読解指導はイメージ化を中心に(岡篤先生) 前半

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目次

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「 教師の基礎技術~読書と読解~ ~763号~767号 」から引用・加筆させていただいたものです。
 イメージ化というものを中心にして考えた読解指導を紹介します。
岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

イメージ化までの経緯、またイメージ化についての後半の記事は、こちらをご覧ください。
* 「読解力と人間関係~イメージ化導入までの経緯~(岡篤先生)
* 「読解指導はイメージ化を中心に(岡篤先生) 後半

2 実践内容

■イメージ化は

1人の女の子の発言から、「読解指導はイメージ化を中心に」ということを考えるようになりました。ただし、そう考えただけで、イメージ化の力を育てたら、本当に友達の気持ちが分かることにつながるのかということは不明です。

■大筋OKなら

しかし、
「読書が人生を豊かにする  
 教育の目的は人格の完成」

といったようなことを考えると大筋では間違いではないともいえるのではないでしょうか。細かい実証はできませんし、そんなデータも見ていません。そもそも、「どの程度友達の気持ちを分かるようになったか」ということの数値化は、かなり難しいものでしょう。
 そのデータを見つけたところで、「これは信用できるか?」などと考え出せばきりがありません。大筋OKなら、それで充分です。

■何をすればよいのか

では、「イメージ化中心の読解に取り組む」として、何をすればよいのか。そこから始まります。

今回は、今までのようにすでにある指導法から選ぼうとするのではなく、目の前の子どもと私自身の実感から1つずつ考えていくことにしました。それが、正しいのか、有効なのかはやってみないと分かりません。
 しかし、迷いは少なくなりました。

■イメージ化する部分

まず、イメージ化を中心に考えることで教材研究の方針が明確になりました。
 私は、原則として教材文をコピーし、そこに書き込みをしながら教材研究をします。

それ自体は変わらないのですが、教材文を読むときに、「イメージ化させたいところはどこか」「子どもがイメージ化できなさそうなところはどこか」と考えるようになりました。

これまでも、イメージ化について考えていましたが、いろいろある中の1つでした。イメージ化を1番に持ってくることで教材分析が効率的にできるようになったわけです。

イメージ化出来なさそうな部分を探す。

■漢字の読み、言葉の意味

教師がイメージ化させたいと思う部分と子どもがイメージ化ができないだろうと思う部分は違います。

例えば、基礎的な部分からいくと「漢字が読めなければイメージ化はできない」
と考えて良いでしょう。「言葉の意味が分からない」というのも同様です。
読みや語彙は子どもによってずいぶん違います。

そのあたりを底上げしておかないと、イメージ化どころではありません。

■結局はふつうのことを大切に

ということは、「きちんと漢字の読みや言葉の意味を確認する」といった、ごく当たり前のことがイメージ化への基礎となるわけです。ただし、漢字の読みや言葉の意味もそれだけが目的ではなく、イメージ化につながるための一つのステップと考えるといかにしっかりと指導するかという意識になってきます。イメージ化という目標をもったために、それまでやっていたことの意義がより明確になったと言えます。

■すらすら音読できること

漢字の読み、言葉の意味といった基礎的なことがまずできていることがイメージ化への第一歩となります。

次は、すらすらと音読ができることです。たどたどしく、つっかえながら読んでいる状態では、なかなか内容にまで入るゆとりはありません。となると、音読の練習も必要になります。私は、すらすらと音読できるようになるための練習方法としては、交換読みを多用しています。

2人組になって教科書を交換し、1人が読み、1人が相手の読みを教科書にチェックするという練習方法です。練習量が確保できるのがこのやり方のメリットです。

■文章の中で

すらすら音読できるようにというのは、言うのは簡単ですが、実際にクラス全員に徹底させようとするとなかなか大変です。宿題にしてもなかなかやってこない。交換読みなどで授業中に練習してもすぐにはうまくならない。

私は以前、「音読練習は時間がかかる割に成果がでない」と音読にほとんど時間をかけなくなったこともありました。しかし、それで読解指導に時間をかけても結局は形だけになっていたのです。

漢字や語彙、音読といったことがイメージ化にとっても大切なことを再認識しました。

それまでなら、音読が大切なのは分かるが、時間をかけていては読解ができない
と思う部分もありました。今は「できるだけ音読練習の時間を確保しよう」と考えています。音読ができないままでは、イメージ化にはたどりつかないからです。

後編に続きます。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

「イメージ化」というものを中心に、読解指導を考えた記事です。実際に児童が、読解する中でイメージ化することが出来るようになるためには、基本的なこと、つまり漢字や音読などが重要であると書いてあったことが印象的でした。後編では、具体的な例を見ながら、考えていきます。

(文責・編集 EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)

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