1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
長さの学習でKmについて学びました。このKmを取り上げ、いろいろな視点で考えてみました。今年はオリンピックの年なので、マラソンを題材に取り上げました。
1.マラソンについて
「今年はオリンピックがあるけれど、どこであるか知っていますか?」(青色=教師の発問)
よくわからなかったようなので、ギリシャの地図を配りアテネを探しました。
「オリンピックの陸上で日本がメダルを取れそうな種目があるんだけれどわかりますか」
「マラソン?」
ある子が小さな声で呟きました。男女ともにメダルの可能性があることを話してから、
「マラソンではどのくらいの距離を走るでしょう」
距離についても50Km、30Kmという声があがっていたので、マラソンでは42.195Km走ることを教えました。
「42.195Kmは、何Km何mと同じだと言えるでしょうか?」
1Km=1000mであることを確かめると、42.195Km=42Km195mであることがすぐにわかりました。思わず「すごく半端だ」の声が出ました。
そこでマラソンの由来や距離にまつわるエピソードを紹介しました。
2.マラソンに関するエピソード
「地図の中からマラトンという場所を探しましょう。マラソンは戦争の勝利を知らせるためにマラトンという町から走った兵隊がアテネに着いたときに死んでしまった、という話があります」
0.195Kmの半端な数字については、諸説あるようだが、イギリス王室の話を紹介しました。
3.マラソンの距離
「4.42.195kmは、静岡からだとどのあたりまでになるでしょうか?」
西は掛川、東は沼津まであたりでなることを教えるとびっくりしていました。次に「この42.195Km、日本ではどうやって距離をはかっているでしょうか」
- 自動車
- 自転車やオートバイ
- ころころ(距離測定器)
- 50mずつ巻き尺で測る。
4つの考えがなされました。正解を予想させると〈自動車〉が12人と圧倒的に多かくなりました。正解は〈50mずつ巻き尺で測る〉です。考えを変えて予想したCさんはとても残念がっていました。国際大会では自転車を使って測定するそうです。
次にその測定の仕方を考えてみました。
「長さを測るときには、道の端から30cmだけ離して50mのワイヤーを置いて測ります。では図のように曲がった道のときは、道のどこにワイヤーを置いて距離を測るでしょう」
4つの考えが出されました。
正しくは、できるだけ直線になるように道の端と端を結んだ線にすることを教えました。
4.授業の感想を書こう。
- マラソンとマラトンはとても似ていて面白い。楽しい勉強でした。早く帰ってお母さんたちに教えてあげたいです。楽しかった。
- 楽しくてどこに巻き尺を置くかが面白かった。戦争のお話を聞いて勝ったことを知らせるのに走ったら疲れて死んじゃったお話でした。
- マラソンはこんなにすごい話があるなんて知らなかった。42.195Kmを巻尺で測るなんてすごかった。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
今回は「長さ」に関する話題としてマラソンについて扱っていました。マラソンに限ったことではありませんが、あらゆる物事には意味やルーツがあります。
今回の授業を受けて、マラソンのルーツを知ることに興味と楽しさを感じた子供たちが、さらに知的好奇心を発揮して、身の回りのもののルーツ探しをするようになってもらえればと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 松尾春来)
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