1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第28回「オーストラリアの産業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。元気にしていますか。
では今日も「こころの窓」で勉強をしましょう。
今日のお題は「オーストラリアの産業」です。
下の地図を見てください。まずオーストラリアの農業はなんといっても、羊を飼って羊毛(ようもう)をつくることと、牛を飼って牛肉を出荷することがたいへんさかんです。その他、小麦の生産もおこなっています。
また、オーストラリアは鉱産資源(こうさんしげん・・石油や石炭や鉄鉱石などの資源)も豊富にあります。オーストラリアの西側には鉄鉱石があり、東側には石炭がたくさんあります。さらに、北部にはアルミニュームの原料となるボーキサイトもたくさんあります。
次に、上のグラフを見てください。1960年頃のオーストラリアの輸出品の中心は、羊毛と小麦と牛肉でした。しかし、最近は、これに変わって鉱産資源の輸出が増えているのです。鉄鉱石、石炭、金、天然ガスなど、輸出の半分が鉱産資源となっています。現在も、羊毛をたくさん輸出していますが、それ以上に鉄鉱石などの鉱産資源をたくさん輸出するようになったからです。
また、貿易相手国も、かつては植民地支配を受けていたイギリスが最も多かったのですが、現在は、中国が最大の貿易相手国になっています。これは中国が世界経済のなかで、アメリカをしのぐほど大きな力を持ってきたからですね。
はーい。では、復習問題に進んでください。
復習問題
1.オーストラリアの鉱産資源にはどんな資源がありますか。まとめてください。
オーストラリアの西側には鉄鉱石があり、東側には石炭がたくさんあります。さらに、北部にはアルミニュームの原料となるボーキサイトもたくさんあります。
2.オーストラリアの輸出品の変化について説明してください。また、なぜ変化してきたその理由もまとめてください。
1960年頃のオーストラリアの輸出品の中心は、羊毛と小麦と牛肉でした。しかし、最近は、これに変わって鉱産資源の輸出が増えているのです。鉄鉱石、石炭、金、天然ガスなど、輸出の半分が鉱産資源となっています。これは、羊毛も今まで通りたくさん輸出していますが、それ以上に鉄鉱石などの鉱産資源をたくさん輸出するようになったからです。
3.オーストラリアの輸出相手国の変化について説明してください。また、なぜ変化してきたのかその理由についてもまとめてください。
貿易相手国も、かつては植民地支配を受けていたイギリスが最も多かったのですが、現在は、中国が最大の貿易相手国になっています。これは中国が世界経済のなかで、アメリカをしのぐほど大きな力を持ってきたからですね。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第28回「オーストラリアの産業」
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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