1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
この単元では、表の資料をもとに棒グラフを書きあらわすことが主な目標である。棒グラフを描くだけではなく、見やすい・分かりやすいということも意識した授業をおこなった。
グラフの題材として選んだのは、「テレビを見た時間とゲームをした時間」である。
発問1:これから1週間、テレビを見た時間とゲームをした時間を記録していこう。
一日ごと表に記録をつけていった。1週間が経ったところでグラフ作りをした。
発問2: 調べて時間をグラフに表してみよう。
子どもたちには、縦軸の目盛りが入っていないグラフ表紙を配り、目盛りを自由に描かせた。棒グラフは赤鉛筆で色をつけた。
(ここから本時)グラフができたところで
発問3:このクラスで一番テレビやゲームをしている人は誰でしょう
テレビやゲームを一番多くしている人は誰だと思うか、普段の生活の様子から予想をした。すると「Yくん」「Rくん」といった「さもありなん」といった名前があがった。
そこで、記録をもとに作ったグラフを見て、本当にそうか確かめてみた。
発問4:描いたグラフを黒板に貼ってみよう。パッと見てとれが一番多くに見えますか。
・Cさん ・Tくん
自分たちの予想と違っていたので、子どもたちは意外な顔をした。黒板に貼ったグラフを席から見ると、Cさんが多く、多いはずのYくんの倍ほどに見える。
発問5:では本当にそうなのだろうか。近くに来てグラフを詳しく見てみよう。
近くに来て二つのグラフを見比べてみると、縦軸の数字にも目が届くようになった。「うわぁ、Yくん5時間もやっている」と思わず声が上がった。1日平均2時間以上テレビやゲームをしている子が、全体の半分いた。
発問6:なぜ遠くでパッと見た時にはCさんが多く見えて、Yくんは少なく見えたのだろう。
- 横の数字が少ないかもしれないから。
- 横のところを見ないと多いか少ないか分からない。
- 数字が少ないと見た目が少なくても本当は多い。
発問7:縦の軸の目盛りは何とびにしたら見やすいと思いますか?
- 10分くらい。10分は分かりやすいし数えやすい。
そこで10分間隔の目盛りを入れたグラフ用紙を配り
発問8:1回目のグラフを工夫してもっと見やすくしよう。
- 曜日ごと棒の色を変える
- 1時間ごと棒の色を変える
- 目盛りのところに線を引く
- 棒グラフの中に斜線などの模様を描く
といった工夫が見られた。みんなグラフができたところで、黒板に貼りだし誰のグラフが気に入ったか拍手をして決めた。
発問9:横の軸は、日・月・火・水…のように順番に並んでいるけれど、こちらも順番を変えることができないでしょうか。
すぐに「できるよ」の声。「多い順がいいんじゃない?」というつぶやきがあった。
そこで3枚目の表紙(曜日の順番を変えることができるようにしたもの)を配り、3回目のグラフを描いてコンテストをした。
発問10:では曜日の順番を変えて、もっと工夫してグラフを描こう。
3回目と1回目のグラフを見比べると、どれも見違えるほど見やすくなっている。中には2時間以上を【危険ゾーン】とした子もいた。
発問11:授業の感想を書こう。
- グラフはいろいろやり方を変えているからすごい。いろいろ工夫してやると分かりやすい。みんな工夫しているなと思いました。
- グラフを作って思ったことは、問題やいろいろなことをすれば、グラフはいろいろなことに使えるかなと思いました。グラフはすごいんだなと思いました。
- グラフを描くのがだんだんうまくなってきて、少し変えるとすぐわかる。このやり方は楽しめるやり方だと分かった。
3 プロフィール
静岡県教育サークル
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない
」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」
という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってよ
り価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
情報というのは切り口によって捉え方が大きく変わるものです。この授業を通して、生徒達が身の回りの情報を多角的に捉える力が身に付くのではないでしょうか。算数は奥が深い…。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 細木 和樹)
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