1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第18回「アフリカの国と自然」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。今日の気分はいかがですか。ではボチボチ始めましょう。
今日のお題は「アフリカの国と自然」です。
下の地図を見てください。アフリカ大陸は、中央に赤道が走り、赤道の北には世界最大のサハラ砂漠があります。サハラ砂漠の東にはこれまた世界最長のナイル川が流れています。このナイル川の河口には、今から3000年以上も前に古代エジプト文明が栄えたのです。
アフリカの赤道付近は熱帯気候ですが、その中心部は熱帯雨林気候(ねったいうりんきこう)といって、年中雨が多く気温も高いのでジャングルが広がっているのです。また、そのまわりはサバナ気候といい、一年のうち半年間は雨が降る雨季(うき)と、残りの半年間は雨が降らない乾季(かんき)という季節があります。半年は雨が降らないので草原が広がっています。
ところで、アフリカには美しい自然がいっぱい残っているのですが、悲しい歴史も残っています。そのひとつが、今から500年以上も前にアフリカの黒人達は、ヨーロッパの商人によって銃でおどされて捕まり、奴隷(どれい)として一千万人以上の人々が、北アメリカや南アメリカに売られていったのです。これが世界の黒人差別の始まりなのです。奴隷は白人達にお金で売り買いされ、お給料ももらえず強制的に働かされたのです。もちろん黒人が殺されても、誰も罪に問われなかったのです。
もうひとつは、ヨーロッパの植民地政策(しょくみんちせいさく)です。1880年頃から第二次世界大戦が終わるまで、ヨーロッパの国々(イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど)は、アフリカのほとんどの地域を植民地にしました。植民地というのは、武力でおどされたり戦いで負けた国や地域が、勝った国の支配を受けるのです。植民地になった地域は、資源はすべて奪われ、その地域の人々も安い賃金で働かされたのです。目的はヨーロッパの国々がお金儲けをするためです。しかし、第二次世界大戦が終わると、植民地の人々は独立して、現在の国に分かれたのです。
アフリカにはこんなに悲しい歴史があるのです。でも、歴史ではないのですが、すばらしい文化があります。それはなんと言っても音楽ですね。アフリカの民族音楽は世界的に評価され、すばらしいミュージシャンがたくさん世界で活躍されています。ブルースの神様といわれたB.Bキングさんは、私の一番好きなミュージシャンです。機会があれば一度聞いてみてください。
はーい。今日もよく頑張りましたね。
では、復習問題に進んでください。がんばってくださーい!
復習問題
1.アフリカの自然の特長をまとめてください。
中央に赤道が走り、赤道の北には世界最大のサハラ砂漠があります。サハラ砂漠の東にはこれまた世界最長のナイル川が流れています。このナイル川の河口には、今から3000以上も前に古代エジプト文明が栄えたのです。また、アフリカの赤道付近は熱帯気候ですが、その中心部は熱帯雨林気候といって、年中雨が多く気温も高いのでジャングルが広がっているのです。そのまわりはサバナ気候といい、一年のうち半年間は雨が降る雨季と、残りの半年間は雨が降らない乾季という季節があります。半年は雨が降らないので草原が広がっています。
2.アフリカの黒人奴隷の歴史についてまとめてください。
今から500年以上も前にアフリカの黒人達は、ヨーロッパの商人によって銃でおどされて捕まり、奴隷として一千万人以上の人々が、北アメリカや南アメリカに売られていったのです。これが世界の黒人差別の始まりなのです。奴隷は白人達にお金で売り買いされ、お給料ももらえず強制的に働かされたのです。もちろん黒人が殺されても、誰も罪に問われなかったのです。
3.アフリカの植民地についてまとめてください。
1880年頃から第二次世界大戦が終わるまで、ヨーロッパの国々は、アフリカのほとんどの地域を植民地にしました。植民地というのは、武力で脅されたり戦いで負けた国や地域が、勝った国の支配を受けるのです。植民地になった地域は、資源はすべて奪われ、その地域の人々も安い賃金で働かされたのです。目的はヨーロッパの国々がお金儲けをするためです。しかし、第二次世界大戦が終わると、植民地の国々は独立していきました。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第18回「アフリカの国と自然」
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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