ICTの導入で着実な成果を出す~算数GOGOの実践より

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作成者: eplp17さん

1 ICTは効果があるの!?


まずは、こちらの動画をご覧ください。概要が分かると思います。



Windows95を契機に、インターネットが安価で手軽にできるようになってから教育現場にICTが導入されてきました。現時点では、タブレット端末をいかに教室に導入すべきかが話題になっており、いくつかの自治体では本格的な導入が実施あるいは検討されるようになっています。この間、たくさんのICT導入の実践が行われてきました。

現場では素晴らしい実践が行われてきた一方で、「所詮コンピュータは教室に馴染まない」「人的環境、ハード的・ソフト的環境が整わないのでうまくICT化が進まない」といった失望感が広がったのも事実です。

冷静に考えてみれば、児童一人に一台のパソコンが導入されている学校などほとんどない環境(文科省は1校に40台を導入して「児童一人に一台」とアナウンスしていたが、それは実際は「各学校の児童数に40台」)で、日常的な授業の中でパソコンを活用するというのは、教師にとってはなかなか難しいミッションです。○曜日の○時間目にパソコンを使おうと思っても、他のクラスと重なっていては、思うようには使えません。環境整備の遅れは、パソコン導入の成果を実感できない要因のひとつとして、未だにくすぶり続けています。

では、学校で子どもにパソコンを触らせることは無意味なのかというと、そうではないと思います。本来パソコンの特性は、ドリル的学習にはかなり親和性があり、個々の力を伸ばすことに向いています。それなのに、これまではあまりその特性が生かされていなかったのだと思います。現にタブレットパソコンでは「アプリ」と呼ばれるダウンロードしてすぐに使える便利なアプリケーションが各家庭でもてはやされています。

パソコンでのそうした「ドリル的学習」を推進することを教師は「非人間的」と考えて後ろめたいのか、あるいは、ドリル的学習に適したソフトが見つからなかったのか、安価では手に入らなかったのか、理由はよくわからないのですが、とにかく現時点でもそれほど「ドリル的学習」を行おうという機運は高まっていないように感じます。

このような現場の状況を少しでも変えることができればと考え、「ドリル的学習に適合したソフト」を目指して「算数GOGO」というソフトを制作しました。教室で試してみて、着実な成果が出ています。以下の実践記録を是非、お読みになって下さい。

算数GOGOについて

「算数GOGO」は、

算数GOGO(ソフト)~個人個人に確実に計算力を!

をご参照ください。この↑ページからダウンロードし、フリーウエアとして使用できます。

このソフトは、スモールステップで問題(膨大な問題数です)が組まれており、ひとりひとりの子供に対応して計算練習を進めることができます。計算が苦手な子供も得意な子供も、その子供の能力に合わせて自分のペースで学習を進めることができます。

例えば「大きな数」であれば、2年生の一~千までの数でも、3年生の~千万までの数でも、4年生の~千億までの数でも、どこからでも勉強ができます。タイムアウトがありますので、子供たちは集中して取り組むことができ、最近計算力がついてきたように思います。

下のあまりのある割り算での「成果1」と文章問題での「成果2」をご覧下さい。

※データは個人情報に該当するため、平均点はそのままにして、得点のばらつきや変化の仕方、データ数を元データとほぼ類似する形にしつつ、改変しています。

算数GOGOの成果1「あまりのあるわり算の正答率が上昇」

3人の児童に注目して

下のグラフは、当ホームページ「低学年計算プリント」でも紹介している「あまりのあるわり算50問、3分間テスト」というプリントをやらせた(ソフト上の話ではなく、鉛筆で、手計算です)記録の中から、クラスで特徴的な3名を選んでグラフ化したもので す。16回のテスト結果で、「3分間で何問できるか(※注)」を表したものです。

16回のテストの合間に、算数GOGOを15分程度やらせています。

グラフはクラスで一番成果が上がったAさんと、平均的なB君、一番伸び悩んだCさんの16回分の成績の変化です。

  1. Aさんの伸びはすごいです。大人顔負けの速度でどんどんと計算を進めます。
  2. Cさんもまた、算数GOGOで習熟する中で個別な対応ができており、グラフに表れてはいないものの、「ひき算」や「あまりのないわり算」に関しては大きく力を伸ばしています。学習中はさえない顔をしてしていることが多いCさんですが、自分の力が伸びていることを実感したときには、笑顔で「算数GOGOもっとやらせて!」とせがんできます。
  3. 12回目までは算数GOGOを1回のテストの間に15分していたのですが、、13回目以降はペースを上げ、集中的に(3分で50点を取れない子供に算数GOGOを合計1~3時間)やらせたので、B君はグラフが13回目からぐっと上向きになっています。
  4. その他の児童も伸びが顕著になり、クラスの平均点も大きく伸びました。

複数の子供に対して普通に教えているとなかなかできない「ひとりひとりの子供」への細やかな対応も、コンピュータを利用することによって、算数の得意な子供から苦手な子供まで、様々なニーズに対応し問題を提供することが可能になります。

クラス全体に注目して

下のグラフは、B組37人の16回目中のベストの成績を並べたものです。、クラスの平均は51点を記録しました。クラスのほぼ半数の児童が3分間で50問をできるようになりました。比較のために3年A組にもお願いしてデータをもらいました。算数は専科で同じ教師が行っていたので、教え方は同じはずです。A組も算数GOGOにはほぼ同じペースで取り組んでもらいましたが、13回目以降、、算数GOGOを先行してみっちりやらせたB組とA組では、平均点で16点の差がでました(※A組も後から算数GOGOをみっちりとやりました。結果、B組とほぼ肩を並べました)。下のグラフは児童全員の得点を並べたものですが、3回分、集中的に取り組ませたことによって、大きな差が出ているのがよく現れています。算数GOGOの、個別に対応する機能の成果が表れています。クラス全体が、3年生にしては相当な能力を身につけることができているのではないかと考えられます。

※50問3分間テスト、3分を切ったときの算出方法(3分を切った場合は所要時間を記録している)

3分でできる問題数=正解数(問)÷かかった時間(秒)×180(秒) 小数点以下四捨五入

算数GOGOの成果2「文章題の正答率が上昇」

3年生では、逆思考問題2段階の問題が入ってきます。下のような問題です。

「みかんをいくつかもらいました。4人に3こずつあげると、8個残りました。はじめにいくつもらったのでしょう。」

簡単なようですが、これがなかなか、できません。

【方法】

◇ 3年生に対し、文章問題を2年生レベル12問、3年生レベル12問、4年生年生レベル6問、「かくれた数はいくつ」の単元指導前にレディネステストを実施。

◇ テスト結果は児童には知らせず、正答の発表や間違い直しの指導はせず。

◇ 単元指導の際、習熟の段階で算数GOGOでの文章題をほぼ全員に3年生分が全部終わるまで練習させた。(隣のクラスはデータをとるまでの期間はしていない→このデータをとった後に実施しました)

◇ 単元終了後、レディネステストの数字だけを変えた(同レベルの)形成テストを実施。

※ 100点満点のテストではないので、以下、%で成果を示します。

  1. レディネステストでは隣のクラスに平均で13%の差をつけられました。平均で13%差というのはたいへん大きいです。算数は専科で同じ教師が行っていたので、教え方は同じはずです。それがレディネステストと形成テストを比較すると、指導前後でクラス全体で17%の伸びがみられました。下位10名に限定すると27%の伸びでした。下の表赤色の部分が増えています。
  2. 単元終了後にほぼ同じレベルの問題をしました。隣のクラスの平均点は4%伸びたのですが、私のクラスは17%伸び、レディネステストで13%以上の差があった隣のクラスを1%追い抜きました。
  3. 顕著なデータを見てみると・・・Eさんは国語についてもあまり読解力がありません。さんは13%から73%と、力を伸ばしました。
  4. Sさんは63%から100%です。Sさんは塾や家庭勉強などで特別な訓練を受けてはいませんが、真面目な子供で、算数GOGOを一生懸命にやっていました。こういった子供が報われるのも、個別化されたソフトのよい面ではないかと思います。
  5. 「4年生の問題」に関しては、未学習の筈であるのに、単元終了後には27%から44%へ17%UPと「2・3年生の問題」と同等の伸びが見られた。、他のクラスが34%から38%という伸び方だったことと比較しても面白いです。
  6. Pさんは23%から30%で、伸びは少なく、50%に満たなかったですが伸びることは伸びています。このような子供には個別指導が必要だと思います。しかし、Pさんをのぞけば、未学習の4年生の問題も含めて、伸びが少なかった子供も含めて全員が半分以上正解できたことになります。

◆レディネステスト(指導前)の結果 平均 58%   1が正解 0が間違い

◆形成テスト(指導後)の結果 平均 75%   1が正解 0が間違い

何もこの単元の指導中に多くの時間を割いて、。算数GOGOばかりをやらしていたわけではありません。色々と他のコンピュータソフトを使ってせねばならないことがあったので、その合間に、どちらかというと片手間に算数GOGOをさせていたという状況でした。授業の最初に
「この時間の終わりまでに、ステップ122を仕上げること。できた人は、次の課題(他のソフト)をやっていてかまいません。できなければ休み時間も続けてがんばりなさい。」
と、指示を出したぐらいです。早い子供はすぐに終わって、他のソフトで次の課題に取り組んでいました。何人かの子供に関しては、少し苦しんでいたようですが、力が伸びている時というのは、がんばれるものです。時間・気力とも、少ない投資で大きな成果が得られました。

この成果をどう捉えるか

 
以上のように、確実な成果が出ています。是非「算数GOGO」をお試しください。
・・・と、言うと、おそらくあちらこちらから異論・反論が聞こえてくると思います。前述したように「非人間的だ」といった批判もあるでしょうし、「成果が定着しているかどうかは分からない、実証されていない」とおっしゃる方もおられるでしょう。しかし、①ちょっとしたパソコン教室の空き時間を利用して、②それほど長く拘束せず、③まあまあ楽しく学習し、④教師も楽をして これほどまでの成果が得られるのであれば導入の価値はあるのではないかと思います。とりあえず、ドリル的学習に使っておけば導入した値打ちが出ると考えればよいのではないかと思います。

また、このソフトを使えば、さかのぼり学習が可能です。

学力保障 ~学校の荒れを防ぐための最優先事項
http://edupedia.jp/entries/show/1311

で述べているように、落ちこぼしてしまった児童に対してさかのぼり学習をさせることは、かなりの時間と労力を要します。こうしたソフトが無料で手に入るのであれば、九九ができない5年生にも、引き算が弱い6年生にも、手を差し伸べてあげることができます。

算数GOGOあるいはそれに似た類のソフトが制作・活用され、成果が得られることで活用が一般的になり、その結果として落ちこぼされてしまった児童が少しでも救われる状況ができることを望んでいます。活用されることでさらにブラッシュアップされた類似ソフトが誰かの手によって作られることを願っています。
 
最近知った、

“タブレット対応のもので、スマートフォンアプリ「たす・ひく」(本能式シリーズ)”
http://www.mmc-net.co.jp/homepage/component/content/article/3-2009-01-16-07-21-57/154-honnoushikiaddsub.html

等は、かなり優れたソフトであると思います。是非、タブレット型パソコン導入の流れの中でも、こうした手軽で安価なソフトが今後の開発、導入されていくことを望んでおります。

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