1 はじめに
本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~辺縁系教育108~心地よさへのハードル~小黒板の工夫~1031号~1034号」から引用・加筆させていただいたものです。
ここでは次の授業に向けての工夫を紹介します。この実践によって時間を節約し、有効に使うことができます。
岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm
2 実践内容
ちょっとした工夫
小黒板のちょっとした工夫とは、その時間の学習で教科書を使うとき、どのページから始めるかを書いておくということです。クラスの約束としては、次の時間の準備をしてから遊びに行くというものがあります。
■次の時間の準備
準備とは、教科書、ノートを出しておくということです。「出しておくだけでなく、教科書は次の学習を予想して、開けておくノートは、日付を書いておく」ということも話しています。この次の「学習の予想」がなかなかできません。
■次の学習の予想
もちろん、いくらきちんと計画していても、急に予定が変わることもあります。「次の学習の予想をして準備しよう」といっても、間違えた時に叱るわけではありません。ただ、「昨日は、10ページで終わったから、今日は11ページかな」「今、分数をやってるから、今日も分数だろうな」といった程度の予想をして、教科書のそのあたりをあけて、ノートにも日付を書いておこうと言っているわけです。
■気になる
「間違ってもどうってことないし、だいたいそのあたりを開けておくだけでも、何も準備してないより、ずっといいから」と繰り返しいうのですが、どうもはっきりしないと気がおさまらない子が少なからずいるようです。考えてみると、この「そのあたり」という感覚は高度なのかもしれません。そこで、小黒板に教科書のページも書くようにしました。
■ページがわかると安心する
不思議なもので、小黒板に次の時間の教科と教科書のページを書いておくと子どもたちは安心して準備を済ませます。たかが準備で、間違えたといっても叱られるわけでもありません。それでも、気になる子は「どこのページからだった?」と心配になるのです。
時間の節約
子どもたちが次の学習の見通しを持つことは、意識が学習に向くということでもあります。そして直接的には、時間の節約にもなります。時間の節約でいうと、私のクラスではもう一つ小さな工夫をしています。次の時間の板書の最初を休み時間のうちに始めておくということです。
日付を書いておく
休み時間に遊びに行く前に、教科書を開けて、ノートに日付を書いておくということができていると授業の始まりはかなりスムーズです。しかし、子どもによってはなかなかこの習慣が定着しない子もいます。小黒板に教科書のページを書いておくとある程度、この問題は解決します。もう一押し、黒板に日付を書いておくのも効果があります。
日付とページ
私のクラスでは、黒板を消すのは当番の仕事です。授業が終わったらすぐに消してくれることになっています。そこで、消された黒板に次の時間の授業の板書を始めます。といっても、内容には入りません。日付とページを書いておくだけでも効果があります。忘れていた子が気づき、書いていた子は安心するからです。
3 執筆者プロフィール
岡 篤(おか あつし)先生
1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている(2016年9月27日時点のものです)
4 書籍のご紹介
『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年
『書きの力を確実につける』2002年
『これならできる!漢字指導法』2002年
『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年
『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年
5 編集後記
この実践はスムーズに授業を始めることができるので、時間を節約し、有効に使うことができます。その上、児童の意識を次の授業に向けることができるのでとてもおすすめです。
クラスの習慣にしてみてはいかがでしょうか。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 福山浩平)
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