サッカー全員シュート(全員得点)達成への道 2

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目次

1 初めて達成

ここ数年取り組んできた、「サッカーでクラス全員得点」をやっと達成する事ができました。 クラス34人中の34人が得点できました。教師になりたてのころは、1試合で多くて5点程度しか入らないサッカーで全員得点など、考えてはいませんでした。到底できるとは思えなかったからです。

まず、バスケットボールの指導で全員得点が常に達成できるようになり、それから10年ほどたって、サッカーでも全員得点ができました。全員得点のためには何が必要かを考えてきました。何度も「あと◎人」と、未得点2~5人を残すのみとなるのですが、なかなか「全員」は達成できませんでした。

サッカー全員シュート(全員得点)達成への道 1 | EDUPEDIA

にも、試行錯誤の様子を記録しています。この稿は上のリンク↑↑↑の続編なので、是非、リンク先をご参照ください。また、この記事や上のリンク先にさらに貼られたリンク先に書かれているような事を丁寧に実践した結果の全員得点達成ですので、是非、各リンク先をご参照ください。

2 シンプルな練習に絞る

私の勤務校は大規模校という校内事情があり、時間と場所に余裕がなく、十分な練習はできませんでした。

そこで、上↑↑のリンク先に書いてあるような練習をさらっとひと通りした後、練習内容をしぼりました。

1.強く遠くに蹴る練習。・・・きちんとボールを蹴ることは最低条件です。

2.後ろから流れてきたパスに反応し、ボールに追いついて蹴る「追っかけシュート」の練習。・・・小学校のあまり得意ではない子供が得点するとしたら、このパターンが最適であると考えたからです。

シュートの練習(サッカー) ~追っかけシュートが有効 | EDUPEDIA

「サッカー」たくさんの子供がシュートを決められるように | EDUPEDIA

当初は、練習を絞った(減らした)ために、「全員得点はさらに遠のくかな」と思っていました。ところが、逆の結果が。もしかしたら、このシンプルな練習が功を奏したのかもしれません。

3 どのような状況で達成したか

さて、ところで、達成した環境についても述べておかなければなりません。
運動場が広ければ、たくさんコートを作り、チームの人数を減らし、キーパーを作らず、ゴールを大きくする等の状況で行うと、単純に得点機会が増えます。今回は、キーパーをなくしはしたものの、ゴールはハンドボール用の小さいアルミ製のゴール。それにプラスして、陸上用ハードルを低くしたものを左右に3つずつという形です。これなら用意が早くできます。

では、この状況なら簡単に得点を奪えるかというと、そうではありませんでした。1試合は20分程度、多くて1チーム5得点ができるぐらい、たいていは1チーム3点が入る程度でした。これで、11回目ぐらいの試合で全員得点が達成できました。
男女混合で4チーム、ひとチーム8~9人編成です。サッカー経験者が男子4名、女子1名。男子は元気であるものの、女子は総じて大人しく、球技はあまり得意ではありません。

勤務校は人口密度が高く、運動場を広くとるように配当してもらえることがなかなかありません。この年は、運動場利用の都合でハンドボールより先にサッカーの授業をせざるを得ませんでした。本当はハンドボールやバスケットボールでパスアンドラン等の動きを身につけさせたいところだったのですが・・・・けっこう厳しい状況です。

最初のうちは、男女混合チームでやっていたところ、あまりにも男子のディフェンスが上手になってしまい、女子の苦手な子供が得点することがきわめて難しい状況になってしまいました。どうしても男女混合チームの時に、Pさん、SさんとRさんの女子3人が得点できませんでした。そのため、最後の3回の授業は男女別のチームを編成し直しました。

4 練習通りで達成

まずいことにその未得点3人ともが弱い方のチームになってしまったため、「これで全員得点は今年も無理だろうな」と思っていました。3人ともそこそこシュートを打つのですが、あと30センチぐらいのおしいシュートや、ポストにはじかれるなどして、なかなか得点を挙げられません。敵のディフェンスもけっこう上手で本気でかかってきます。チャンスの芽は巧みに摘み取られてしまいました。

それでも、チームメートはあきらめずに3人をフォワードにして得点のチャンスを増やしてあげました。自分たちが負けているのにも関わらず、苦手な3人にフォワードを譲ってあげるなんて、素晴らしい子供たちです。多分、自分が得点できたことの喜びをまだ得点できない人にも経験させてあげたいという気持ちがあったからだと思います。

何度もシュートにトライした結果、PさんとSさんが得点を決め、残りがRさんだけになってしまいました。Rさんは控え目で、おとなしい上に、シュートが本当におしいところで外れます。何度もゴールポストにはじかれました。それでもあきらめずにシュートを打ち続けた末、なんとかゴールができました。さすがに嬉しそうで、私の所に駆け寄ってハイタッチをした時には、いい笑顔をしていました。

Pさんに関しては、2得点もできました。PさんとRさんのシュートは私(教師は負けているチームに加勢するというルールでやっています)からのラストパスで生まれました。まさに、絞り込んで練習してきた通り、PさんとSさんは私が相手ディフェンスを引きつけておいて出した「後方から来るパス」に追いついて、シュートを決めました。私が練習通りのパスを出したのが決め手になりました。

全員得点の達成後、子供たちには、こう伝えました。

「素晴らしい結果が生まれました。上手な人にとっては、たかがシュートかもしれません。でも、サッカーでクラス全員がシュートを決めるなんていう事はたいへん難しいのです。シュートが決まるには、ゴールの方を向いていなければなりません。そして、チャンスが来たら、一歩を踏み出して、思い切ってキックをしなければなりません。それを、クラス全員があきらめずに頑張れたことは素晴らしいと思います。大げさかもしれませんが、人生も同じです。目標にきちんと向かって、チャンスが来たら思いきって一歩を踏み出すことが大切なんです。それを、サッカーを通して学んでほしかったのです。」

1年を通してあきらめずにトライする気持ちを育てているつもりですし、今回の達成がさらにトライする気持ちを育ててくれると思います。4月にクラスでドッジボールをしたときにはほとんど動けずに「誰も僕にボールを回してくれない」と泣いて固まっていたT君も、サッカーでは溌剌と走り、3本もシュートを決めていました。

5 全員得点を教師としての目標に(データを取る)

別の稿にも書きましたが、全員得点をサッカーの授業の「子供にとっての目当て」にするのがいいかどうかは、クラスの状態にもよると思います。無理だと判断される場合は、無理な目標は立てない方がいい場合もあります。
ただし、教師としては、「1人でも多くの子供に得点体験を、できれば全員に」という気持ちで頑張ってみてください。私も若い頃はサッカーで全員得点など考えもしなかったので、「誰が何点取っているか」というデータを取ってはいませんでした。
今回は、

サッカー全員シュート(全員得点)達成への道 1 | EDUPEDIA

とその記事からのリンク先書かれているようなひとつひとつの実践を丁寧にはしています。しかし、時間がないことをいいことにして、練習もそこそこに「はい、試合しまーす」と、とりあえず試合をすることも多かったです。けっこういい加減なところも多かったです。それでも、「追っかけシュート」というシンプルな練習に重点を絞り込み、ひとりひとりが勢いよくシュートを決められるまで練習させたことは全員得点を導き出すのに効果がありました。また、データをとって全員シュート達成までにあと何人であるかを意識する事で、こちら(教師側)の意識が変わってきます。

データをとってほめる材料に | EDUPEDIA

サッカー、体育に限らず、子供を指導するに当たっては、何事も優先順位を決めて絞り込み、それを繰り返すことが大切だと思います。

とりあえず成果を挙げる方法を ~ 優先順位を考え、絞り込む | EDUPEDIA

全員シュート達成には複合的な要因が絡んではいるのでしょうが、一旦システムに慣れてしまえば、それほどの負荷はありませんでした。それほど難しい仕組みを作ったり、厳しい練習をしたりせずに(つまり、誰にでも真似ができる状況で)、これだけの成果が得られたことも、教師として大きな成果です。私にサッカーの専門的な知識があるわけではないし、私自身がサッカーが得意なわけでもありません。体育の専門家でもありません。特別な研究をしてきたわけでもありません。つまり、そこそこ頑張れば(けっこう適当な指導でも)成果が得られるという事なのです。

関連記事

是非、下記のリンク先の記事もご参照ください。自分なりの方法も取り入れながら、全員シュートを目指してみてください。

「サッカー」ボールを上手に蹴る ~インステップ編 | EDUPEDIA

「サッカー」ボールを上手に蹴る ~インサイドキック編 | EDUPEDIA

「サッカー」インステップキックの練習その1 | EDUPEDIA

「サッカー」インステップキックの練習その2 | EDUPEDIA

「ボールを単に投げる練習」は必要です | EDUPEDIA

サッカー全員シュート(全員得点)達成への道 1 | EDUPEDIA

サッカー全員シュート(全員得点)達成への道 2 | EDUPEDIA

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