1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載
されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
「時間と時こく」の発展として、時間について考える授業をした。私たちが普段使っているのは10進法である。しかし、時間だけは60進法である。このことについて考えてみた。
発問1:時間には、どんな数え方がありますか?
- 秒、分、時、日、月、年
など、時間を数える単位がたくさん出された。
発問2:秒がどのくらい集まると1分ですか、ほかにも何がいくつ集まると何という時間になるでしょうか。
- 1分=60秒
- 1時間=60分
- 1日=24時間
- 1ヶ月=30日
- 1年=12ヶ月=365日
こんな一覧表ができた。この一覧表を見ながら、
発問3:この数字を見て何か気がつくことがありますか。
じっと表を見つめていたが、そのうちに、
- 6の段みたいになっている
- 1年の365日の360日にすれば、6の段になっている。
と気づく子があらわれた。そこで
発問4:私たちがいつも使っている数字は、いくつ集まると位が変わりますか。位の部屋には、0からいくつまでの数が入ることができますか。
- 部屋には、0から9までが入れる。
- 10ごと大きな位になっている。
発問5:普段使っている数字は、10ごと大きくなっていますね。では分や秒は、いくつで新しい位になっているでしょう。
- 1分=60秒、1時間=60分で60ごとに変わっている。
時間は60進法であることを確認した。でもどうして60で変わるのだろう。このことについて考えてみた。
発問6:数は10ごと変わるのに、時間はどうして6の段になるのだろう。
この問いは大変に難しい問いである。子どもたちに「降参したら答えを教えてあげるよ」と挑発したが、誰一人降参をしないで頑張って考えた。
- 30+30=60だし、60+60=120だし、30−6=24だし、60×6+5=365だから、
- 時間は60とかになっているから、6の段だと思う。
- 他の段だと合わないから。
発問7:班ごとに相談して考えをまとめてみよう
- 時間は1から12までで、6+6=12でちょうど半分になるから。
- 12の半分は6になって、6で全部の時間(12,24,30,360)ができているから。
- 6の段をやっていた人が、時間を考えたから。
- 6の段だと分かりやすい人がいるから。6の段だと数字を書くのが楽だから。
このような説が出された。そこで、時計が60進法の理由をもう少し考えてみた。
発問8:1年はどんな風にわけられますか。また1日をどのように分けていますか。
〈1年〉
(÷2)前期と後期 180日 (÷3)1,2,3学期 120日
(÷4)春夏秋冬 90日 (÷12)1~12月 30日
(÷360)1月1日~12月31日 1日 …あまりなし
〈1日〉
(÷2)昼と夜 12時間 (÷3)ごはん 8時間
(÷4)午前午後夜深夜 6時間 (÷24)1時から24時 1時間 … あまりなし
60進法だと約数が多く存在し、いろいろな数でわけることができる。時間を区切っていくつかに分けるときに便利だったことや、地球が太陽の周りを回るのが当時360日だと考えられていたことから、時間は60進法が定着したことを説明した。
授業の感想
- ぼくは6はわかりやすいから書いたら先生が「近い」と言いました。理由を聞いてぼくはすげー驚きました。すごく楽しい算数ができました。ぼくの脳も少しは働いたでしょう。
- 360日で地球が回るというのを発見した人はすごい人だと思った。6はいくつで割ってもあまりが出ないとわかった。人間って頭がいいな。
- 最初あまりが1個はあると思いました。でも、あまりはなかったです。割れる数は、2,3,4,6,12,60,360が割れるのはびっくりしました。1年間のわり算は5つあります。いろいろにわけているからすごかったです。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない
」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」
という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってよ
り価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
先人の知恵というのはすごいですね…。身の回りの数字から授業を組み立てるという発想が光る実践でした。皆様、ぜひご活用ください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 細木和樹)
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