やっちゃえ先生に聞く! オンライン授業のコツ【コロナと向き合う】

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作成者:杷野 真弓 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大という状況下で教育現場でも日々刻々と状況は変化し、対応に追われているのではないでしょうか。EDUPEDIAでは、必要な情報が教育関係者に届くように、【コロナと向き合う】特集をはじめました。

この記事は2020年4月にやっちゃえ先生にオンライン上でインタビューをさせていただき、それをまとめたものです。やっちゃえ先生は、現在、Google ClassroomZoomを用いたオンライン授業を高校生に行っています。

この記事では、やっちゃえ先生のZoomの活用法やオンライン授業で気をつけていることなどについてご紹介します。オンライン授業に関心のある先生や現在オンライン授業を行っている先生の参考になればと思います。

2 オンライン授業のツール

◇Zoom

私の学校では、Zoomは3月に私が申請してライセンスを取得したので、そこで初めて使用しました。多くの先生もそうだったと思います。3月中は先生の間で試行錯誤の日々が続きました。先生の中である程度使い方やツールの利用方法が明らかになり、3月末にZoom座談会を開催しました。Zoom座談会では、有志の先生2-3人と生徒20人ほどで近況報告をしました。Zoomを利用したオンライン授業は4月中旬から始まりましたが、授業以外で生徒とコミュニケーションを取る機会を作り続けることが重要だと思います。

⭐︎Zoom座談会の詳細についてのやっちゃえ先生のブログはこちらから

▶︎高校生とZoom授業/座談会!手順や感想まとめ ~教員:生徒の割合がカギ!

ブレイクアウトルームの活用方法

Zoomではブレイクアウトルームという機能があります。授業に限らず、グループでの活動をする際はこの機能を使っています。また、アクティブラーニングの手法の一つであるジグソー法を用いた授業を行う時に大活躍します。また、Google Classroomのメール機能と併用して、ホームルームの時間にワードウルフを行ったクラスもあるそうです。Zoom自体が管理者(ホストである先生)の権限が強いツールなので、先生は簡単に使ってしまいがちですが、生徒の様子をつかみながら機能を活用することが重要だと思います。なぜその方法で学ぶのか、という学習活動に対する問いを投げかけることは、これまでの授業作りでしてきたことと変わらないと思っています。

◇ツールの使い分け

Google MeetとZoom

Google MeetとZoomはビデオ通話ができるという点ではほぼ同じ役割を果たします。Google Meetを使うとGoogle ClassroomやGoogleカレンダーと連携させることができるので、ブレイクアウトルームなどのZoom独自の機能を使う必要がない場合は、Google Meetを使ったほうが便利です(Google Meetも頻繁にアップデートされているので、Zoomに追いついてくるのではないかと感じています)。Zoomには脆弱性の問題があるので、パスワードをかけるなどの工夫が必要になってきます。Zoom特有の機能を必要としない場合や、その設定が多少複雑に感じられる場合は、Google Meetを用いる先生もいます。学校では特に「このツールを使いなさい」という決まりはありません。先生の間で連携を取りながら、それぞれ工夫して自分の授業にあったツールを使用しています。

目的に応じたツールの活用を

以前、探究学習の授業を行った際にRemoというサービスを使ったことがあります。Zoomはホストがブレイクアウトルームのメンバーを指定するなど、中央集権的な仕組みになっています。しかし、Remoでは参加者が自主的に「テーブル」に分かれることができます。探究学習という、みんなと話したい生徒、個人で作業に取り組みたい生徒などの様々なグラデーションがある環境下ではとてもよいツールで、生徒からも好評でした。ただ、技術的側面や、価格の設定などから今後の利用は限定的な形になると考えています。現在は、これに代わるツールとしてSpatial Chatを活用し始めています。日々試行錯誤です。

3 先生はどう対応していくのか

◇先生同士が協力して疑問を解消

私自身は3年ほど前からGoogle Classroomを活用するなど、オンラインツールに親しんでいますが、先生皆がそうとは限りません。私の学校では、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン授業をしないといけないという環境で、オンラインツールに詳しい先生同士がまず一丸となって「どうすればよいか」を話し合ったのち、常勤の先生がまずオンライン授業を先行実施する形をとりました。その知見を踏まえて、教科をこえたテックサポートチームと各教科で、非常勤の先生のフォローをしました。私の学校は非常勤の先生がいないと成り立たないので、非常勤の先生のフォローを大切にしています。具体的には、先生のみを集めたGoogle Classroomを作り、各自ノウハウを見つけたらそこに共有していく、という感じです。常勤の先生で結成したテックチームとしてもメールを通して「困ったらなんでも聞いてください」と積極的に発信し、ZoomやGoogle Meetを用いて疑問点を一緒に解消しようと努めています。

◇オンライン授業には2つの型がある!

オンラインで講義をするにあたって2つの型があると考えています。「非同期型」「同期型」です。

「非同期型」……Google Classroomで録画した動画を視聴してもらう方法や、動画を観た上で、課題に回答してもらう方法です。

「同期型」……ZoomやGoogle Meetを使って双方向なやり取りを重視したリアルタイム授業です。

すべての先生が一斉にリアルタイム配信をするとなると、求められることがたくさんになってしまい、先生の技術的な準備も大変になってしまいます。先生の授業の形においても、得意な先生は先行実施し、苦手な先生はまず課題の提示から行うなど、グラデーションをつけるのも大切だと思います。得意な生徒には発展的な課題を、苦手な生徒には確実なフォローを行うことと同じだと思います。

◇オンライン授業で気をつけていること

授業準備

◎全ての授業を録画

◎「名前の先頭に出席番号を入れるように」と事前にアナウンス

オンラインで授業を行うにあたって、全ての授業を録画するようにしています。同期型授業の配信では確実に授業内容を生徒に届けられている保証はありません。通信環境を理由に授業内容を届けることができないというのはあってはならないことだと感じているので、録画するようにしています(端末やポケットWi-Fiの貸し出しも行っています)。

また、Zoomを用いる際は、参加者の名前を変更することができるので、「名前の先頭に出席番号を入れるように」と事前にアナウンスしてあります。オンライン上ですと、やはり出席確認にどうしても手間取ってしまいます。出席番号を最初に出すことにより、容易に出席確認を行えるので、生徒の学びの時間を最大限確保することができます。

授業中

◎指示を明確に

◎生徒の様子に気を配る

授業中は、指示を明確にするようにしています。オンラインでは「わかっていないかもしれない」というような生徒の雰囲気を掴むことが難しいため、「生徒がきちんとついてきているか」という視点を忘れないように注意しています。また、表示する資料の切り替え等も1クリックで行えるので、テンポよく表示を切り替え、視覚情報を多めに取り入れ、生徒とのやりとりを大切にして進めています。

オンデマンド授業とライブ配信の使い分け

授業の内容のうち、インプットする部分は録画配信で済ませる先生も多いと思います。長さは10分から20分ほどです。

ディスカッションや対話を行う、つまり、アウトプットする部分はZoomを用いたライブ配信を用います。目的に応じた手段を用いることが大切です。ただし、私の場合は、人間関係ができていない4月ということも考え、多少非効率的であっても同期型の授業展開と個別フォローを重視しています。

4 学校に通えないことの影響

生徒の置かれている環境のもたらす影響が今まで以上に如実に現れてしまうと思います。学校に通えない中でも、授業はある程度は補うことができますが、運動する機会や友達とやりとりをする機会というのはなかなか学校側が一律に用意することができません。

◇オンライン授業の限界

生徒の様子を十分につかめない

オンライン授業でも、Zoomにあるブレイクアウトルーム機能を活用するなどして、授業を行うことができるということはこれまでの説明でお分かりになったかと思います。しかし、ブレイクアウトルーム機能を使ったとしても、他のグループがなにを話しているのか、どのような雰囲気でいるのかを感じとることはできません。これは先生も同じで、先生は自分が入っているブレイクアウトルームの様子しか知ることができません。

生徒とのコミュニケーションが難しくなっている

学校に通うことがなくなり、生徒との何気ないコミュニケーションがとりにくくなってしまっています。自ら先生のもとに話しかけない生徒にも、今までは掃除の時間などに話しかけにいくことができていましたが、そのような機会がなくなってしまいました。

Zoom座談会や後述するオンライン職員室の試みを行うと、学校に親和性の高い生徒は参加してくれて近況を話してくれますが、全ての生徒がそうとは限りません。今まで以上に全ての生徒に気を配る必要があると感じています。チャット機能を使って「お兄ちゃん大学生だと思うけど、大学ってあるの?」など、個人に特化した質問を投げかけ、先生は生徒に関心を持っているということを伝えていきたいなと思っています。

オンライン職員室の試み

生徒とコミュニケーションを取る機会が減ってしまったため、オンライン職員室という試みを行いました。先生2-3人がZoomを行い、来たい生徒が自主的に入っていくというものです。オンライン職員室という名前ですが、生徒同士の話に耳を傾けることのできるよい機会となっています。

⭐︎オンライン職員室の詳細についてのやっちゃえ先生のブログはこちらから

▶︎オンライン職員室のススメ〜授業以外での生徒とのコミュニケーションの場に困っていませんか?〜

▶︎Spatial Chatでオンライン職員室のススメ② 〜ZoomやRemoに足りない、偶発的な「わちゃわちゃ」の場づくりを試してみた〜

5 目の前の生徒に必要なことは何かという視点を忘れずに

私の実践例を参考にしてくださったとしても、オンラインでの学習がうまくいくとは限りません。このような状況の中でも、対象とする生徒の年齢・学力・環境などいろいろな要素を勘案して、目の前の生徒には何が必要なのか、どのような施策が有効かについてしっかりと考えなくてはなりません。

しかし「目の前の生徒に必要な策を考える」ということは、今に限った話ではないと思います。オンラインでしか指導を行えないという制約条件がついたにすぎません。

オンラインツールについて知っている先生とそうでない先生が繋がって「この環境にはこのツールがあっているよね」とアドバイスしあうなど、先生が一丸となってこのピンチを乗り越えていくことが大切だと感じています。

6 やっちゃえ先生のプロフィール

民間企業、中高一貫校での勤務を経て、現在は高校に勤務。地歴公民科教諭として倫理や政治経済、教科横断型の探究講座を担当。新型コロナウイルス拡大前から使用していたGoogle Classroomに加え、Zoomなどの新たなツールを用いて、オンライン上での学びの個別化・協働化・プロジェクト化を研究中。日々の実践はSNSでも発信しています。

ブログ

▶︎https://www.yacchaesensei.com/

Twitter

▶︎https://twitter.com/Yacchaee

Facebook

https://www.facebook.com/Yacchaee/

※プロフィールは2020年4月時点のものです。

7 編集後記

やっちゃえ先生のお話を伺い、オンライン授業でできることは多いけれど、学校に通うことの意義の大きさを実感しました。この記事がオンラインで授業をする先生のお役に立てれば幸いです。

(取材・編集・文責:EDUPEDIA編集部 杷野真弓)

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