1 はじめに
トラウマを持った生徒に接するときに重要なのは以下の三点です。
- 下記2の地雷を踏まないために、どんなトラウマなのか保護者に確認する
- スクールカウンセラーや養護の教師に、いざという時にはお世話になります、と伝えておく
- 医師の知見も借りる (医師が書いた本を読む、サイトを見る、親戚や友人の医師に聞いてみる)
2 実践内容
その上で、
1. 当たり前に接する (腫れ物に触るような扱いだと、生徒は悲しい)
2. 地雷は避ける (過去の傷をほじくるような言動は避ける)
3. 私(喜多見明日香)ならこうする
生徒がリラックスしている時に、静かな場所で「味方だよ」とさりげなくアピール
生徒の最近の活躍をほめた上で、「誰にも話さないから、よかったらいつでも人生の先輩として、相談に乗るよ。人に話すことでラクになることだってあるから」と言う。つまり、安心していられる場所や機会があることを、今も今後も、生徒に保障する。
「私(教師)もこんなことがあったんだ」
自分が中学生や高校生の頃にショックを受けたことや、それに対してどう対処したか、乗り越えたかを話す。
「自分なりのトラウマとの付き合い方を見つけられたらいいね」と示唆
例えば、
教師 「もしよかったら、これからあなたの心の中の気になるものが、少しだけでもラクに馴れたらいいなと思うのだけれど、やらない?」 (相手のメリットを示して、生徒に合意をとる)
生徒 「うん」
教師 「もしもあなたの心の部屋に何か気になるものがあるとして、今両手に持っていると想像して。それはどんな色?」
生徒 「・・・黒くて中心が赤い」
教師 「形は?」
生徒 「・・・丸い」
教師 「大きさは?」
生徒 「バスケットボールくらい」
教師 「重さは?」
生徒 「・・・結構重い」
教師 「そうなんだ。手触りは?」
生徒 「・・・・ちょっとごつごつしてる」
など、質問の後、充分に間を置いて、生徒に感じてもらい、一つ一つ言葉にしてもらう。教師自身も手を伸ばして両手をくぼめ、それを、生徒と共に感じる。
教師 「これに名前をつけるとしたら?まるまる君とか、ほにゃららちゃんとか」
生徒 「悲しみ君」
教師 「悲しみ君が、あなたに何かを伝えてくれているとしたら、何だと思う?」
生徒 「う~ん、『やらない方がいいよ。痛い目に合うよ』」
教師 「そうか~。じゃあ、そう言われたとしたら、どんな返事がしたい?」
生徒 「そうだね・・・ 『ちょっと慎重にやってみるよ』 って」
教師 「いいね。それで様子を見ようか」
(生徒が何と言っても、原則的に否定したり批判したり馬鹿にしないでOKを出す)
トラウマそのものを詳しく知らなくても、このやり方は有効です。詳しく話すことを嫌がるかもしれない(むしろそれが普通)でしょうし、話すことでフラッシュバック(過去の嫌な記憶や感情を再体験)する可能性もあります。
要は「自分の人生、多少のことは折り合いをつけて生きていけるんだよ」 という安心感を、人生の先輩たる先生から、生徒に伝えることができたらいいなと思います。
なお、上記の対話も、対話でなくて「絵に描いてもらう」でもいいでしょう。「自分の人生を自分でハンドリングできる」という気持ちが増えるなら、やり方は何でも結構です。そして、一人で抱え込む必要はありません。ぜひ、スクールカウンセラーや養護の先生など、他の方の知恵やアイデアも借りて、チームで取り組んでください。大人が助け合い感謝し合う姿を見せるのも、生徒にとって大変教育的だと思います。
3 執筆者プロフィール
文 プロコーチ 喜多見明日香
~主な著書~
「50歳から自分らしく生きる おばさん脱却法: 自分を好きになるセルフコーチング」[Kindle版]
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