漢字テストの成果を着実に上げる~繰り返し漢字テスト3

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漢字テストに関しては、

繰り返し漢字テスト

繰り返し漢字テスト2~プロジェクターを使って

で詳細を書いていますので、まずこちらをご参照ください。

目次

1 漢字テストの成果を着実に上げる

漢字指導は国語以外の教育にとって重要なポイントであり、教師も子供もかなり苦労して漢字の習得のために時間を割いています。日本語で学習をしていく限り、漢字が苦手であると学力の習得にマイナスに働きます。漢字の学習は国語以外の教科に関しても、基礎の基礎と言ってよいでしょう。そんな大事な漢字の学習において、「成果を確実に上げる」などと書くと、不謹慎であるような気がします。そんな気がしてしまうほど、漢字指導は長きにわたって長い時間をかけて子供も教師も、苦労してきたことなのです。また、一生懸命指導に時間をかけてもどこで子供が躓いているのかもはっきりと分からず、躓いたところまで遡ってプリントを用意することも大変です。個々の児童の漢字の躓きを簡単に取り戻すことは着実どころか、思ったようにはいかないものです。

以下に述べる方法は、漢字テストをスモールステップで繰り返し行うことによって漢字の定着率を着実に上げようという取り組みです。「苦労がゼロ」とまでは言いませんが、おそらく他のやり方に比べればかなり楽に着実に成果が上がることと思います。

2 漢字嫌いをなくす

漢字指導を怠れば、基礎ができていない子供を生み出し、後々の学力崩壊にもつながりかねません。漢字が読めないことが学校の荒れにつながっているのではないかという記事がありますので、下記リンクの先をご参照ください。↓

学力保障 ~学校の荒れを防ぐための最優先事項

日本語で学習をするにあたって漢字が苦手であるということは、たいへん不幸なことです。
だからといって漢字指導に熱心になり過ぎて、子供にあまり負担をかけて、やっていて楽しくないような学習をさせることはよくないように思います。努力や根性を強要し、かえって子供を漢字嫌いにしてしまうようでは困ります。
私は、テストまでの漢字指導に関しては、あまり熱心過ぎても行けないし、手を抜いてもいけないと思っています。
漢字指導の中で、「漢字テストまでの部分」に関しては、様々な方法で行われていると思いますので、他所に譲ってこの稿ではあまり詳しく触れないことにします。この稿では、あくまで、「漢字テストを通してどれだけ楽に着実に漢字を習得させるか」について述べていきたいと思います。

3 テストを繰り返し、スモールステップで

5問5問5問10問とスモールステップで少しずつ繰り返しできる漢字テストを実施することで、子供も教師も楽に漢字学習に取り組むことができます。それほど漢字テストまでの指導を必死になってやらなくても、くり返して小テストをやって行くことによって結構な成果を出すことができます。

4 プロジェクターを使って

もし、教室に常備されたプロジェクターがあるならば、プロジェクターで問題を提示した方が手間を省くことができ、印刷するより何倍も楽です。学校全体でプロジェクター環境を整えることにも力を入れてください。下記リンクでは、プロジェクターを使ってテストをする方法の記事ですので、是非ご参照ください。

繰り返し漢字テスト2~プロジェクターを使って

ファイルはこのページ↑↑↑に示したリンク先からダウンロードしてください。プロジェクターやパソコンのある環境で使う場合のファイルです。

5 答え合わせ

毎日漢字テストをして、毎日答え合わせをするというのは、普段の学校ではなかなか実現しにくい流れかもしれません。いろいろとやらねばならない日々の指導・業務の中で、たとえ5分~10分であっても漢字テストの時間を見つけ出すことができません。特に、答え合わせをして間違い直しをさせるとなると、さらに時間がかかります。漢字が苦手な子供は10問テストをやると7割~8割を間違うわけで、それを2回書き直させると14回・16回と書き直す時間が必要になります。漢字が苦手な子供は「書くこと」自体が嫌いな場合が多いのです。間違えた字をさらに間違えて書き直すことも少なくありません。
答え合わせをどのようなフローで行うかは、けっこう漢字テストの中では、重要なフローです。
「繰り返し漢字テスト」をしていると、5問→5問→5問→10問と進むにつれて、不正解が減っていきます。不正解が減れば、「答え合わせ+間違い直し」も早くできて、楽で楽しくなってきます。学習にリズムが出てきて、成果があらわれ、さらによいリズムが出てきます。
「漢字がかなりボロボロなクラス」でなければ、5問の段階では子供自身に答え合わせをさせればよいと思います。
「自分で答えを合わせます。しっかり見直しなさい。間違いを3回書き直しなさい。書き直したら、班の中でまだ書き直せていない人に渡しましょう。最後になった人が、先生に持ってきてください。」
と指示しておけば、事がさっさと進みます。

① 配るのは枠線だけ。プロジェクターで問題を映し出してしまえば、シンプルに枠を印刷するだけですみます。

② 自分で答え合わせまでさせ、間違いがあったら3回書き直させます。

③間違えた答え合わせがあれば、教師が直して本人に戻し、3回書き直させます。(ここを放置してしまえば、漢字が苦手な子供ほどルーズになってしまい、力がつきません。ここは、きっちりと詰めましょう。)

5問の時の答えは教師側で破棄してもよいと思います。10問はしっかり良い点を取らせて家に持って帰らせる、または連絡帳に貼らせるなどして保管させるのもいいでしょう。とにかく、スピーディーに、子供にとっても教師にとっても、リズムのよい流れを作ってください。
解答用紙が集められれば、教師はざっと答え合わせに間違いがないかを見てみます。間違っているのに○をしていないか、間違い直しをした字が間違っていないか。教師が間違いを発見した場合は、×を入れて、5回書き直させて再提出させます。このあたりの管理をきちんとして、「この先生、手を抜くことは許してくれないんだ」と思わせておくことは大切です。そうでないと、ダラダラと低きに流れてしまいます。

6 漢字の補習教室

繰り返し漢字テストを使って当該がくねんの漢字学習に取り組ませても、落ちこぼしてきてしまった子供は中々成果が上がってきません。以前の学年での定着がしっかりとできていなければ、その上に新しい漢字を覚えさせようとしても、土台がないので知識の定着はぐらついてしまいます。
そこで、パソコン室を利用して「放課後の漢字補習教室」として漢字学習が遅れ気味な子供たちのために補習を行うのにもこの繰り返し漢字テストは有効です。子供たちが個々のレベルに合わせてパソコンにあるデータの中から問題を自分で呼び出してテストをします。これなら、印刷物を作る手間を省くことができます。教師は個々の子供がどこまで問題を消化できているか、進捗管理をしておけばOKです。
漢字が苦手な5年生の子供に3年生のプリントを用意してあげて、継続的に学習させることはとても難しいです。それだけの準備をするのは、教師にとってけっこうな負担となります。個々の力、個々の進捗状況に合わせて問題を呼び出してテストができるのは、パソコンだからこそできる芸当です。
個々の進捗状況を管理し、自分自身で進捗に合わせた問題をやらせます。
1日目にやるのは、5問5問5問で、2日目には1日目にやった所の10問をやってまた新しく5問5問5問、3日目は2日目の10問をやってまた5問5問5問・・・と、これをくり返します。5問5問5問と10問の間を1日以上空けることによって記憶が定着します。
余裕があってペースアップを図るのであれば、1日目に、5問5問5問+5問5問5問をやって、2日目に10問+10問をやってまた5問5問5問+5問5問5問、3日目に10問+10問をやってまた5問5問5問+5問5問5問・・・と2サイクルずつ進むのもよいかもしれません。
個人の教師の取り組みとして頑張ることもできますが、学校全体の取り組みとして放課後等にパソコン教室を利用して、誰か1人教師が補習の監督をしてあげるといいですね。各クラスの漢字の学力がきびしい子供をひとまとめにして遡り学習をさせることができます。
漢字が苦手な子供たちに対しては、答え合わせは先生がしてあげるのがよいと思います(④の答えを見ながらやってください)。できた子供から並ばせてすぐに答え合わせをしてあげることが一番です。
間違いを書き直してあげて、3回ずつ書き直させましょう。書き直しが終わったら、次のテストに進ませます。
読みの方がまだできていない子供もいます。そんな子供には、④の答えを使って、先に答えの読みの方をしっかり指導してあげるのもいいでしょう。そうするなかで、その子供の漢字に対する実力が分かってきます。あるいは、
小学4年生新出漢字の読みが全部入った文章
のシリーズ等を利用して、とにかく読むことができるようにしてあげるのもいいでしょう。だいたい、どの学年まですらすらと「読み」ができるのかがわかれば、何年生の漢字の書き取りテストをさせればいいのかが分かってきます。

7 データを残し、評価する

いくら漢字の力がついたからといって、子供も教師もそれを実感できるほどの大きな変化がどの子供にも表れるわけではありません。正答率が倍にでもなれば気がつきますが、小さな変化は気がつきにくいものです。
しっかりと、データをとって変化を客観的に観察しましょう。下記リンク先の記事もご参照ください。

データをとってほめる材料に

10問テストをした時には、時々クラスの平均正答率を出してみてください。モチベーションを保つためにも、クラス全体で正答率が上がっているという情報をざっくりでいいので子供たちに与えてあげることは大切です。
「△%が○%になったよ。いい感じだよねえ・・・」

学期の終わりには、必ず30問~50問をランダムに出題したテストを行って、点数を控えてください。「繰り返し漢字テスト」をリズムよくこなしていけば、1学期より2学期、2学期より3学期と、正答率は上がっていくことと思います。是非、個々の子供、そしてクラス全体をほめてあげることのできる機会にしてあげてください。オーバーなくらいに褒めてあげましょう。
また、学年のはじめに前の学年、学年の終わりには当該学年の新出漢字が網羅されたテストをやってみるのもいいでしょう。漢字は学年が1年上がるごとにグンと難しくなるので、前の学年の正答率を超えることはなかなか難しいと思いますが、正答率が前の学年に比べて10%以内の下落幅であれば、かなり良い結果といえると思います。

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