック)−昔から伝わる文章題アラカルト−

3 本単元で育成したい「実践的な態度」

4  目指す姿

  • 文章の意味を図で表したり,必要に応じてχを使ったりして,解決に必要なデータだけを取り出す。
  • 問題解決のために,加減乗除を適切に用いる。

5  高めたい力

  1. 内容知:問題に合わせた数学的表現方法を知っていること。  
  2. 方法知:相手からの指摘を取捨選択しながら,自分の数学的表現を修正すること。
  3. 体験知:相手とのコミュニケーションの際,生まれる思い(例えば,以下に列記するもの)
  • 自分が考えてもいなかった数学的表現を使っていること。 
  • 表現が違っていても,相手の考えが自分の考えと同じだと考えを理解しやすいこと。
  • 説明の言葉がたくさんあることが,必ずしも分かりやすさにつながらないこと。

6  本時の計画(1~4時間/18時間中)

(1)主眼 

「つるかめ算」を解決する問題解決場面において,細分化した自分の考えを相互評価する活動を通して,単元で目指す高めたい力がつくようにする。  

(2)本時の主張

(3)検証  

①検証すること      

構想した働き掛けが,3つの知を高めるのに有効であったかどうかについて

②検証の方法

○内容知       

次の場合,表れありとする。

  • C0,C1で,想定した数学的表現(表・仮定法・χを使った式の考え)が使われている場合

○方法知   

C0,C1それぞれの数学的表現の変化の様子を見る。次のような場合,表れありとする。

  • 相互評価を経て,自分の数学的表現を修正している場合

(△をつけられたり,全体評価の際,指摘を受けていた部分がC1で修正されていた場合,直接的に相手の評価を受けたものとみなす。) 
(△や指摘を受けていなかった場合は,外の友達の表現を見たり,多少の言葉による友達との関わりがあったかどうか,事後に聞き取り調査を行う。)

○体験知       

次の場合,表れありとする。
 
* 面積図など,表・仮定法・χを使った考え以外の表現方法が表れていた場合
* Cnでの算数日記の記述に,想定した体験知のいずれかが入っていた場合

7  編集後記

間嶋先生の授業には,自分で考え,使用する言葉を選択する作業が含まれています。そのことにより,数学的表現方法を工夫しながら自分の意見を相手に分かりやすく伝える力を養うことが出来ます。また,相手からの指摘を取捨選択しながら,自分の数学的表現を修正する体験を通して数学的コミュニケーション能力を身に付けることが可能となり,算数の力を伸ばすことに繋がるのだと思いました。受動的な姿勢ではなく,能動的に問題解決学習に取り組む姿勢を育てることが大切なのだと思います。
(編集・文責: EDUPEDIA編集部 山口珠歩)

8  講師プロフィール

間嶋 哲(Mazima Akira)
1965年,新潟県に生まれる。新潟大学教育学部を卒業。
新潟県内の小学校で活躍後,文部科学省での1年間の研修を経て,現在,新潟市教育委員会学校支援指導主事。
算数授業ICT研究会理事。全国算数授業研究会総務幹事。
趣味は,海外旅行・外国語会話・スキー・ギター(フォークとクラシック)・読書・園芸・熱帯魚飼育など,多岐に渡る。
大学の卒業旅行を機に,旅行・外国語にはまり,旅行記を1冊出版したほどのエピソードを持つ。
●HP
間嶋哲のHPへようこそ… http://bit.ly/homepage_majima
●記事の出典
http://bit.ly/BunsuuNoSekai
http://bit.ly/M6LPQY

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