学級づくりに必要な要素を要約するなら、次の3つを挙げる。
1 目標設定 2 安心 3 楽しさ
以下、説明していく。
1 目標設定
目標は、学級の全員で決める。
全員で決めるのだが、大まかな方針は予め担任が持っておく。
それは責務である。
自由の名のもと、子どもに責任転嫁してはいけない。
「全て自由は逆に不自由」ということは念頭に置いておく。
教師の仕事の側に置き換えるとわかる。
例えば、学習指導要領のようなものがなく、全て自分で自由に決めてやれと言われたら、これはきつい。
何年生ではここまでを最低限やるということが予め決まっている。
制約や方向性があるからこそ、逆にその中で自由に工夫してやれる。
学級は大海にいる船だと思って、船長は方針を示す必要がある。
そうしないと、大海をあてもなく漂流することになる。
だから、目標は必ず設定する。
できれば、学級が「柔らかい(=変化を受け容れやすい)」内の1週間で大まかな目標を決めたい。
そして1ヶ月ぐらいまでには、具体的な目標として固める。
後で少し変わることがあってもいいので、できるだけ早く決めてしまうのをおすすめする。
方向性さえ決まればそちらの方向にみんなで進めるし、位置が多少ずれても対応できる。
どっちに漕いでいいのか全くわからないという事態だけは避ける。
そして、目指す方向を、全員で共有していること。
完全とはいかなくても、全員が納得していること。
だから、最終的には全員でつくって決める必要がある。
そちらに行きたいとみんなが思ってないと、行動がまとまらないからである。
2 安心
全てのベースである安心感。
以前に何度も書いたが、これがないと始まらない。
船が危険とわかっていれば、誰も乗りたがらない。
「全員を必ず守る」という宣言と具体的な行動が必要である。
前年度からひきずっているいじめ問題などへの対処が必要になることもあり、大切な部分である。
そして安心は、自由と規律に関わる部分である。
規律なく自由のみという状態であれば、リーダー不在の学級崩壊と呼ばれる状態になる。
自由なく規律のみという状態であれば、専制君主という状態になり、これも隠れた崩壊の一種である。
自由と規律のバランスのある、安心感を与える。
やるべきはやる、駄目なことは駄目、遊ぶ時は思い切り遊ぶ、といったことである。
3 楽しさ
楽しさは、やる気と言い換えてもいい。
楽しければやる気が出る。
できる楽しさや挑戦する楽しさなど、楽しさも様々である。
笑えるということも楽しさだし、みんなで共有するというのも楽しさである。
楽しさの要素を、学級開きから必ず入れていく。
最初の内は、子どもにとって、サービスされる、与えられるものでよい。
楽しい授業も、こちらからまずは提供していく。
まずはやる気のベースとしての、教師と子どもの関係作りからである。
段階を踏んで、自分たちで作る楽しさに移行していく。
困難さの克服も楽しさの一種であるが、これらは後の方に持ってくればよい。
以上、まとめると、
目標がわかっていて、安心で楽しい学級
ということになる。
この方向なら、とりあえずの間違いはないように思われる。
プロフィール
松尾 英明
千葉大学教育学部附属小学校教諭
信条は「教育を、志事(しごと)にする」。
野口芳宏氏の「木更津技法研」で国語、道徳教育について学ぶ他、原田隆史氏の「東京教師塾」で目標設定や理想の学級作りの手法についても学ぶ。
著書に「ピンチがチャンスになる『切り返し』の技術」(明治図書・単著)、『やる気スイッチ押してみよう!元気で前向き、頑張るクラスづくり』(明治図書・共著)、「学級を最高のチームにする極意」シリーズ(赤坂真二編 明治図書・部分執筆)等がある他、「プレジデントオンライン」でも記事を連載中。
メルマガ「二十代で身に付けたい!教育観と仕事術」が「2014まぐまぐ大賞」教育部門大賞、「2015まぐまぐ大賞」知識知恵・人生哲学部門を受賞。ブログ「教師の寺子屋」で、日々の実践を紹介している。

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