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ほめるな (講談社現代新書)
伊藤 進 (著)
筆者はほめるほどでもないことまで取り上げて、意図的にとにかくほめるという現代の子育て・教育にありがちな手法を危惧しています。
ほめることは道具的条件付けの「強化刺激」にあたり、それが子供たちの行動を常に「よい—悪い」の評価の尺度で測っていることになりかねないとしています。つまり、「ほめられるところがあれば価値があり、そうでなければ価値がない」というものさしをほめる側が示しているということでしょう。確かに、それはあるかもしれません。
また、ほめられることによって得たモチベーションはほめるという報酬に支えられたものであり、内発的な動機づけによるモチベーションの妨げになるとも述べています。
「ほめるな」という題は衝撃的ではありますが、筆者はほめることを完全に否定しているわけではないようです。第5章では「心からほめることまで否定しているわけでもない」としています。「厳しさがなければ愛情ではない」として、やさしさはもちろん必要であっても、「忍耐心」や「失敗耐性」を身につけさせていかなければならないと述べています。
最終章では、インタラクティブ型支援として、
一人の人間として尊重する
コミュニケーションが双方向的
コミュニケーションが創造的
であることを条件とした子供たちへの支援方法を説いています。
意味なく厳しい教育も、意味なく優しい(ほめまくり)の教育も、どちらにも問題はあるでしょう。教師にコミュニケーション力が要求されることを、ほめまくってしまっている現状を批判するところから指摘をしているという点で、興味深く読めました。
関連記事として、当サイトにはたくさんの褒めることに関するきじがあります。是非ご参照ください。
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