提出物・プリントは向きを揃えて美しく置く ~配布・回収を手際よく

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ちょっとした気遣いができる子供を育てる

年間で配布・回収するプリントの多いこと。最近は業務改善がクローズアップされているため、少々配布物が減ったというものの、多いです。プリントを配り、回収するという作業がこれだけ多いのだから、この作業を上手にルーチン化すればスムーズに進みます。ちょっとした気遣いができるようにすることで、年間を通して子供を褒める機会を作ることができます。些細な事ですが、年度当初の設定がきちんとできていると、後々が楽です。逆に、毎日の配布・回収の作業で礼儀を踏みにじられているような状態になってしまうのは、年間を通して大きなマイナスになってしまいます。

向きを揃え、美しく置く

プリントを回収する場合に、向きをバラバラで提出させると、後で教師が向きを揃えなくてはならない羽目になります。また、向きがバラバラなことで、置き方も雑になります。ぐちゃぐちゃに積み重ねられるとこちらもムッとしますし、教室の整理整頓に逆行します。

そこで、年度当初に「提出物は、『先生見てください』の方向できれいに積み重ねて出します。」と、指導します。学年によって指導のやり方は変えるといいと思います。1・2年生であれば、『先生見てください』の方向を、実際にプリントを持たせて確認するといいですね。

こう指導しておいて、その後、プリントを回収する場面が次の指導のチャンスになります。みんなが出したプリントがきれいに積み重なっていない時に「トントン」と、揃えてくれる子供がおそらくクラスに一人ぐらいはいます。ひとしきり回収が終わったら、「とても、いい人を発見しました。プリント(ノート)がきれいに積み上がってなかったのを見て、○○さんが、「トントン」ってやってくれて、きれいになりました。何気ない心遣いだけれど、とっても素敵だよね。」と、褒めましょう。
低学年であれば、褒めてもらいたくって「トントン」強奪戦が始まります(笑)。

答え合わせ時にも

答え合わせの時に並ばせて教師がどんどん〇×をつけていく場面があります。この時、できるだけスピーディーに答え合わせができるのも、一年を通して大事なポイントです。
この時にも「『先生見てください』の方向で丁寧に出してね。ちゃんと出さないと見ないよ。」と指示しておきましょう。それでも逆向きに出した時には、無言で、子供が気付いて修正するのを待ちましょう。

算数はよりシンプルに答合わせを | EDUPEDIA

答え合わせをスピーディーに | EDUPEDIA

テストの回収時などに番号順に集める

テストなどを出席順に集めるには、1・6・11・16・21・26・31・36番(あるいは5・10・15・20・25・30・35・40番)の子供にあらかじめ、5枚ずつ集めるように言っておきます。5・10・15・20・25・30・35・40番の子供の席に、持っていかせるのもいいですね。5番を下にして、4→3→2→1と置くように指示していれば、きれいに出席番号順に集めることができます。集める子供が集めて回るのではなく、集める子供の所に、他の人が持っていく方が作業が速くなります。

班に配る・班で集める

モノによっては、列で配布・回収をするよりも、班に配布、班で回収する方が合理的なこともあります。
集め係やもらい係、あるいは曜日ごとの班長を決めておいて子供を動かすのもいいと思います。

機能的な班作り ~曜日ごとにリーダーを変える | EDUPEDIA

「作業ができたら回収」をする場合は、一番遅い人の所に集めて回収するのもいいと思います。

回収・配布に際して一年間、褒め続けられる機会を作る

プリントを列で配って後ろに回すときに、乱暴に渡したり、なかなか次に回さずに停滞させたりしてしまう子供がいます。これを防ぐのに、「どうぞ」「ありがとう」を言わせる学級を見かけることがあります。また、教師からプリントを手渡された時に「ありがとうございます」を言わせる指導も見かけます。私はそれはやり過ぎな気がして、個人的にはあまり好きではありません。なので、私は最初の1週間だけ、「どうぞ」「ありがとう」を言わせて、その後は、

「気持ちよくプリントが配れるようになって素晴らしいよ。お互いがそういう気遣いをできることで、いいクラスになっていくんだよ。先生にも、「ありがとう」って言ってくれる人が少し頭を下げて言ってくれています。でも、一年間ずっと言葉に「どうぞ」「ありがとう」を出すのもたいへんなので、これからは心の中で「どうぞ」「ありがとう」を言うことにしようね。先生にも言わなくていいよ。言葉にしなくていいから、その気持ちを持ち続けようね。」

と言って、止めてしまいます。
いずれにせよ、年度当初にこうした設定をきちんとやっておけば、一年間を通して気持ちのよい生活ができます。私は朝、机の上に連絡帳や宿題を集めさせますが、毎日のようにきれいに積み上げられているのがうれしいです。丁寧に提出した時に、「ありがとね」と言って、何回も褒めてあげることができます。毎回ムッとしてイラつくのか、毎回嬉しい気持ちになるのか、どちらがいいですか?

返却時にむしり取らせない

教師の手からプリント等を返却する時に、焦ったり、腹が立っていたり、恥ずかしかったりするのか、むしり取るようにプリントを奪う子供もいます。教師としてこれをやられると、かなりムッとします。むしり取った時は必ずいさめましょう。これも、上記と同様、「ありがとうございます」を言って丁寧にもらうように指示・指導をして予防線をはっておきましょう。後にやめてしまうのも、上記と同様です。

学校全体でルールの共有を

こうしたルールは学校全体で共有しておくといいと思います。特に、提出物をどちら向きで出すのかぐらいは揃えておくとよいと思います。私は『先生見てください』の方向がいいと思っていますが、その逆を指導している教師もいて、クラス替えがあると子供が混乱します。ちょこっと話し合ってみると解決する事だと思います。学校全体でルールを共有して年々積み上げておけば、年度当初に指導する時に、いきなり「褒める」から始められます。「きちんとできているねえ。さすが〇年生だねえ。」と、子供の自発的で善良的な行動を取り上げて感心するところでスタートできるわけです。若い教師が赴任してきても、すでに子供が出来上がっているわけですから、そこはスムーズに発信できるわけです。
もちろん、子供たちは中だるみしますので、年度途中で「ずっとちゃんと向きを揃えておいてくれている人、ありがとう。でもちょっと最近、ちゃんとおいてくれていない人がいるから、もう一度言っておくね・・・」と、修正を加えましょう。単なる配布・回収を丁寧にするというだけの話ではなく、1年いや6年を通して、「自己中心的な殻の中に閉じこもるのではなく、人を気遣う機会を通して対人的な優しさを身につける」ことを身につけさせるのです。そして、こちらもその礼儀正しい態度を1年中ほめ続けることができます。

今年の卒業式は私が昨年受け持った学年が卒業生でした。私は卒業証書を証書ばさみに挟む役割をしていたのですが、どの子供も、私の方に文字が見えるように持ちかえて私に証書を預けてくれました。証書を挟んで返すと、多くの子供が小さな声で、「ありがとうございます」と、言ってくれました。証書を挟むのは私の仕事で、言わばお金(給料)をもらってやっているわけなのですが、そんな事を超えて、お互いが感謝の気持ちを持ってつながっていられることに幸せを感じました。教育は積み重ねです。

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