教採体験談インタビュー 第10弾(横浜市・小学校)

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目次

1 はじめに

第10弾の今回は、横浜市の教員採用試験に合格された方に、教員採用試験の対策方法やアドバイスについてお話を伺いました! この記事は、小学校の先生なろうと思った経緯や、実体験を踏まえた志望理由書、面接、論文、模擬授業、場面指導の対策について書いた記事です。

2 小学校免許について

先生になろうと思ったきっかけは何ですか?

小学校で担任だった先生の影響がとても大きいです。私が小学生のとき、発表会のピアノの伴奏で失敗してしまったことがあったのですが、担任の先生は、「来年も同じ舞台で演奏してみない?」と言ってくださりました。そのときに「失敗を失敗で終わらせないで、挑戦するきっかけをくれた、先生のようになりたい」と思ったのが一番のきっかけです。

この校種を選んだ理由は何ですか?

その先生にあこがれていたうえに、私自身小さい子どもが好きだったので、小学校の先生になるというのは自然な流れで決めました。やはりこの校種にしてよかったなと思うのは、1年生から6年生という幅広い視点で子どもたちを見ることができることです。たとえば、教育実習のときに担当だった5年生の担任の先生は、前年度までは低学年の担任をされていた方でした。その先生は5年生の姿を、「低学年での実践が現在の子どもたちの姿に繋がっている」という視点で捉えていました。この先生のように、6年間の中での成長を見られるというのは、小学校の先生の魅力だと思っています。

3 志望理由書について

対策にあたって意識したことは何ですか?

「小学校時代の先生に憧れていた」という自分の動機はベタであるため、試験官の方に「よくある話だ」と流されることを恐れていました。そこで、少しでも試験官の心に自分の話の印象を残せるように意識していました。具体的には、「その先生から学んだこと」「自分の職業を選ぶ軸と先生が一致している」という内容を意識的に強調して書くようにしていました。

やっておいてよかったことは何ですか?

私は大学3年生のときに民間企業への就職も考えたことで、「自分の就職活動をするうえでの軸は何か」を考える時間がありました。民間企業への就職活動もしたことで、教員採用試験の対策のみをしている人よりも対策する時間は短くなりましたが、自分自身の人生の軸を考える時間になったので、今思うと違う道を見ておいてよかったと思っています。

やっておけばよかったことは何ですか?

志望理由書は親くらいにしか見てもらわなかったので、もう少し現場の先生や先輩にアドバイスをもらっておけばよかったと思っています。

アドバイスを一言お願いします。

志望理由書に書く内容は、実際に合格して先生になってからも自分の考えの軸や、先生をしている理由の基盤になるものだと思います。とても悩むポイントでもあると思いますが、じっくり時間をかけて考えてほしいなと思います。

4 面接について

どのような練習をしましたか?

私が受けた横浜市では、予め質問に答えて提出した面接カードを基に、試験官の方から質問されるという流れでした。ですから、面接対策の参考書を買って、参考書に書いてある質問につき1ページずつノートを使って自分の考えを書きました。この対策は自分の考えをまとめる点では役立ちましたが、横浜市だと面接カードの内容しかほとんど聞かれないので、あまり時間がない人にはお勧めできません。

対策にあたって意識したことは何ですか?

相手に伝わる内容にすることです。面接では自分のことを話すので、どうしても一方的で自己満足な内容になってしまいがちです。それを避けたかったので、対話を意識して、一方的に話さないようにしました。

やっておいてよかったことは何ですか?

人と話す機会を意識的に作ったことです。2次試験は8月で、大学が休みの時期だったため、意識的にアルバイトを入れて人と話すことに慣れようとしました。また、アルバイトの店長さんもよく相談に乗ってくださっていたので、目上の方と話す時間も確保することができました。

やっておけばよかったことは何ですか?

面接は場に慣れることが重要です。私もアルバイト先の方や、家族や友人などに練習に付き合ってもらいましたが、やはり1人でも現場の先生に面接対策をしてもらえたらよかったと思います。しかし、直前になってから現場の先生にお願いするのも難しいと思うので、前々からお願いできるようなつながりを作って持っておくのがよいと思います。

本番で聞かれたことは何ですか?

まず「昨日はリラックスできましたか」と聞かれました。少し何回かやり取りをした後に以下のことを聞かれました。

・志望理由

・なぜ小学校という校種を選んだのか

・これまでに最も困難と感じたこと、その解決方法

・これまでの人とのかかわりで心に残ったこと

・教員として大切だと思うこと

過去問の活用方法を教えてください。

過去問は使い込んだというよりかは、傾向をつかむ程度の目的で使用しました。「こういうことを聞かれるのだな」とか、「やはり面接カードのことから主に聞かれるのだな」ということをつかんで、あとは面接カードの作成に時間を使いました。

5 論文対策について

論文対策にあたって意識したことは何ですか?

まずは様々な本を読んで、教育に関する知識や教育の論作文の書き方をインプットしました。 論文を書く際には、①一文一文をとにかく短く簡潔に書くこと、②構成を考えてから書き、最初から最後まで一貫性を持つこと、③先生として一生やっていく覚悟を見せること、を意識していました。

60分という制限時間内に書ききれないことだけは絶対に避けたいと思っていました。そのため、最初の15分程度で構成を考える、30分程度で書き終えることを意識していました。

論文試験の本番で出題されたことは何ですか?

以下のテーマを800字で書くという出題でした。

学習の基盤となる資質・能力の1つとしての言語能力の確実な育成が求められていますが、各教科の授業において、言語能力をどのように育成することが出来るか、教科横断的な視点に立ち、具体的な工夫例を挙げながら述べなさい。

過去問の使用期間と活用法を教えてください。

使用期間は教育実習が終わってから実際の試験までの1か月間です。ホームページに載っていた5年分の過去問を書きました。友人のお父さんが学校の先生をなさっていたので、その方に自分の解答を送ってアドバイスを頂いていました。また、『合格する論作文』というテキストを読みながら、そのテキストに載っている知識をインプットしつつ、問題形式に応じた書き方を参考にして練習していました。

6 模擬授業について

どのような練習をしましたか?

具体的な対策を始めたのは大学4年の6月でした。まずは傾向をつかむこと、実際の試験の形式に慣れることを意識しました。それが終わった後に、自分の授業を動画で撮って確認したり、大学の友達に練習に付き合ってもらったりしました。

どのように授業を考えましたか?

横浜市は当日に模擬授業のテーマが発表されます。当日は3つのキーワードの中から1つ選んで授業を構成する流れだったので、事前にどのようなテーマが出るのかわからず対策しづらかったです。

ただ、毎年のテーマを見て、道徳に関するテーマが出題されていることが分かったので、道徳に焦点をあてて授業を考えました。参考資料として、道徳の副教材を作っている東京書籍の年間指導計画を用いていました。 年間指導計画の単元名を、模擬授業で出題されるキーワードとしてとらえて、どのようなキーワードが出題されやすいのかを書き出したうえで、一つ一つに対して授業の内容を考えていました。

授業の工夫点、意識したことは何ですか?

道徳の授業の対策を他の受験生もしていたのか、受験したグループ全員が同じテーマを選択し、授業をしていました。そのため、どのようにして周りの受験生と差をつけるのかを意識しました。

アドバイスをお願いします。

道徳に焦点をあてたことで焦らずに勉強を進めることができました。また、友達に協力してもらったことで、本番に近い緊張感の中で練習できたのがよかったと思っています。

ただ、良くも悪くも道徳にテーマをあてすぎてしまったので、もう少し時間があれば、道徳以外の教科を勉強して周りと差をつけることができたと感じています。

7 場面指導について

どのような練習をしましたか?

100題の出題テーマが載っているテキスト、『場面指導のロープレ100題』を使って、どのようなテーマで出題されるかに目を通しました。

対策にあたって意識したことは何ですか?

子どもと対話する姿勢を見せることを意識しました。実際に場面指導をする経験は、教育実習での経験程度しかなかったため難しかったです。

また練習の際は、自分で動画を撮って自分がどれほどのトーンで話しているか、どのような表情を作っているかを客観的に見るようにしました。

アドバイスをお願いします。

場面指導は、面接官にどのように見られているのかを意識するのが大切です。そのため、客観的にアドバイスをもらう機会を増やすことが大事だと思います。

8 全体について

一番対策がしやすかったのは何ですか。

志望理由書と模擬授業です。 志望理由書は、先生を目指すきっかけや目指す理想像など自分の中であらかじめ持っているものを表現するため取り組みやすかったです。模擬授業は、対策に時間を要したものの、傾向や対策の取り方がはっきりしていたので対策がしやすかったです。

一番対策しにくかったのは何ですか。

面接と論文と場面指導です。相手にどのように伝わるかが重要になるのが論文や場面指導だと感じています。人に見てもらって意見をもらうことで伸びる科目がこの3つでした。見てもらえる人を探すのが大変だったので、対策しづらかったです。

これから先生を目指す人に向けて一言メッセージをお願いします。

子どもたちが一生懸命頑張ろうとする姿は、本当に可愛く、私自身の原動力になっていると感じています。教員採用試験対策は、時間がかかるうえに普通の就職活動に比べて結果が出るのが遅いため、教員志望の方は精神的に辛い部分もあるかとは思います。そのようなときは、合格した後の姿や、子どもとどのように過ごしたいかを思い描きながら頑張ってほしいと思います。

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10 編集後記

志望動機を明確に固めておくことが、先生を目指すうえでのモチベーションになるだけでなく、先生になってからも自分の軸になることを痛感しました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安藝航)

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