「脳幹に効く体験=道徳授業」(堀川真理先生)

1 【はじめに】

みなさんは、道徳の授業と聞くとどのようなものを思い浮かべますか?道徳の教科書を読み、子どもたちに感想を書いてもらう…。そのような従来の道徳の授業では、今一歩子どもたちの心に響いていないのでは?と感じた経験がある人も多いのではないでしょうか。

今回紹介する堀川先生の道徳の授業は、「子どもの脳幹に効く」「心をゆさぶる」ことを目指した実践です。2013年5月3日に行われた「第2回先生のためのとっておきセミナー~愛と勇気のチカラ~in関西」を元に作成しました。

2 【脳幹に効く体験】

堀川先生は、「脳幹に効く体験」を仕組むために「再現構成法」「自作資料」を使っています。それでは、それぞれを順番に紹介していきます。

再現構成法

①「再現構成法」とは

生徒に資料を与えず、教師の語り学習支援材(人物画・風景画・フラッシュカードなど)でのストーリーの展開で生徒の気持ちを引きつけ、スモールステップの同一歩調で全員参加を可能にする授業展開法です。資料を再現構成しながら、生徒同士で話し合わせたり生徒の気持ちや意見を聴く発問を挟み込んだりしていくことにより、適度の緊張感が持続し、最後まで生徒の気持ちを逸らさない方法です。

②なぜ再現構成法なのか?

堀川先生は、実は道徳の授業が苦手でした。
理由は、

  • 道徳の授業の中心である「気持ち」「感情」を扱うことができなかった。
  • まず自分自身の「感情」をまっすぐに見つめ、開示することができなかった。
  • 「感情」がない道徳の授業は魅力がなく、生徒の心をつかみ揺さぶることができないから。

⇒しかし、教育相談の研修の中で「感情」を表現できるようになりました。そのような頃出会ったのがこの再現構成方法です。この方法を用いることによって、生徒の関心を最後までそらすことなく、目指す道徳性まで共に進んでいける確信を得ることができました。同時に、道徳の授業を通して生徒の変化も実証されました。問題行動が目に見えて減っていき、それまでは対症療法のみだった学級経営・生徒指導に、予防的に働きかける道徳の授業を展開する有効な手立てを得たと実感しました。

再現構成法についてより詳しく知りたい人はこちら

「一枚絵・場面絵で創る 再現構成法の道徳授業 小学校編」八木下陽子他著 明治図書  (2001) 

自作資料

道徳の授業で最も重要なのが「資料」です。その資料がまず授業者の心の琴線に触れ、それを生徒に伝えたいという情熱がわかなければ良い授業になりません。
→堀川先生は「これは必ず伝えたい」と思う時、資料を自作するそうです。堀川先生の自作授業は「実は実話」と呼ばれ、既存の資料よりもインパクトの強い授業として受け止められています。その要因として先生は以下の3点を上げています。

自作資料は時間がかかると言われがちですが、むしろ教師に「伝えたいこと」がある場合、ぴったりくる資料を探すのは至難の業です。また文章の上手い下手は問題ではありません。大切なのは、何をどう伝えたいのかという情熱の部分です。

3 【編集後記】

私自身、セミナーで堀川先生の道徳の授業を模擬体験し、衝撃を受けました。先生自身の過去のつらい体験を教材にし、まさに「心をゆさぶられる」体験をしました。普段、子どもたちに客観的に何かを「教える」ことが多い中、今回の実践は自分の感情をさらけだし、子どもたちと「共感」を通してなにかを訴えかける授業です。私はこの授業から、道徳の授業の可能性を感じることができました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 山本弥佳)

4 【講師プロフィール】

堀川真理(ほりかわ まり)
現在、新潟県公立中学校教諭・学校心理士。カウンセリング・ワークショップのサークル「サイコドラマ新潟」を主催し、月に1度例会をもち、研鑽を深める。全日本カウンセリング協議会認定2級カウンセラーをもち、新潟市生涯学習センター登録講師。

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