楽しみながら鍛えよう ~クラスが明るくなる授業づくりを~ (松森靖行先生)

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目次

1 はじめに

本記事では、国語・算数・社会・理科の授業の中で使えるテクニックなどを中心に、そして最後は全体的な学級づくりに役立つ工夫をいくつか紹介していきます!

2 つかみは大切

学級運営においてつかみは非常に重要です!たとえば、児童との初めての顔合わせのときにかぶりものをするといった思い切ったことも大切です。それによって児童に受け入れられる土台が作られ、今後の学級運営が楽になります。

それでは、国語の授業におけるポイントから見ていきましょう。

3 国語

国語の学習において音読は最重要です!なぜなら、声を出すことによって表情が豊かになります。さらに、日頃からの声出しに慣れていくことは発言することへの恥ずかしさを薄め、児童が、気がねなく発表し合える良い環境に繋がります。これらの音読の重要性を理解したうえで、音読における多くの工夫を示していきます。

音読には、児童を飽きさせない工夫が多くあります。たとえば、大きく読む、小さく読む、高い声で読む、ドラえもんの声真似で読むというような真似しやすい人物やキャラクターの真似をしながら読む、などがあります。

ポイントは、必ず教師が先に読み、児童にはそれを真似させ復唱させることです

変わり種音読法

主語変換音読

物語ではなく、自然界の“摂理”や“事実”を伝えるような文章(たとえば評論文など)を読む際、主語として出てくる“鳥”や“あなた”といった単語をクラスの誰かの名前に置き換えて音読してみます
※物語では、作者の意図や伝えるべきことが伝わらなくなる危険性があるので、この方法は用いないこと!
効果…自然と笑いがうまれ、楽しんで音読に取り組むようになります。

「でしょ!」音読

これは言葉遊びなのですが、話題の「今でしょ先生」(東進ハイスクールの現代国語講師であり、テレビでもご活躍中の林修先生)の真似をしてみんなに声を出させます。
たとえば、「お母さんは?」→「ママでしょ!」 「スナックの?」→「ママでしょ!」「いつ終わるの?」→「今でしょ!」というように教師が適当な語呂を作り、児童に答えさせていく。

※林先生に限らず、児童に対して流行りものは受けるので、そのとき流行っている人のパロディを授業に取り入れられたら理想的です。
効果…楽しみながら声が出るようになります。

音読法において共通していることは遊び心をもとに物事を考えているということです。児童の心をつかむためには、面白いことをしてくれる先生という印象をつけることが非常に大切です。それにより学級運営がうまくいき、結果的に保護者からの評判も良くなります。これらのプラス効果がどんどん新たなプラスの効果を生み出していくことになります。

4 算数

手作りTシャツ

Tシャツに算数の公式をプリントして授業をすることで、クラスには笑いと和みが生まれ、なにより公式が印象とともに頭に入りやすくなります。
※またこれは、理科等で重要な語句をプリントするなどの応用にも使えます。

10マス計算
100マス計算が有名ですが、100マスは算数が苦手な児童には重い負担になってしまうこともあります。そのため、勉強が苦手な児童のいるクラスでは、10マス計算のほうが良いです
また、この学習は自分との闘いであり、他児童と比べたりはせず、以前よりも伸びたところを褒めてあげます。たとえ点数は伸びていなくても以前より集中できていたら、褒めてあげてください。

アベック10マス

男子児童のモチベーションや、やる気を上げるために使える工夫です。隣同士の児童に机をくっつけさせ、一緒に10マス計算を解かせます。このとき男子児童は良いところを見せようとするため良い結果が生まれ、それがまた自信に繋がります。

5 社会

100均の国旗カードを活用

100円均一の商品には授業づくりを楽にする多くのグッズがあります。
たとえば、国名を覚えさせるために国旗カードを用いて、児童に見せながら答えさせます。また、首都名も同時に覚えさせることもできます。
※小道具を使うことは児童に興味を持たせ、心を惹き寄せる大切な手段です。

社会音読

音読が重要なのは国語だけではないです

社会の教科書を読むときも、教師は重要語句のトーンを変え、読んであげることで少しでも印象に残る工夫ができます。
音読時の工夫は国語の音読の欄を参照してください。

6 理科

わざとまちがえて児童に正させる、身体を使った理科授業
理科の実験等で意図的にまちがえた行為をします。それを児童につっこませ、どこがおかしかったか、またどうするのが正しいかを答えさせます。

7 全体的な学級づくり

☆児童にしてほしい重要なことは、短冊状の紙に書かせ、教室に張っておくようにします。

☆勉強ができる児童は苦手な児童の手助けをさせるようにします。

☆音読の一環として、クラスで大切にしている言葉を読み上げます。

松森先生が児童に大切にさせている言葉で印象に残ったものは、「拍手は大切」 「どうぞ ありがとう おねがいします」 「聴くことは人を大切にすること」 「拍手できもちをつたえる」「雰囲気はつくれる」 「ペップ言葉を使おう」です。これらの言葉は教室に常に張ってあるそうです。

※ペップ言葉とは、ペップトークとも言われ、“短い激励の言葉”を指します。これは多くのスポーツにおけるコーチが選手のやる気を引き出すために使われている訓話です。頭ごなしの叱咤激励ではなく、ポジティブな言葉で励ますことを大切にしています。たとえば、「絶対負けるなよ」などの言葉を使う代わりに、「きっと勝てるよ」というような言葉を使います。

8 編集後記

松森先生は、児童を惹きつけるためのたくさんの工夫をされているだけでなく、多くのことを児童自らにさせることに重きを置いていらっしゃることが印象に残りました。

たとえば、給食は配膳するのではなく、何人かの児童がクラスみんなの分を用意してあげるようにすること。また先述しましたが、松森先生が言う大切な約束事などを短冊状の紙に児童に書かせ教室に張らせることなどです。このように児童の自立心を高めることも楽しい授業づくりに並行して築いていくべきことなのだなと深く思った講演でした。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 岸 剛志)

9 実践者プロフィール

松森靖行先生
「学びの場.com 学校・授業をより良くする教育ネットワーク」
http://www.manabinoba.com/index.cfm/
というサイト上で授業の工夫等を連載中。
教師のための講演会に精力的に出演され、日々学校・クラスづくりに奮闘されている。

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