1 概要
この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧の実践を転載しています。
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2 実践内容
はじめに
5年生は「異分母分数の加減」を指導します。そのポイントについて説明してみます。
既習事項としては、「同分母分数の加減計算」と「大きさの等しい分数」、「公倍数」「公約数」があります。
※よく、本時の新しい内容に入る前に授業の冒頭で前時までの復習に時間を割く研究授業が見られます。これは、「これからあなた方が直面する問題にはこのような手だてが必要なのです。あらかじめ準備しておきましょう。」と言っているようなものです。極端な言い方になりますが、「診断する前に薬を投与している」ことと似ています。子どもが問題に直面して、本当に困ったときに復習するのが効果的でしょう。
発問のヒント
多くの教科書の問題は、次のようにして始まります。
まず、演算決定する必要があります。同分母の分数では加法も減法も式が成り立ちますが、異分母の分数の場合も加減の立式ができることをおさえる必要があります。それは加法の適用の数の範囲が拡張されることになるからです。
従って、教師の発問の手順は次のようになります。
- 問題の意味は分かりましたか。
- これはなに算になるでしょう。
- どうして、たし算になると言えるのですか。
- そうですね。これは2つの量を合わせることになるので「たし算」なのですね。
- ではどのようなたし算の式になりますか。
子どもたちはここで、次のように立式するでしょう。
この式からどのように計算しましょうか。今日はこの計算の仕方を考えましょう。
ここで、児童に既習事項を用いて自力解決してみるよう促す。ヒント的な発問として、
前に学習した分数のたし算と、どこが違いますか。
どうなっていれば計算できるのですか。
分母をそろえるにはどうしたらよいでしょう。
などのようにして、大きさの等しい分数を想起させ、「通分」を指導していきます。
そして、最終的には異分母分数の加法や減法の計算が「通分する」ことによってできることを学習します。
この学習が終了した時点で(本当は「通分」の意味を指導する時点の方が望ましい)、小学校の段階で扱う加法と減法は全て学習したことを告げ、次のような観点でのまとめが欲しいところです。
- なぜ、分母をそろえるのか。それは、「単位」をそろえるためであること。
- 「単位をそろえる」ということは、「位」をそろえることであること。
- 足したり、引いたりしたとき、単位同士の関係から、繰り上がり、繰り下がりがあること。
- これは、34-18の繰り下がりの計算と同じ意味であること。
これらのことは、既習の計算と分数の計算、また他の数量の加減計算の全ての計算の原理を統合することになります。
このようにして、統合する見方、考え方を育てるのです。
通分の工夫
次の問題です。
これは、通分の工夫の問題です。通分のアルゴリズムとして、「異分母同士の加減計算は分母同士を掛ければよい。」と理解している場合、「よりよい通分の方法はないか」を考えさせるのです。
- は、確かに分母が素数同士ですから、共通な分母はお互いを掛けることになります。
- では、最小公倍数を求める方がよりよい方法です。
- では、片方がもう一つの倍数になっているわけですから、一方に合わせれば良いことになります。
このように、ただ通分のアルゴリズムによるのではなくて、数を見ながらよりよい通分ができる児童を育てていきたいです。
もちろん、数があまり大きくない場合は、直接掛ける方法でも最終的な約分の手間が大変と感じられない場合もあります。
機械的に操作すればよいアルゴリズムを見つけるのも魅力です。
自分ならどんな方法で計算するのか、考えさせるのもよいでしょう。
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添付ファイル
3 実践者紹介
初等教育研究所 山﨑 憲
元東京都算数教育研究会会長。
「小学校時代から現在までで、今が最も算数がすき」と、小学校退職後も算数教育に没頭し、現職時代に引き続き年に数回研究授業も試みている。
現在東京学芸大学講師として初等算数科教育法を担当。
またボランティアとして東村山市算数教室を開催し算数好きの子どもの育成を目指している。
4 サービス紹介
同社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしたり、不明点や疑問点などを無料で相談できたりします。
http://www.djn.co.jp/support/
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 内藤かおり)
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