「大造じいさんとガン」 国語・授業案 ~大造じいさんの感動を読む~

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目次

1 はじめに

国語・物語文「大造じいさんとガン」の授業案です。
情景描写の効果や物語のクライマックス、大造じいさんの気持ちの変化を中心に読み取る展開です。
毎時間の交流により読み深めていきます。

また、記事の最後に「読むこと」の評価基準例を載せました。
具体的な叙述から、読む力を育成する手立ての参考になればと思います。

2 単元について

目標(読むこと)

  • 情景描写と人物の心情
  • 大造じいさんの残雪に対する気持ちの変化(クライマックス)
  • 登場人物の相互関係や心情,場面についての描写を捉え,優れた叙述について自分の考えをまとめること。(読むこと エ 5,6年)

学習活動

  • 物語の大筋を捉える
  • 情景描写と心情の関係を読み取る
  • 大造じいさんの気持ちの変化をまとめる
  • 大造じいさんの感動を読み取る

3 授業案

物語の大筋を捉える

情景描写と心情の関係を読み取る

大造じいさんの気持ちの変化をまとめる

大造じいさんの感動を読み取る

4 評価について

◯登場人物の相互関係や心情,場面についての描写を捉え,優れた叙述について自分の考えをまとめること。(読むこと エ 5,6年)

・優れた叙述

「残雪はむねの辺りをくれないにそめて、ぐったりとしていました。しかし、第二のおそろしい敵が近づいたのを感じると、残りの力をふりしぼって、ぐっと長い首を持ち上げました。そして、じいさんを正面からにらみつけました。
それは、鳥とはいえ、いかにも頭領らしい、堂々たる態度のようでありました。」

「最期の時を感じて、せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努力しているようでもありました。
大造じいさんは、強く心を打たれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした。」

・注目する言葉

「残りの力をふりしぼって」「じいさんを正面からにらみつけました」

「鳥とはいえ、いかにも頭領らしい、堂々たる態度のよう」

「最期の時を感じて、せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努力しているようでもありました。」

「大造じいさんは、強く心を打たれて、ただの鳥に対しているような気がしませんでした。」

・堂々とした残雪を見た大造じいさんの感動とは?

A:今までの大造じいさんと比べて変化を書く→背景

A:残雪の具体的な行動を書く→きっかけ

A記述例:「今までは~~だったけど、残雪のーーを見て、◯◯を感じた」

・感動の背景は?(今までの大造じいさんの行動や考え方)

①自分の卑怯な考え方
「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」=油断させる、騙す、卑怯

②残雪やガンを軽く見ていた
「たかが鳥、思わず感嘆の声をもらす」=劣等、軽視…人間の驕り、傲慢さ

・大造じいさんの変化のきっかけは?

①仲間のために戦う残雪

②正面からにらみつける頭領としての威厳

・ライバル、英雄、えらぶつ、対等な存在

・感じたこと(感動の中身)

優しさ…仲間を助ける優しさを感じた。

どこをみて?
「残雪の目には、人間もハヤブサもありませんでした。ただ、救わねばならぬ仲間の姿があるだけでした。」
罠の時もそうだし、今回も命をかけて守ろうとした。

勇気…狩人には、賢さだけじゃなく、命をかける勇気も必要なんだ。

どこをみて?
「残雪の目には、人間もハヤブサもありませんでした。ただ、救わねばならぬ仲間の姿があるだけでした。」
命をかけて仲間を守ろうとした。

潔さ…生物の最期の命の輝きを感じた。

どこに?
「正面からにらみつけました」
「いかにも頭領らしい、堂々たる態度」
「最期の時を感じて、せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努力しているようでもありました。」

尊敬…堂々とした態度。

なぜ尊敬?
「最期の時を感じて、せめて頭領としてのいげんをきずつけまいと努力しているようでもありました。」
仲間を守ってきたリーダーとしてのプライド。
自分は、いまいましく思っていた残雪を、手段を選ばず殺そうとしていた。

励まされた…また堂々と戦おう。

「堂々と」とは?
「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」=油断させる、騙す、卑怯
今までに感じたことのない戦い方(堂々と)が嬉しい。

5 関連資料

『老人と海』(The Old Man and the Sea)
アメリカの作家アーネスト・ヘミングウェイによる短編小説。
徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。

ハヤブサ

大造じいさんとガン 授業案.pdf

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 質問ですが、「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」これらはひきょうな行動にあたるのですか?
    他の所はなるほど!と勉強させて頂いたのですが、ここだけなぜそうなるのか納得できません。

  • Kumi Mikuさん コメントありがとうございます。
    「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」がひきょうな行動にあたるのか?ということですが、教科書4場面の大造じいさんのセリフ
    「おうい、ガンの英雄よ。おまえみたいなえらぶつを、おれは、ひきょうなやり方でやっつけたかあないぞ。」「また堂々と戦おう」 に注目しました。

    大造じいさんの言う「堂々と戦おう」というのは、残雪とハヤブサとの戦い/大造じいさんと残雪の対峙の場面から、〈お互いが相手を敵(戦う相手)だと認識している状況で正面から戦うこと〉だと考えられます。
    すると、「うなぎ釣り針、タニシ、おとり」の場合は、残雪がじいさんに気付いていない状況で残雪をやっつけることになり、 これは「堂々と」ではなく「ひきょうなやり方」だと考えられます。

    以上が質問への回答です。 もしよろしければ、Kumi Mikuさんの読みや、なるほどと感じた箇所を教えて頂けると幸いです。

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