アクティブ・ラーニングと“競争”の関係

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作成者:Akihiko Yamaguchiさん

1 競争と協同

教育のパラドックスのひとつに、「競争と協同」があります。先生は、授業では学び合いや教え合いの「協同」が強調しながら、テスト前になると「競争」意識をあおります。アクティブラーニングを取り入れた授業を構想するときに、この「競争」をどのように考えればいいのでしょうか。

2 competitionとconflict

英語のcompetitionを「競争」と翻訳したのは福沢諭吉だそうでが、「争」という漢字を使ったためにcompetitionの原意である「ルールにもとづき、正々堂々と競い合い高め合う」というニュアンスではなく、conflictの「争い、諍い」の側面の方が日本では強くなったといわれます。

3 conflictの弊害

ある授業では、「学び合い」を強く意識したグループ学習を取り入れ、competitionをめざしながら、実際には生徒がアクティブになるにつれてconflictになってしまったという事例もあります。しかし「conflictのどこが悪いんだ、学力の向上には切磋琢磨は不可欠だ」という意見もあるでしょう。しかしconflict的な学びにはいろいろ問題があります。
①グループの勝利が優先され、「足を引っぱる子」「平均点を下げる子」の活動がまわりから抑圧されたり、その子たち自身が「邪魔をしない」ように遠慮したりする。
②勝利につながる意見や考えが優先され、自由な発想や個人的な意見が大切にされない傾向が見られる。
③優勝したグループ、勝ち残った人だけがゴールに到達し、その他大勢の敗者はゴールに到達できなくてもしかたがないという雰囲気になりやすい。

アクティブラーニングと“競争”
以上の3点は、アクティブラーニングに期待されていることに逆行することばかりです。アクティブラーニングは、どの子も活躍し、どんな意見も尊重され、みんなが協同することで全員がゴールに到達することを目指すものです。そのためにも、次のことが常に学習集団で確認される必要があります。
(a)他者の存在なくして、自己の考えは深められず、能力も向上しない。
(b)違う意見のぶつかり合いによる火花の中に、新しい発想が見つかる。

しかし、教員にとっては、conflict的な指導に比べて、competition的な協同学習を指導することは、はるかに難しいことです。これからアクティブラーニングを取り入れた授業づくりが広がる中で、「協同と競争」のよい指導例や簡易ゲームを開発し、共有する必要があると思われます。

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