1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
図形の角について学習を進めてきた。三角形の角の和は180°、四角形は360°ということが分かった。同じ形の図形を交互に置いていくと、平面を敷き詰めることができる。どんな形だと敷き詰めることができるのか学習をした。まず、
この中で敷き詰めることができるのはどの形でしょうか。
子どもたちに予想を聞くと〈できる〉と答えた人数は
〈ア〉36人 〈イ〉16人 〈ウ〉5人 〈エ〉28人 であった。
〈エ〉がずいぶん多かったのは、教科書にこの図が載っていたからである。
予想を聞いたところで、実際に敷き詰めをしてみた。
敷き詰められるかどうか、実際に模様を敷き詰めてみよう。
紙を切って図を交互に置いて敷き詰められてかどうかを試してみた。実際にやってみると、確かにどれも敷き詰めることができるのだ。
次にどうして敷き詰めることができたのかを考えてみた。
どうして台形や平凡な四角形でも敷き詰めることができたのだろう。何かコツはありましたか。
まずは個人で考えてみた。具体的な作業はしているのであるが、どこを見て何を気にしているのかを問われると、案外意識していない。敷き詰めるときにどこを見ていたのと声をかけると、角や辺をあげる子が多かった。
- ひっくり返して360°になれば敷き詰めることができる。
- ひっくり返して回す。辺の長さを見て同じ辺の長さを合わせる。
- 角が集まったところを360°にする。同じ辺の長さを合わせる。
- 台形も平凡四角形も同じ形のものだけを敷き詰めるので、同じ長さの辺がどこかに絶対あるはず。敷き詰めるときは同じ長さのところをくっつけて、どんな形でも同じ形のものだけを使えば、私はその辺があるので敷き詰められる。
- 形が敷き詰められたら、中心が必ず360°になる。
各班ごとに話し合ったあと、全体で意見を出し合うと
- 角の中心を合わせると360°になると良い。
- 同じ辺の長さ同士を合わせるといい
というコツが見つかった。
形が変わっている四角形でも敷き詰められてのは、四つの角を合わせると360°になるからと気づくことができた。四つの角に印を付けて、360°になることを確認してもよかった。
次に辺について目を向けさせようと、こんな図形を提示した。
この形は敷き詰めることができると思いますか?
これはだまし絵などで有名なエッシャーのエッシャータイルと呼ばれるものである。ほとんどの子は〈できない〉と考えたが、実際にはできることを見せると「えーっ!」と驚いていた。
どうしてこの形でも敷き詰められるのでしょう?
と問うと、
- でっぱっているところをひっこめたり、へこんでいるところを伸ばしたりすれば、四角形の形に戻るから。
そうなのだ。エッシャータイルは、元になっている形を点対象になるように変形させて敷き詰める模様を作っている。一見したところとてもできそうもない形が敷き詰められて美しく不思議な空間を作り出している。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
図形を敷き詰めることで、角度や面積について考える授業です。特にエッシャータイルの形は一見何の法則性もないように見えますが、正方形で囲ってみると、隙間部分と出っ張った部分の面積が等しいため、正方形の面積と実は同じなのだ、ということに気が付きます。図形の面白さに気づくことができる本実践、ぜひ参考になさってみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 内藤かおり)
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