校長先生(教頭先生)、職員室が学級崩壊状態です!?
その昔、校長は「あがり」のポストであり、庭いじりでもしていれば退職までの日々を安穏として過ごすことができていた時代もありました。ところが年々様々な教育に関する問題・課題が重みを増してきており、管理職に対する要求は非常に厳しくなってきています。特に教頭職の事務・対応案件が尋常ではない質・量になってきており、教頭職への支援は急務ではないかと思われます。給料がそれほど増えるわけでもないのに責任ばかりが増えるため、管理職に昇進するメリットがあまり感じられなくなってきており、管理職になりたいという教員が減ってきているという報道も目にします。さらに都市部では40代の教員が不足しており、管理職候補が不足している状況です(2018年現在)。
管理職候補の不足の問題と同時に、管理職の「マネジメント能力」も問われています。難しい学校運営の舵をとってゆくためにはかなりの「マネジメント能力」が要求されます。ところが管理職を選んでいるのは上級の管理職(教育委員会教職員課)です。選考基準は曖昧で、教育委員会が選んだからと言って、管理職の「マネジメント能力」が保障されるわけではありません。また、管理職希望者が減るという事は競争率が下がるという事でもあり、「マネジメント能力」の低下が懸念されます。
そこで、管理職のマネジメント能力を担保するための公的な管理職研修が随時行われています。しかし、学校現場では学級崩壊、保護者とのトラブル、教職員の心身の健康状態の悪化、教職に対する人気の低下といった問題が根深く進行しています。難しい学校運営を仕切っていくための「管理職のマネジメント能力」は不足しがちです。残念なことに教育現場(職員室)がなかなかうまく機能していないケースが少なくないというのが現実です。
教職員が多くの問題を抱えているのに管理職のマネジメントが上手く機能せず、職員室にストレッシブな空気が流れ、辛いムードが漂っているというような状況は、言わば、「職員室の学級崩壊」です。2019年の神戸市立東須磨小学校での同僚教員いじめ問題は極端な例であるだけで、職場での人間関係の不全は学校が抱える大きな課題です。「管理職にとっての教員(教職員)」と「教員にとっての児童生徒」はよく似た関係です。
労務管理の不全
管理職の職責の中で大きなウエイトを占めるのが「労務管理」です。労務管理を短く説明するなら、
1.「教職員が給料に見合うだけの価値がある仕事をしているかどうか」について管理する。(≒働かせる義務)
2.教職員が「給料が支払われていない時間帯まで働いているという現実」をきちんと把握し、改善に努める。(≒働かせすぎにさせない義務)
という事になるでしょうか。残念ながら1・2の両方ができていない管理職が多いのが現状です。1に関しても、2に関しても数値化した上で把握・分析し、改善を実現している管理職は数少ないと思います。
2に関しては、
「学校の多忙化」の改善(業務改善) ~「残業の見える化」から始める
をご覧ください。
この労務管理という管理職の大きな仕事に関係しているのが、管理職の大きな権限です。
管理職は【人事権】【評価権】【会議の決定権】という大きな権限を有しています。この3つの権限を持っているからこそ、リーダーシップを発揮して学校運営ができるし、上記労務管理の義務も果たせるのです。
【人事権】学年配当・担当配置や他校への異動、昇進に関する推薦は、教員にとっての大きな関心事であり1年間や将来を左右されかねない。
【評価権】人事権に関わるし、悪評価を受けると減給にもなりかねない。
【会議の決定権】職員会議において決定権を有するのは校長であると法律に定められている。(学校教育法施行規則48条(職員会議))
地域や学校(校長個人の考え)によって実態は様々かも知れませんが、法律的には校長は絶対的な権限を持っていると言えます。この権限を管理職が濫用してきたことは、学校の多忙化問題と切っても切り離せない問題であると思います。管理職が職員を動かそうと言葉を発する時、それが「命令」なのか、「助言」なのか、「お願い」なのか、「理想を口走ってみただけ」なのか、職員にとって分からないことがしばしばあります。「お願い」ベースで何かを頼まれても、管理職は大きな権限を持っているため、職員がそれを断ることが難しいです。管理職の意向に忖度して動かなければ、出世が遠ざかったり望みのポストにつけなかったりするかもしれないと考えてしまいます。そうして断ることのできない仕事が増えていきます。教員の多忙化がなかなか改善されない理由は、ここにあります。
まずは管理職から
「社会」を立て直すなら、まずは上流から始めるのが正しい戦略だと言われます。学校という小社会に於いて管理職は職員室の上流に位置していると言えるでしょう。管理職が改めるべき点をまず改めていかないことには学校は立ち行かなくなってしまいます。同時に強力な権限を活用して業務改善を進めなくてはなりません。教育委員会による官製研修でも管理職は何かと厳しい要求をされていると思いますが、教育委員会目線ではなく、教員目線(職員室目線)で「職員室の学級崩壊の状況・要因」をチェックする必要もあるでしょう。教員も児童生徒・保護者から評価を受ける時代です。管理職が教員目線で評価を受ける機会も必要だと思います。そこで、職員室の学級崩壊チェックシート↓を作りました。
職員室の学級崩壊チェックシート.xlsx
教育委員会が管理者として校長・教頭を評価することは当然です。それに加えて現場での校長・教頭をもっともよく知っている教職員全員で360°評価をすることは絶対に必要です。一部の職員に評価させている自治体の例はあるようですが、全職員が評価できるように早く制度化するべきです。評価が低い校長には教育委員会、あるいは第三者的機関がチェックするという仕組みにしなければなりません。
評価結果をポイント化して、特に評価の悪い管理職は給与を下げるなどのペナルティが必要だと思います。休憩時間や勤務時間外に会議や公的なタスクを入れていると評価された場合は特にマイナスポイントをつけると良いと思います。
特に、「パワハラがないか」「休憩時間と出退勤時間を確保できているか」は、重要ポイントです。「教員の学級崩壊の状況・要因」と対比しながらチェックができるようにしています。管理職が引き起こす「職員室の学級崩壊」と担任が引き起こす「学級崩壊」を対比すると、深い相関があることに気が付きます。「職員集団が組織として機能しているか」を振り返る機会になるかと思います。管理職のみならず教育関係者全般に、是非ご覧いただきたいです。教職員の方々はチェックシートとこの記事を印刷し、そっと校長や教頭の机上に置いてみましょう。あるいは教職員が団結して全員でこのシートを使って管理職を評価し、評価結果を伝えましょう。文言は適宜改変してお使いください(再頒布可)。
職員室が学級崩壊状態。だから、何をしなくてはならないか。
教育現場は日々難題課題を抱えており、「手詰まりでどうしようもない」という状況は管理職にも教師にも、多々あると思います。だから、(職員室の)学級崩壊を誰かのせいにしてただ責めてみても仕方ありません。批判に終始していてはいけないと思いますので、提案もしてみます。以下、チェックシートの内容と、各項目に関する是正の提案(青字)を記述しています。
リアルな(子供達の)学級崩壊に関しては、一連の記事をアップしていますので、こちらもご参照ください。
下記↓記事は職員に対して支援的に指導することについて書かれています。ご参照ください。
下記↓記事は教師がが職員室で職員としてどのように考え、振舞えばよいのかをまとめたものです。
チェックシートの内容及び各項目に関する是正の提案
添付したエクセルファイル「職員室の学級崩壊チェックシート」が下記黒字部分の内容です。青字部分は各項目にいかに是正すればよいのかを提案したものです。青字部分は「管理職」を「教師」、「教員」を「児童生徒」と読み替えれば、教員用の是正の提案となります。
人間関係が悪い
【管理職】教員間の人間関係が悪い。
【教員】児童生徒間の人間関係が悪い。
→→→ 大人(教員)の人間関係がうまくいかないという状況は、根深い問題をはらんでいます。様々な不安・不満やストレスを取り除き、風通しの良い人間関係を築いていく他ありません。仕事がハードであっても明るさを失わないように、職員室のムード作りに気をつけましょう。管理職の圧力が強いと必然的に職員室にピアプレッシャーが働きます。ピアサポートができる風通しの良い職員室のムードづくりを。
助け合いができない
【管理職】教員同士が助け合わない。OJTがうまく機能しない。ピアサポートな関係づくりの失敗。
【教員】児童生徒同士が助け合わない。リーダーが育たない。ピアサポートな関係づくりの失敗。
→→→ 授業を見に行き、優良な実践を見つけ、「何がどう良かったか」を教員に伝えましょう。また、優良な実践をしている教員に「○○先生に、○○を教えてあげて」と、要請しましょう。「○○先生の教室・授業を見に行くといいよ」と、困っている教員に伝えるのもいいと思います。時々「1人10分間OJT研修」の時間をとって(長い研修はしんどいです)、ミニ実践を発表する場を作るのもいいでしょう。「うまくいった実践を同僚に伝える(共有する)のも給料の内」であることを認識させる必要があります。
助け合いができないと、「仕事の投げ合い」が始まり職場はどんどん回らなくなります。
同調圧力が強い
【管理職】教員間の同調圧力(ピアプレッシャー)が強い。
【教員】児童生徒間の同調圧力(ピアプレッシャー)が強い。
→→→ 教員のほとんどが小中学校が荒れていた時代の世代になっています。「いじめ」に神経をとがらせながら子供時代を過ごしてきた教員も少なくないでしょう。多忙化のストレスに晒されている状況で、「教員自身がピアプレッシャーをかけあう状況に陥りやすい」と理解した方が良いと思います。互いに友好的な人間関係を築けるように呼び掛けるとともに、プレッシャーを生み出す中心になっている教員がいれば、話し合う場を持った方が良い場合もあります。そして、管理職自身が同調圧力を生み出す要因を作ってしまっていないかどうか、自問する必要もあるでしょう。ピアサポートでフラットな人間関係づくりを目指しましょう。
同調圧力的学級経営はいかがなものか | EDUPEDIA
意見を言いにくい
【管理職】話し合いの場で教員が意見を言いにくい雰囲気がある。管理職が教員の意見を聞き入れない。教員が「しんどい」「辛い」と言えない。
【教員】話し合いの場で児童生徒が意見を言いにくい雰囲気がある。教員が児童生徒の意見を聞き入れない。児童生徒が「しんどい」「辛い」と言えない。
→→→ 同上です。職員室からプレッシャーを取り除きましょう。意見を言うことは給料の内であることを伝えましょう。教員が「正直しんどい」「辛い」と言えるようなムードを作りましょう。聲なき聲を聴く努力を。
教員に寄り添えない
【管理職】教員が何に困っているか、心身が健全であるかに関して思いが及ばない。
【教員】児童生徒が何に困っているか、心身が健全であるかに関して思いが及ばない。
→→→ いつも、相手の立場に立って公平に声をかけ、様子を聞いてください。弱者への目配りが大事です。聲なき聲を聴く努力を。
理想を押し付ける
【管理職】教員に理想を押し付ける。
【教員】児童生徒に理想を押し付ける。
→→→ やらなければならないことが山ほどあるのは分かりますが、高い理想を提示しても教員の人的資源(資質)には限りがあり、ついて来られないというのが現状でしょう。スモールステップを作り、少しずつ教員を育てましょう。また、研修課題の設定が教員にミスマッチであるケースも少なくないと思います。過度に教員の資質や負担に依存してみても仕方がありません。業務の属人化はリスキーであると認識するべきです。知識の共有を進め、できる事から始めるという発想を持ちましょう。下記リンクの記事も是非参考にしてみてください。
誰にでも、簡単にでき、効果のある教育実践 ~教師の資質や負担に依存しない「点数を稼げる実践」を
職員に自分の理想を語りたいなら、自分で単元作りからはじめて「理想の授業」のお手本を提示しましょう。まあ、たとえ自分が理想を実現できていたからと言って、人にその理想を押し付けてみるのもどうかと思います。「自分ができたから人もできるはずだ」と考えてしまうのは、あまりにも単純な発想です。そんな発想で自分の理想を押し付けるのは、「管理職→→→教師」でも、「教師→→→子供」でも、迷惑な話であるかもしれないと、想像力を働かせましょう。
態度が威圧的
【管理職】教員に威圧的な態度をとる。
【教員】児童生徒に威圧的な態度をとる。
→→→ 威厳を保つことと威圧的になることは違います。気をつけましょう。
不当な圧力をかける
【管理職】教員の立場(人事評価・人事権)を利用して不当な圧力をかける。
【教員】児童生徒の立場(成績・受験)を利用して不当な圧力をかける。
→→→ 圧力をかけなくてもよい状況を作り、自治的・民主的な学校運営が進められるように努めましょう。評価者・人事権者が強い圧力をかける・贔屓をすれば、パワハラと言われても仕方ありません。
職員の表情が険しい
【管理職】教員がストレスを溜め、表情が険しい。
【教員】児童生徒がストレスを溜め、表情が険しい。
→→→ しっかり観察し、話を聞きましょう。聲なき声を聴く努力を。
学校が忙しすぎる・辛すぎる
【管理職】賃金不払い労働状況(多忙化によるサービス残業の慢性化)を解消できない。業務改善の停滞。=コンプライアンス違反。
【管理職】職員へのパワハラ=直接の相手だけではなく、周囲も含めて「ひどく辛い・憤る」と感じればそれは「コンプライアンス違反」です。
【管理職】職員へのセクハラ=直接の相手だけではなく、周囲も含めて「ひどく辛い・憤る」と感じればそれは「コンプライアンス違反」です。
【教員】体罰・暴言・無視等々、児童生徒へのコンプライアンス違反。
教員による児童生徒へのいじめ。(相手がひどく辛いと感じればそれは「いじめです」。)(当該児童生徒が辛いと感じていなくても、周囲が辛いと感じている場合も考慮するべき。)
→→→ 管理職は教員にコンプライアンス違反がないかどうかを管理すべき立場です。自らがコンプライアンス違反を犯さないよう、襟を正しましょう。特に賃金不払い労働状況が職員室に蔓延しているようであれば重大なコンプライアンス違反であります。「労務管理」という職責を放棄している管理職が多いことは重大な問題です。
「学校の多忙化」の改善(業務改善) ~「残業の見える化」から始める
過去の体験にとらわれる
【管理職】「私も賃金不払い労働状況を我慢して頑張っている(頑張ってきた)から、お前らも頑張れ」と残業等、不当な仕事を強要する。
【教員】児童生徒に不当な頑張りを強要する。
→→→ 教員時代の自分と管理職の自分は立場が違います。管理職にとって労務管理は重要な仕事です。立場の違いに気が付きましょう。自分がいかに仕事に打ち込み、困難を乗り越えてきたかを自慢する管理職は多いですが、「残業武勇伝」は飲み会ででも話してください。飲み会で話されても迷惑ですが・・・。中学校の女子の部活ではないのですから、自分が辛かったことを後輩に押し付けるのではなく、後輩がつらい思いをしないようにしっかり労務管理という職責を果たしましょう。
人材難を嘆く
【管理職】「うちの学校はミドルリーダがいない」と嘆く。
【教員】「うちの学級はリーダーがいない」と嘆く。
【管理職】「うちの学校はろくな教員がいない」と嘆く。
【教員】「うちの学級はろくな児童生徒がいない」と嘆く。
【管理職】「以前の学校はよかった」と嘆く。
【教員】「以前の学級はよかった」と嘆く。
→→→ たまには愚痴も言わなければストレスが溜まってやっていけないのも現実です。上記の例が本当にそうである場合もあるでしょう。愚痴を言える人を見つけて苦しい胸の内を吐き出すのもいいと思います。しかし、いつまでも愚痴を言っている状況に留まっているわけにもいきません。
職員室の整頓が悪い
【管理職】職員室(の職員の机上)や印刷室(=公共部分)が乱れている。(指導力不足1)
【教員】教室環境が整えられない。(指導力不足1)
→→→ できるようになるまで、気長に声かけをしましょう。
社員教育ができていない
【管理職】教員が職員・社会人としての心得(挨拶は大事等々)を理解していない。(指導力不足2)
【教員】学級経営・生徒指導の失敗。(指導力不足2)
→→→ 常日頃から、「教員の心得」を意識させましょう。教育者うんぬんという手前の、社会人としての心得を理解させることは大切です。
教員の心得1(含:新学期準備)~新規採用教職員研修資料
褒めない
【管理職】教員を褒めない。(指導力不足3)
【教員】児童生徒を褒めない。(指導力不足3)
→→→ 常日頃から意識をして褒めましょう。
叱り方が下手
【管理職】教員の叱り方が下手。(指導力不足4)
【教員】児童生徒の叱り方が下手。(指導力不足4)
→→→ 叱ることは難しいです。教師は大人なので体面もあると思いますので、叱る時は職員室ではなく、校長室で叱るなどの配慮も。
「叱る」というキーワード の学習指導案・授業案・教材 一覧
指導力がない
【管理職】授業や学級経営の様子を見に行き、よかった点、改善すべき点を伝えるという事ができていない(指導の放棄)。その状態で教員を評価する。
【教員】しっかりとした授業も行わず(指導の放棄)、テスト等の客観的評価もせずに児童生徒の評価・評定をする。
→→→ 「教員が給料分働いているか監督する」こと(労務管理)は校長の重要な仕事の一つです。「質の高い実践を見つけ出し、その実践をしている教員に「良い結果」に至るまでの過程をつまびらかに発表させる」「労働の質が低ければ、いつまでに何をどうすればいいのか指示をする」ようにしましょう。授業も見に行かずに教員の人事考課をしているという状況は、担任がテストもせずに評価しているという状況と同様で、最悪です。5~10分でもいいので、普段の授業・教室の様子を見に行きましょう。大切な仕事の一つなので、多忙を理由に労務管理を放棄してはいけません。不味い点・良い点を数点ピックアップして、簡潔に教師に伝えましょう。
数値を把握できていない
【管理職】学校・教員の状況(指導力・勤務状況等)を数値として把握できていない。
【教員】学級・児童生徒の状況(学力・生活態度)を数値として把握できていない。
→→→ 数値で測れるものは、測りましょう。全国学力テストの結果(分析が難解です)への対応に引きずられ、他の数字を見ることがおろそかになってしまいがちです。せめて「漢字」「計算」「水泳」等、簡単に把握できるテスト結果だけでもきっちり把握し、改善案を提案できるようにしましょう。全ての児童生徒の成績や教職員の力量を把握することは無理だと思います。効果測定の対象を絞りましょう。給与に見合った働き方ができているか、時間外労働をさせていないか。勤務時間の適正化が必要です。
振り返りができていない
【管理職】教員集団又は教員個人の「育ち」に対するリフレクションができていない。
【教員】学級又は児童生徒個人の「育ち」に対するリフレクションができていない。
→→→ 教師を育てながら日々の学校運営のやり繰りをするだけで大変だとは思いますが、集団・個人が育っているかどうかを改めて自問自答する機会は必要だと思います。「注意をしたから」「言っておいたから」教師が育つとは限りません。教師が育たない原因は絶えず自分自身に求めましょう。
自分基準で判断する
【管理職】教員の学級崩壊状態・指導力不足等に対して、「私はちゃんとできていた」「○○先生はちゃんと頑張っている」と言ってみる。
【教員】児童生徒の素行不良や学力不振に対して、「先生はちゃんとできていた」「○○君はちゃんとやっている」と言ってみる。
→→→ ちゃんとできていたという「結果(抽象)」を語るのではなく、どうすればちゃんとできるのかという「過程(具体)」を教えましょう。「俺はちゃんとできていた」「私は素晴らしい教員だった」「自分はカリスマ教師だった」と、過去の自分を美化して「自称元優秀教員」になってしまっていませんか?
仕事を投げすぎる
【管理職】文科省や教育委員会から下りてきた仕事・情報をそのまま教員に投げる。
【教員】管理職から下りてきた仕事・情報をそのまま児童生徒に投げる。
→→→ たくさんの仕事・情報がトップダウンで下りてきますが、そのまま投げてしまわずに、加除訂正をして教員に負担がかからないよう配慮した上で手渡しましょう。
心身が健康でない
【管理職】管理職が心身を病んでいる。
【教員】教員が心身を病んでいる。
→→→ おつらい立場だと思います。仕事を抱え込まずに上手に割り振り、業務を精選し、チームとして学校を運営することを心がけてください。「未来の管理職」のためにも、管理職の多忙化を解消する必要があると思います。現場の窮状を教育委員会に伝えてください(教育委員会の多忙化もまた深刻な問題ですが・・・)。心身の不調を感じるならば、医療機関にかかるべきだと思います。健康第一です。くれぐれも心身の調子を崩してしまわれぬよう、お気をつけください。
文科省も教育崩壊を引き起こしている!
以上、「教員と学級」「管理職と職員室」の関係にスポットを当てながら書いてきましたが、最後に「文科省と学校現場」の事についても言及しないわけにはいかないと思えてきました。学校のブラック企業化は改善の見通しがつかず、賃金不払い労働状況というコンプライアンス違反がまかり通っています。
文科省関係者には、教育現場への出向を義務付けるべきだと思います。出向期間は1年間、出向先は学級崩壊が原因で休職した担任の学級、あるいは指導困難状況の学校です。です(表面を取り繕った研究指定校を視察に行くのではなくて)。文科省の役人には特別に教員免許を授与すればいい。学校現場の「困窮」を経験してから施策を考えてほしいです。「出向制度」を作るべきでしょう。文科省は「学級崩壊」の実態(数値)をつかんで、現場にフィードバックしているのでしょうか??文科省は「学級崩壊」を「学級がうまく機能しない状況」と言い換えてしまいました。(下記リンクをご参照ください↓)
その後、現場にいても、ネットでざっと検索しても、「学級がうまく機能しない状況」について文科省が追跡調査をし、数字を発表している様子は伝わってきません。今なお学級崩壊の渦に巻き込まれている現場に情報が伝わってきていません。
また、学力崩壊はどうすればいいのでしょう?学力についての数値的把握は全国学力テストが先走り、分析しづらい大量のデータが現場に投げ返されているだけです。現場は他校、他府県との比較(相対的評価)に晒されるのみで、何をどうすればよいのか、暗中模索の状況です。業者に採点を委託するなら分析も委託して、改善案を学校に提示してほしいです。
文科省が「新しい施策の根拠としている数字」「目標としている数字」「教育現場への評価をしている数字」が見えません!文科省が現場の混迷を見ることをせず、矢継ぎ早の通達や新しい施策(小学校英語時数増、道徳の教科化、探求的活動の推進、etc)を連発するのは、教師がテストもせずに評定をつけたり、自分の理想を押し付けるだけの指導をしたりしているのと同じです。仕事を増やすばかりで現場は多忙化が進み、混乱が広がっていることをもっと認識してほしいです。
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