社会科指導案編②第4学年社会科「人やものによるつながり」 ~元上海日本人学校教師が語る!国際教育~ (中村祐哉先生)

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作成者:Nanae Mori (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は,上海日本人学校で教師を務められた,中村祐哉先生へのインタビューをもとに作成したものです。授業運営の工夫をまとめた本編は,「社会科指導案編①」から続くので,そちらの記事も合わせてご覧ください。

2 資料の精選—低迷するイメージからの出発

◆イメージ調査

1時間目に子どもたちに中国のイメージを挙げさせると,低迷したイメージが多く,到底“つながり”には結びつかないものでした。

◆”つながり”というキーワード

そこで,“つながり”にスポットを当てることで,理解しようという気持ちが,まずはつながる第一歩だということに学習のスタートをもちます。

◆資料精選

中国の生活で得た膨大な資料の中から、子どもたちに一番合った資料を使う,資料精選というものは,社会科の教材研究において一番のポイントと言っても過言ではありません。

3 キーワード(つながり)の発見—学習指導要領から読みとる

◆指導要領を読む

この単元の学習指導要領には,かかわりという言葉が何度も出てきます。その点から,かかわりを押さえることがポイントだと読み取ります。

◆キーワードを設定する

しかし,かかわりという言葉は4年生には難しいため,“つながり”をキーワードに設定します。

◆授業で扱う“つながり”

具体的に授業では,自分の生活の中での“つながり”から扱います。今回は,物品調べからはじめました。

4 調べ学習の工夫

◆自分なりの調べ学習

社会科の調べ学習では,「自分なりのオリジナルの調べ学習」を掲げ,1・2学期で徹底的に指導します。表の作り方・グラフの指導・まとめ方などを教えます。

◆評価する

調べ学習では,オリジナルなこと・新しいことをやってきた子どもがいれば,みんなの前で紹介し合う中で評価したり,学級通信に取り上げて評価したりします。新しいことをしてきたら学級通信で扱われるという喜びが,子どもたちをどんどん新しいオリジナルな調べ学習へと誘います。具体的には,調べたものをランキング形式にしてくる,おうちの人へのインタビューを付け加えてくる,家で調べてきたものを実際に持ってきて説明する,などがあります。

◆真似も評価する

学級通信で取り上げられると,それをどんどん真似する子どもが出てきます。そこも,また評価のポイントです。真似をする子どもは,その方法がいいと思ったから真似をする。いいと判断できるところ,その理由をしっかりともっているところを評価します。

◆質にこだわる

初期段階では,目立つことをやればいい,という風になっていても,1学期の終わりにもなるとオリジナルの調べ学習が出尽くしてきます。すると子どもたちは,「今度は結果が求められる」ことに気付き始めます。目立つことばかりやっても,それがどういう風に勉強につながっていくかがわからないと意味がないと言うことに気が付くのです。
 すると,だんだんシンプルになり,表をしっかりまとめてきたり,ランキングを統計づけてきたりします。このように,どう勉強につなげるか,というところで「自分にしかできない調べ学習」の工夫がたくさん生まれるので,またそれを評価していきます。

◆適切な調べ学習

このように調べ学習を重ねていくうちに,「この調べ学習ではこの調べ方がいい」ということが,クラスの中で似てきます。
 例えば,今回の実践の物品調べでは,何製(国)のものが多かったかランキングにしてきた児童が多かったのです。ランキングにするのがとても伝わりやすいので,多くの児童がランキングにしてきた,つまり,その時々に最も伝わりやすい調べ学習が何かわかるということを,また評価します。

◆“考える”調べ学習

このような「自分なりの調べ学習」の指導を通して,子どもたちは,“考える”調べ学習ができるようになります。初めは調べたことをただ書き並べてくればいい,という認識だったのが,調べて何がわかったのかまで求められるようになります。そして,調べて自分が感じたことをクラスに発表できるようになります。これは,学級通信で評価される調べ学習はどうしていいのか,自分の調べ学習が勉強にどうつながるのか,ということを考えながら「自分なりの調べ学習」を求めていく中で,できるようになるのだと思います。

5 「選択力」を育む教育

「自分なりの調べ学習」でのランキングの例のように,課題や題材に応じてより適切な方法を選ぶ力はとても大切です。いいと思うから選ぶ,そこには,いいと思った理由が必ずあります。
 そこで,「なぜそれが一番いいと思ったか」、その理由を追究することが大切です。そうすることで子どもたちは,なぜいいと思うのか,自分の考え・意見が言えるようになります。「なんとなく」ではなく,自分の意見をしっかりと持つことができるのです。このように自分が一番いいと思うものを選択させる力が,教育の根源にはあると思います。
 この「選択力」は,社会科をはじめどの教科の授業においても,また,学級経営においても重要な教育だと思います。

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7 実践者プロフィール

中村 祐哉

 
1984年,広島県生まれ。
教育学士。専攻は中学・高等学校社会科教育,都市社会学。
 
公立小学校教諭。元上海日本人学校教諭。
広島県国際理解教育研究協議会研究部長。
『学びの場.com ‐教育つれづれ日誌‐』(内田洋行教育総合研究所)教育連載執筆者。
 
大学を卒業後,22歳で公立小学校の教壇に立つ。以後,小学校教諭として勤務。2012年,上海日本人学校へ赴任。上海日本人学校社会科副読本教材『上海』編集委員を歴任。
 
公的な教育研究会講師(社会科教育・国際教育・ICT活用教育・学級経営論)として,自らの実践・研究・考察に基づいた教育実践事例発表や講話を行う。また,『社会科教育』(明治図書出版)をはじめとする教育雑誌,国際教育系機関誌や教育系ウェブサイト等のコラム執筆,単著本の出版からラジオのゲスト出演までその活動は多岐に渡る。
 
近著には,「上海の摩天楼を吹き抜けるビル風はどこに向かい 北京の五星紅旗はどこにたなびくのか」(ブイツーソリューション,2013年)がある。

8 編集後記

自分なりの調べ学習ができて,それが授業にどうつながるのか考えられるようになると,調べ学習も授業もますます楽しくなると思います。また,楽しくなったり,褒められてうれしかったりして,自分から進んでたくさん調べるようになると,勉強自体楽しくなっていくのではないかなと思います。そういった調べ学習が「選択力」にもつながって,子どもたちの自信にもなっていくところがすごいなと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA 編集部 森七恵)

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