先生がつぶれる学校、先生がいきる学校(妹尾昌俊:2018)【書籍紹介】

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妹尾昌俊氏は学校業務改善アドバイザー(文科省委嘱)・学校マネジメントコンサルタントとしてご活躍されており、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員としても重要な発言をされておられます。学校改革に関する講演やマスコミでの「一方的な学校批判ではなく、学校べったりの擁護派でもない発言」が私は大好きです。
今回取り上げるのは「先生がつぶれる学校、先生がいきる学校—変わる学校、変わらない学校 実践編【II】」(2018)です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]先生がつぶれる学校、先生がいきる学校 働き方改革とモチベーション・マネジメント/ (変わる学校、変わらない学校実践編) [ 妹尾昌俊 ]

これは「変わる学校、変わらない学校—学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道」(2015)「思いのない学校、思いだけの学校、思いを実現する学校—変わる学校、変わらない学校 実践編【I】」(2017)の続編という位置づけになるのでしょう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]変わる学校、変わらない学校 学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道 [ 妹尾昌俊 ]

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]思いのない学校、思いだけの学校、思いを実現する学校 ビジョンとコミュニケーションの深化 (変わる学校、変わらない学校実践編)

この2冊はどちらかというとマネジメントについて、つまり管理職向けに書かれているように思えます(※一般教員も読んでおくべき内容だとは思います)。本著はこの2冊の流れを汲みつつ、より広く一般教員に向けて書かれているように思います。

妹尾氏はEDUPEDIAの兄弟組織であるROJEの企画した「五月祭教育フォーラム2018『ブラック化する学校~多忙の影に潜むものとは~』」にも登壇して下さっており、その模様は記事化されていますのでこちら↓もご参照ください。

【五月祭教育フォーラム2018】「教員の多忙化」記事特集ページ

本著の章立てを見ると内容がざっと把握できると思います。

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第1章 教職員を動かすにはなにが必要か—モチベーション・マネジメントのススメ—
1 どんなときに先生たちの心に火が付くのか?
2 人材育成の悪循環とフィードバックの技術
第2章 あなたの学校は“チーム”になっているか?
1 学校が“チーム”となるには
2 教頭はつらいよ
第3章 忙しすぎる学校—働き方改革はなんのため?
1 相互不干渉な職場—多忙化と個業化のなかで
2 教師の過労死を二度と起こさないために
3 半径3メートルからの業務改善・働き方改革
4 この20年間、学校の長時間労働に、わたしたちはなにをしてきたのか
5 “ブラック部活”をどうするか—多忙とやりがいとの葛藤、自由と規制の振り子
第II巻のおわりに—働き方改革とモチベーション・マネジメントの進め方
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前述したように、妹尾氏の立ち位置はよくある「学校批判一辺倒」ではないし、「学校擁護一辺倒」でもありません。教育現場を俯瞰できる位置から冷静に観察され、同時に現場へと降りて丁寧なヒアリングもされています。「教育現場のリアル」を掴んで論理的かつ実際的で現実的な提案をされています。
文科省を頂点・教室を底辺としたピラミッド型の教育組織は目の前の案件への対処に追われる中でどうしても閉鎖的な組織となりがちです。多忙化が進んで学校・教育を俯瞰する余裕がない現場では、学校全体・教育全体のことを考えるよりもまず自分の身を守るために「今」「ここ」ばかりを見てしまいがちです。妹尾氏はこうした相互不干渉な状況を「個業化」と表現して警鐘を鳴らしています。

忙しさを言い訳にお互いの事に関心が薄くなってはいないでしょうか
職場の中のコミュニケーションがもっと自然に増えるように、意図的に場を作っていく事が必要です。

妹尾氏は他の著書でも「学校のビジョン・戦略の持ち方」や「チームとして機能する学校」に関して繰り返して問いかけています。本著では「あなたの学校は“チーム”になっているか?」という大きい章を設けて解説をしています。

各々が重要と思うベクトルを完全に一致させるまではいかなくても、ベクトルの和がとれるように、歩み寄れるところや連携できるところは探していくべきです。

また、タイムカードの重要性についても説いています。

体重計に乗らずにダイエットしようとする人がいるでしょうか?

ウィットに富んだ指摘ですね。EDUPEDIAでも、残業の見える化の重要性に関する記事がありますので下記の記事(1~4までのシリーズです)をぜひご参照ください。

「学校の多忙化」の改善(業務改善)1 ~「残業の見える化」から始める

妹尾氏は、

業務改善が何故重要なのかの意味付けが大事

として、

「授業の準備をする時間が足りない」と答えた教員は、小学校94.5%、中学校84.4%、高校77.8%

であることを指摘しています。漠然とした多忙感を語るのではなく、こうした数字をきちんと挙げて訴える所が妹尾氏の著書のポイントです。「何故業務改善が大事なのか」「どのように意義を見出すか」についての詳細は本著をご覧いただき、現場での業務改善推進に役立てて下さい。できれば上のアマゾンリンクでご紹介した「変わる学校、変わらない学校」シリーズ3冊を通読されることをお勧めします。また、「『先生が忙しすぎる』をあきらめない~半径3mからの本気の学校改善」でも、

先生が忙しすぎる現状は、未来の損失

として、多忙化の現状とその解消の具体を説明して下さっています。こちらも是非ご参照ください。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]「先生が忙しすぎる」をあきらめない 半径3mからの本気の学校改善 [ 妹尾昌俊 ]

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