1 はじめに
本記事は、「関西算数授業研究会 第11回公開授業会」(2015年8月29日)で行われた公開授業をもとに作成しています。「割合の素地」を身に着ける小数÷整数の授業を紹介します。
2 指導計画
第1時 小数×整数…3時間
第2時 小数÷整数…5時間(本時4/5)
3 本時の目標
- 割り進めることと余りを出すことを比較することで、商は除数を1とした時に被除数が何であるかという割合の見方が出来るようになる。
- 問題場面によって、割り進めることと余りを出すことの双方の中から、適切な答えを出すことが出来る。
4 実践内容
1.24÷5の計算をしてみよう。
- 余りを出す場合…24÷5=4あまり4
- 割り進める場合…24÷5=4.8
の2つの場合が考えられる。ここでは、「余りを出すこと」と「割り進めること」の復習をする。また、2種類あることを理解させる。
2.問題を解いてみよう。
問い「24cmのロールケーキがあります。1個5㎝ずつ切ります。5cmのロールケーキは何個出来ますか。」
(生徒の答え)
A 24÷5=4.8 答え 4.8個
B 24÷5=4あまり4 答え 4個
Aは少数派で、Bは多数派になった。「4.8個が答えとして正しいのか、間違っているのか」と問いかけると、「間違っている」との声が上がった。
3.「4.8個」が一体何を指しているのかを考えよう
数直線や図を使って、自分たちで考えてもらう。
(指導上のポイント)
途中、「図を書いてみるといいよ」などアドバイスをする。
4.図を使って説明しよう
[子どもたちの考え]
- 5cmずつ切っていた最後の残りは4cm
- 最後余ったのは0.8cm
(問いかけ)「4cmと0.8㎝どちらが正しいですか?」
[子どもたちの考え]
- もし、0.8にしたら、合計が24㎝にならないので、間違っている。
- 0.8は、5㎝を1個とした時に、0.8個になるということなので、実際は4㎝である。
5.「0.8個は4㎝なのですか」を隣同士で話し合おう。
[子どもたちの考え(例)]
「0.8は㎝が単位ではなく、個が単位になる。0.8個が正しくなる。」
(問いかけ)「表し方が違うのに、一緒でいいのですか?」
[子どもたちの考え(例)]
「4㎝という言い方もあれば、0.8個という言い方もある。」
(問いかけ)結局「4.8個という答えが正しいのですか?」
【指導上のポイント】
- テストで解答する時にどう答えるのか考えさせる。
- 4.8個という答えは、答えとしてはおかしいが、見方としては正しい」ことを伝える。
6.類題を解こう
- 7Lのジュースがあります。4人で等しく分けます。1人分は何Lですか。
- 1人分の肉8gでぎょうざを作ります。52gの肉があります。何人分出来ますか。
【指導上のポイント】
- 割り進める場面と、あまりを出す場面についてどちらが正しいのか考えてもらう。
- 等分する場合は、割り進めて答えを出す。
- あまりを出すときは、だいたい何本出来たかを知りたい時である。問題によって使い分けることを伝える。
5 書籍のご紹介
小林秀訓先生も執筆なさった「算数授業で学級づくり」(東洋館出版社)です。
是非参考にしてみてください。
6 研修会のお知らせ
平成28年2月27日(土)に平成27年度大阪教育大学附属池田小学校研修会が開催されます。
詳細は以下のURLをご覧ください。
http://www.ikeda-e.oku.ed.jp/index.php/home-3/
7 編集後記
小5で習う「割合」の考え方を身に着けさせることは難しいと先生方が口々におっしゃっ
ていたのが印象的でした。このような授業で、先取りして学習することで、子どもたちは、
新しい考え方を身に着けていっているのではないかと感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)
コメント