中学地理〜ロシア連邦〜(自主学習用教材「こころの窓」第17回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第17回「ロシア連邦」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日も一緒にがんばりましょうね!

今日のお題は「ロシア連邦」です。

ロシアという国はとにかく大きく、世界最大の国土を持っている国で、なんと日本の45倍もあるのですよ。人口は約1億4000万人といわれ、首都はヨーロッパに近いモスクワです。この国は、かつては王様が治めていた国でしたが、1917年にレーニンという人がロシア革命を起こし、1922年にソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)になりました。その後、1991年にソ連は解体され、ロシア連邦と11の共和国に分かれたのです。

下の地図を見ていただくとよく分かりますが、赤色で塗られたところがロシア連邦です。左の方に大きなウラル山脈があり、右の方には世界最大の湖であるバイカル湖があります。また、ロシアの東の端から西の端までを結んでいるシベリア鉄道も有名です。鉄道の長さも世界最長なのです。ただ、世界一大きな国ですが、そのほとんどが冷帯と寒帯で、人があまり住んでいないところが多いのです。

ロシアの農業は、小麦をたくさん作って世界中に輸出しています(輸出も世界1位です)。工業は、鉱産資源(こうさんしげん)がたくさんあるので、特に石油はサウジアラビアに続いて世界2位の輸出をしています。その他に、石炭や鉄鉱石などもたくさんあります。

このロシアという国は、中国と同じ社会主義(しゃかいしゅぎ)の国でした。この社会主義というのは、個人で農業をしたり、お店をつくったりしてはいけなかったのです。少し難しいですが、農業も工場もすべて国が経営しており、そこに国民が働くという方法をとっていたのです。農業をする人も、会社で働く人も、学校の先生もお医者さんも、すべて国からお給料をもらっていたのです。つまり公務員ですね。なぜそんなことをしていたのかというと、国民の中にお金持ちと貧しい人の差をなくそうと考えたのです。だから、どんな仕事についても国から同じくらいのお給料をもらっていたので、金持ちと貧しい人の差がなくなったのです。とても理想的な国ですネ。

でも、この方法だと、まじめに働かなくてもお給料がもらえたので、一生懸命働かない人が増えてきました。すると、だんだんと世界の国との貿易に負けていったのです。それで、ソ連が解体したのをきっかけに、少しずつ自由に商売ができるようなしくみに変えていき、現在のロシアがあるのです。この社会主義に対して、日本やアメリカのような経済のしくみを資本主義(しほんしゅぎ)というのですよ。資本主義についてはまた別の時間に勉強しましょう。

お疲れ様でした。では、復習問題に進んでください。

復習問題

1.ロシア連邦という国の特長を説明してください。

ロシアという国はとにかく大きく、世界最大の国土を持っている国で、なんと日本の45倍もあります。人口は約1億4000万人といわれ、首都はヨーロッパに近いモスクワです。この国は、かつては王様が治めていた国でしたが、1917年にレーニンによるロシア革命が起こり、1922年にソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)になりました。その後、1991年にソ連は解体され、ロシア連邦と11の共和国に分かれました。

2.ロシアの農業と工業について説明してください。

ロシアの農業は、小麦をたくさん作って世界中に輸出しています(輸出も世界1位です)。工業は、鉱産資源がたくさんあるので、特に石油はサウジアラビアに続いて世界2位の輸出をしています。その他に、石炭や鉄鉱石などもたくさんあります。これらも輸出しています。

3.社会主義とは何ですか。簡単にまとめてください。

この社会主義というのは、個人で農業をしたり、お店をつくったりしてはいけなかったのです。農業も工場もすべて国が経営しており、そこに国民が働くという方法をとっていたのです。農業をする人も、会社で働く人も、学校の先生もお医者さんも、すべて国からお給料をもらっていたのです。つまり公務員です。なぜそんなことをしていたのかというと、国民の中にお金持ちと貧しい人の差をなくそうと考えたのです。だから、どんな仕事についても国から同じくらいのお給料をもらっていたので、金持ちと貧しい人の差がなくなったのです。とても理想的な国です。でも、この方法だと、まじめに働かなくてもお給料がもらえたので、一生懸命働かない人が増えてきました。すると、だんだんと世界の国との貿易に負けていったのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第17回「ロシア連邦」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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