北山丸太を使って人造と天然の値段を比較してみようー楽しくわかる、力がつく授業ー(立命館小学校 柳沼孝一先生)

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作成者:中原 瑞貴 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

2015年9月26日、「立命館小学校社会科授業研究会」に参加し、柳沼孝一先生の3年生社会の授業を見学しました。ここでは、北山杉の丸太を使って天然と人造を比較した、楽しくわかる、力がつく授業をご紹介します。

2 実践内容

①実践のアイデア

立命館小学校では、「北山杉の里をたずねて」という単元が行われています。今回の実践は、北山杉への見学やパンフレットづくりなど、その後の計画を一層子どもたちにとってわかりやすくするための、人造・天然の北山丸太を使った「はてな」作りをするためのアイデアです。

②指導案(本時2/10)

●本時のねらい

「職人の技が多く加わった人造絞丸太と希少性の高い天然絞丸太の値段検討を通して、北山丸太の生産活動に関心を高めることができる。」

●本時の学習展開

③授業の流れ・ポイント

●授業のはじめに

  • 1/10の授業で、子どもから北山丸太の作り方について知りたいという声が多数であったこと
  • それを調べるために「北山杉の里」に行ってきたこと→今日のテーマである「北山丸太の作り方を知る」を確認。
  • 北山丸太生産組合の松本さんに会ってきたこと

を子どもたちに報告。そのとき松本さんの写真を見せる。

①人造絞丸太づくりに用いる「ハシ」を観察し用途を予想する。(10分)

松本さんに「これを持っていったら作り方がわかる」と言われて借りてきたという「ハシ」を名前を明かさずに1人1本ずつ子どもに配付(実際に使うものを触らせることで子どもの興味を引き付ける)

「ハシ」の名前を予想してもらう。「この棒、名前があります。何て言うでしょう?」

  • 割り箸
  • 北山枝
  • 北山根っこ
  • 北枝

→名前は「ハシ」と教える。

「ハシ」の用途を予想してもらう。「このハシと呼ばれるものが、北山丸太にどのような役割を果たしているのかを今から3分間一休さんタイムをします。」

一休さんタイム…考えたのち先生が「一休さーん」と呼んだら、案を発表したい児童が手をあげて「はーい」と返す。その児童を先生は指名するというシステム。

  • 北山丸太を削る道具
  • 肥料
  • 模様付けの道具
  • 残った枝で作った箸
  • 丸くする道具
  • 巻いて北山杉のぼこぼこな表面を作る道具
  • 根っこに関係するのではないか(土がついている)

②人造絞丸太の観察から「ハシ」の役割を知り、職人の技術について考える。(10分)

実物の丸太を持ち出す。丸太を持って教室をまわる。「松本さんからもらってきました!」
子どもがその丸太に「ハシ」がぴったりくっつく(型があっている)ことを発見。

他の子どもたちも持っていた「ハシ」を貼り付けていく。(このとき、後で使うため、全員には貼らせない)
ぴったりとくっつくことから、丸太に型をつける道具であるとわかる。「ハシ」で型をつけた丸太の名前を人造絞丸太だと教える。
「人造」の意味を辞書で調べる。自分の力で作りだすこと
どうやって型をつけるのかを考えてもらう。「どうやって巻きつけるのかな?」

  • 糸で巻きつける?

丸太に「ハシ」を巻き付けている写真を子どもに見せる。
→針金で巻いていることがわかる。

もう一枚、たくさん「ハシ」巻いた北山杉の写真を見せる。

丸太に「ハシ」は何本ついているのか予想してもらう。}「この木には何本ハシがついているかな?」(全員起立!自分の予想の数になったら座るように指示)
50本以上、100本以上、と子どもたちに聞いていくが、子どもたちの多くが1000本以上と予想していた。
途中で先生が「とうの昔に過ぎてるよ」と教える。
「答えは600本です」(子どもたちからは「えー!」という声があがる)

北山杉の高いところにはどうやってつけているのかを考える。

「木の高いところにはどうやってつけるのかな?」

  • 跳んでつける
  • はしごで登ってつける
  • 木登りしてつける
  • クレーンを使ってつける

今までの内容から、職人の技術に目を向けさせていく。

③人造絞丸太と天然絞丸太を比較し、どちらの値段が高いか話し合う。(20分)

写真のなかで、「ハシ」を巻いた北山杉の後ろに、何も巻かれていない木があることが見て取れる。

「巻いてない木はこれからやるのかな?」

調べ学習をしてきた児童に丸太の種類は人造絞丸太だけなのか聞く。「いっぱい調べてきた○○さん、人造絞丸太の他にどんな種類の丸太があったかな?」
子どもにいくつかあげてもらった中で「天然絞丸太」の実物を見せて紹介する。
天然絞丸太に「ハシ」はつくのか?→「ハシ」が残っている人につけさせてみるが、つかない。
「天然」って何?(辞書で調べてもらう)→人の加わっていないもの

人造絞丸太と天然絞丸太の比較基準を考える。
「人造絞丸太と天然絞丸太、どちらがいいかっていうのをどうやって決めるのかな?」

  • 「ハシ」を使用した数
  • 値段

の二つが挙げられた。「物を買うとき何で決める?」→「安さ(お金)」

どちらの値段が高いかを聞く。「ものを作るっていうことは、売るんだよね。売る時には必ず値段が決まります。じゃあ、どちらが高いですか?」

理由を聞く。「なんでそう思ったのかな?理由を言ってみよう。」
人造絞丸太

  • 手間暇がかかっている→労力がかかっている。
  • 時間がかかっている
  • 天然絞丸太は手間暇がかかってない

天然絞丸太

  • 珍しい

④値段を比較するときの観点を整理する。(5分)

松本さんに聞いた北山丸太がとれる数を発表する。
毎年1000本北山丸太が採れるうち、
人造絞丸太300本
天然絞丸太10本。
(それ以外は他の丸太)
今までの話から、

加工・労力の面
人造絞丸太>天然絞丸太「人造絞丸太の勝ちだね」

珍しさ
人造絞丸太<天然絞丸太「こっちは天然絞丸太の勝ちだね」

ということがわかる。
「一勝一敗で引き分け、値段は同じ?」(子どもたちは「えーっ」という反応)

3 子どもそれぞれの意見を書く

授業終了時刻になったものの、先生は値段を明かさなかった。最後のまとめでは、先生が決めたまとめではなく、自分の考える主張・理由を子どもそれぞれに書かせる。子どもはそれぞれ自分の考えを書く。今回の授業では、丸太の色艶や模様の違いからどちらが高いか安いかを五感で選ばせたのである。この後行われる予定であった北山杉の里の見学学習で値段・値段の違いの理由などを子どもたちに追究することを促している。この授業によって、子どもの興味を引き出すことができ、見学学習への子どもの姿勢を意欲的にし、有意義なものにすることができるのではないか。

4 実践者プロフィール

柳沼孝一先生
立命館小学校教諭
著書に、『授業の工夫がひと目でわかる!小学校社会科板書モデル60(明治図書 2014年9月)』『小学社会の授業づくり はじめの一歩(明治図書 2016年1月)』がある。


5 編集後記

授業の中では、子どもたちからの発言やたくさんの意欲的な行動が見られました。それは多様な指名の仕方や児童の興味を引く教材研究、先生が児童の発言を全て受け入れるなど、工夫の成果だと感じました。また、授業の中で、過去の授業内容を応用した意見が見られました。この授業でも、値段比較の方法として労力と珍しさが挙げられていますが、この比較は他の商品でも応用することができます。この授業は、社会の事象に利用できる、「楽しくわかる、力がつく授業」だと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 中原瑞貴)

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