1 はじめに
この記事は、NPO法人eboard代表理事である中村孝一さんに取材し執筆したものです。
NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会の実現」をミッションに、様々な課題により学習機会を損なわれている子ども達に対して、インターネット上で無料で学べる環境を提供し、学習面での課題解決を目指しています。
詳しくはこちらをご覧ください。(eboard公式HP:https://www.eboard.jp/)
なお、記事中の中村理事の発言には編集上の関係から記者が一部手を加えています。
2 eboardとは
eboardとは、約2,000本の映像授業、5,000問のデジタル問題集(2017年4月時点)からなり、生徒が基礎基本を丁寧に学習することができる個別学習サイトです。生徒の苦手克服や復習のために教育現場で開発された無料の教材で、生徒は映像教材を見ながら、基礎基本を自分のペースで学習することができます。eboardの解説動画は分かりやすく、丁寧な教材として評価が高いことから、大手教育会社にも提供されています。
3 eboardの教育現場における立ち位置
eboardは、基本的に生徒の個別対応のためのツールであり、一斉授業の中で使うことは難しいと思われます。なぜなら、どの教材で学びたいのかは生徒一人ひとりによって異なるからです。例えば、教科書などの紙媒体で学ぶほうが身に付く生徒もいれば、eboardのように映像教材のほうが身に付く生徒もいます。生徒には自分自身に見合った教材を選択する力が必要だと考えていますが、eboardの立ち位置としては、一斉授業という、全員同じペースの学習ではついていけない生徒を対象とした、基礎基本を身に付けるための一種の学習教材として理解していただけたらと思います。生徒が自分のペース、自分のやり方で学習できる環境を担保したい、これがeboardの思いです。
4 eboardの教育現場での活用方法
eboardは、公教育および無償の学習支援の場においては無料で使用することができます。主な活用事例としては、学校教育においての学び直しの授業や、地方の学習支援ボランティアなどでの利用が挙げられます。eboardというICT教材を使用することによって、先生は授業準備にかかる時間を短縮することができるだけではなく、学習記録が残るため生徒に自分の苦手を意識させることができます。
5 eboardを使用したいと考えている先生方へのメッセージ
中には、ICTという教材に苦手意識を持たれている先生もいらっしゃるかもしれません。しかし、ICTは非常に便利なツールであり、将来生徒が必ず触れていかなければならないものになります。先生方にも、負担にならない範囲で、まずはプライベートの時間からでよいので、テクノロジーに触れる時間を増やしていただけたらと思います。そして、子どもたちの目線になってICTの良さを実感していただけたらと思います。
6 プロフィール紹介
中村孝一(なかむら こういち)さん
大阪大学外国語学部卒。在学中に学習塾勤務や学習支援を通じて、教育格差を痛感。 卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て、2011年7月、eboardを立ち上げる。サイト開発、プロジェクト推進を行う傍ら、これまでに1500本以上の映像授業を制作している。(プロフィールは2017年9月19日時点のものです。)
7 編集後記
eboardは、一斉授業ではサポートしきれない子ども達に対して非常に有効なツールになり得ることが分かりました。ますます進化していくだろうICT教材の動向を今後も注視していきたいと思います。(取材・編集:EDUPEDIA編集部 大森友暁)
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