教育ICTでワクワクした授業づくりを 第1回(NPO法人iTeachers Academy小池幸司さん)

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作成者:Megumi Idei (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、NPO法人 iTeachers Academy事務局長であり、教育ICTコンサルタントの小池幸司さんへの取材をもとに執筆した連載記事です。

ICT機器を用いた教育のあり方、実践方法について全3回の連載記事を通して紹介しております。

第1回での記事では、NPO法人iTeachers Academyが行なっている教員のICT活用を促進する取り組みについてご紹介しています。

第2回、第3回の記事も併せてご覧ください。

2 NPO法人iTeachers Academyとは

NPO法人iTeachers Academyとは、「これからの教育を担う教員志望者や教員のため、ICT活用をベースとした“新しい学び”を実現する力を養成するための場をつくり、日本の教育の発展と革新に寄与する」をミッションに掲げ活動している特定非営利法人です。ICTを活用した生徒主体の“新しい学び”を学校現場で実現するため、先生方に向けて教育現場におけるICT活用事例を提供するセミナー・イベントを実施されています。

NPO法人iTeachers AcademyのHPはこちらよりご覧ください。

3 インタビュー

〇このようなご活動を始められたきっかけについて教えてください

2013年の春に、「iPad教育活用7つの秘訣—先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ」という本を出版したことがきっかけです。

 出版に至るまでの経緯

私は学習塾に勤めているのですが、そこで2011年にiPadを導入しました。iPadは2010年に発売され、2011年から導入する学校が増えてきました。自社でどのようにiPadを活用するかを試行錯誤する一方、展示会やイベントなどに行って、同じようにiPadを活用している先生方のお話を伺ったり、交流したりするようになりました。

しかし、当時は、iPadが広く世の中で使わるようになってきたにも関わらず、iPadを用いた教育に関する情報がなかなか入手できませんでした。このような状況をなんとかしようと、当時Facebookでやり取りをしていた先生たちと、まずは、iPadの教育活用に関する本を作れないかということを相談し、制作することが決定しました。さらに、この本が出版されたあと、発行に関わった先生たちと実際にお会いした際に、「せっかくこのように集まれたのだから、一緒に何か活動していけたら」という話になり、NPO法人 iTeachers Academyの前身である、iTeachersが発足しました。その後、iTeachersとして、先生向けのイベントを開催したり、取材をお受けしたり、YouTubeなどで情報番組の配信などを行ってきました。

 活動を通して見えてきた課題

活動をする中で、様々な先生方に関心を持ってもらい、イベントなどに参加していただいたのですが、課題もいくつかありました。課題の1つは、若い世代の参加者が少ないということです。若い先生はデジタルネイティブの世代でもあるので、イベントにも興味を持ってくれるのではないかと思っていました。しかし、スマートフォンやタブレットなどのICT機器を日常的に使っているのにも関わらず、それらを教育に取り込もうというような流れになかなか転換しない現状がありました。

このような状況をもたらす要因の1つとして、そもそも大学時代に教員養成の過程の中で、ICTを活用した教育の方法を学んでいないということが大きいのではないかと思います。国を挙げてICTを利用していこうとしているのに、教員養成の部分では全く手がついていません。このような状況ですと、普段スマートフォンやタブレットを使っていても、教育にうまく生かそうという発想になりませんし、教育場面における活用のしかたも知らないまま教育現場に出てしまうのではないでしょうか。そこに少しメスを入れないと、なかなか変わっていかないのだろうなと感じました。

 ICTを活用した教育を学べる場づくり

iTeachersのメンバーは、ほとんどが現役の先生です。日々の仕事の傍らで、ICTを用いた教育のために何かしたいという思いから、イベントなども無料で開催し、ボランティアで活動してきました。しかし、もっとオフィシャルにICTを用いた教育を学べる環境、学生や、初任者の先生が定期的に学べる場を作りたいということで、2017年7月に法人化しました。

◯実際に受講生の先生方はセミナーに参加し、どのように学びを深めているのでしょうか

NPO法人 iTeachers Academyが行なっている「iTeachers Classroom」などのイベントでは、ICTの使い方自体を学ぶだけでなく、普段忙しくてなかなかICTに触れることができない先生方に、ワークショップ形式で実際に体験してもらうということをしています。

このようなワークショップ形式のイベントの中で、先生方には、子どもたちはこのような感じでICTに触れているのかということを楽しみながら体験してもらっています。

例えば、一緒に映像を作ったり、iPadで絵を描いたりすることを授業形式で行います。このような体験を通して、先生方には実際に自分でどうアレンジして、どのように自分の授業に当てはめていくかということを考えてもらっています。まずは、1回体験して、それを通して「これいいね、自分の授業でもやってみよう」というモチベーションを上げていただければと思います。

 生徒の自主性を引き出すためのICT活用

また、イベントやワークショップを通して、「ICTを上手に活用している先生たちはこういう役回りをしているんだ」というのを見てもらうのも1つの体験だと思います。極端な話、「先生何もやってないじゃん」と生徒に思わせる方が大事なのかもしれません。「先生がやってない=自分たちがやっている」という感覚を持つこと自体が主体的であると言えます。例えば、プログラミングの授業を行うときに「ではプログラミングをやります、まずはここにブロックを作ってください、その次は〜」といった感じで先生の指示の通りにプログラミングをしていくのでは意味がなく、生徒が自主的に「あれやりたい!」「これやりたい!」と思えるように授業を持っていけるかどうかが、ICTを使った授業の肝だと思います。

4 プロフィール

小池幸司さん(NPO法人 iTeachers Academy 理事・事務局長)
2011年3月、他の学習塾に先駆けてiPad導入を実現。教育現場におけるICTの導入・活用を推進すべく、講演や執筆活動を通じて自社のiPad導入事例やノウハウを発信。2013年3月にはiPad×教育をテーマにした初の実践的書籍「iPad教育活用 7つの秘訣」を出版する。YouTube チャンネル「iTeachers TV 〜教育ICTの実践者たち〜」の番組プロデューサー。オンラインショップ「先生のためのICT活用塾」(https://www.manabi-media.com)を運営(プロフィールは2019年3月29日時点のものです。)

5 編集後記

受講された先生方がICTを実際に体験し楽しみながら学んでいるというお話がとても印象的でした。教育現場でアクティブラーニングが重要視される今、教員養成の過程でどうICTを活用を学んでいくかといったことの重要性を実感しました。(取材・編集:EDUPEDIA編集部 出井めぐみ・安藝航・大森友暁)

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