社会科指導案編①第4学年社会科「人やものによるつながり」 ~元上海日本人学校教師が語る!国際教育~ (中村祐哉先生)

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作成者:Nanae Mori (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は,上海日本人学校で教師を勤められた,中村祐哉先生へのインタビューをもとに作成したものです。帰国後,日本人学校での経験を活かして行われた,4年生社会科「人やものによるつながり」の授業実践をご紹介します。

2 単元構造(全5時間)

単元目標

□広島県内の人々の生活が,産業や交通,文化などの面で他地域や外国とつながりがあることを理解する。
 □広島県内の人々の生活と外国とのつながりについて,地図やその他の資料を活用して調べ,外国との交流から見られる特色やよさ,それらを生かしたよりよい発展について考え,適切に表現する。

単元のキーワードは“つながり”

この単元では,5時間通して“つながり”をキーワードに授業を進めます。

1時間目 「身近な生活の中に中国との“つながり”を発見」

(1)made in ○○調べ

単元の初めに子どもたちに,まず「made in ○○調べ」をする宿題を出します。家の中にある海外製のものを30個調べさせます。すると当然のようにmade in China が多いのです。クラスで調べてきたことを子ども同士が共有する中で,他の子の家でも中国製が多かったこと,全員の家に中国製のものがあったことに子どもたちは気付きます。このように,「自分たちの生活と中国がとても身近」だということを,子どもたち自身に気付かせる。これが1時間目のポイントです。

(2)”つながり”への疑問へ

続いて,「このコップ,中国製だけど,中国から日本へ入ってくるってどういうこと?みんなの家庭にどうやって入ってくるの?」と発問します。子どもたちから飛行機や船という声が上がりますが,そこで「でもそれって送料高くない?」「県内でコップをつくっている会社があれば,それを買えばいいんじゃない?」と,続けます。すると子どもたちは、「なぜ中国製のものが日本にたくさん入ってきているのか」「日本製のものを使えばいいのに」と不思議に思います。これを“つながり”というキーワードでまとめると,「なぜ,中国のものがどの家にも入ってくるような(日本と中国の)“つながり”があるのか」ということになります。

(3)もう一つのポイント:調べ学習

この授業には,「調べ学習」のポイントもあります。多くの子どもたちが,「何製(国)のものが多かったかランキング」を作ってきましたが,そこでわかったのは,「自分の家では中国製のものが多かった」ということです。しかし,クラスで調べ学習を共有することで,子どもたちは自分でしかできないもの調べを超えて,他の子どもたちが調べていることでわかることを探し始めます。すると,クラス全員の家に中国製のものがあったことに気付くのです。「自分しかできない調べ学習を,クラス全員でしかできない調べ学習に変えさせる」,ここにこの授業のもう一つのポイントがあります。

2時間目 「交通によるつながり」

「中国のものが身近にたくさんあるということは,中国と日本にどのようなつながりがあるのか」を考えると,まずは,交通によるつながりが見えてきます。そのため,2時間目では,交通によるつながりにスポットを当てて授業を展開します。

3時間目 「人やものによるつながり」

交通によるつながりの延長で,「広島空港から上海などの中国の5都市も飛んでいる」ことを示します。これはなぜか,ということを考えると、「利用する人が多いから」,つまり,「人がつながっている」ということがわかります。そこで,3時間目では、人によるつながりを中心に考えます。
 続いて,学んだ人とのつながりによって,どんなものが入ってきているのか,広島から中国に行くものもあること,などを考えます。ものによるつながりに注目するのです。

4時間目 「中国から見た,日本との“つながり”」

これまで,日本から中国へ架かる橋(交通や人,ものによるつながり)を見てきましたが,今度は中国から日本に架かるつながりの橋について考えます。「中国の人たちは日本とどうつながろうと思っているのか。」
 広島大学に通う中国人留学生に取材した内容をもとに,中国人留学生が,日本からどんなことを学びたいと思っているのか,などを紹介します。すると,「中国の人も広島に興味があるんだ」「中国の人もつながろうとしているんだ」ということに子どもたちは気が付きます。

5時間目 「これからの“つながり”を考える」

最後に,これから中国とのつながりを深めていくには,自分にどんなことができるのか,考えさせます。

単元指導計画

3 指導案(5時間目)

本時の目標

つながりの深い外国の人々の生活の様子や文化について,日本や広島県とのつながりを考えながら興味・関心を持つことができる。

本時の展開

まとめ 「これからの“つながり”」

4時間目までは毎時間,「○○なつながり」というキーワードを使ってまとめていましたが, 5時間目のまとめでは,子どもたちに自分の考えるこれからのつながりを見つけさせます
「これからも広島と関係の深い外国がつながっていくためには,どんなつながりが大切だろう?」と未来を問い,それぞれノートにまとめさせます。実際のクラスでは,約半数程度の子どもたちが「心のつながり」を挙げました。

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5 実践者プロフィール

中村 祐哉

 
1984年,広島県生まれ。
教育学士。専攻は中学・高等学校社会科教育,都市社会学。
 
公立小学校教諭。元上海日本人学校教諭。
広島県国際理解教育研究協議会研究部長。
『学びの場.com ‐教育つれづれ日誌‐』(内田洋行教育総合研究所)教育連載執筆者。
 
大学を卒業後,22歳で公立小学校の教壇に立つ。以後,小学校教諭として勤務。2012年,上海日本人学校へ赴任。上海日本人学校社会科副読本教材『上海』編集委員を歴任。
 
公的な教育研究会講師(社会科教育・国際教育・ICT活用教育・学級経営論)として,自らの実践・研究・考察に基づいた教育実践事例発表や講話を行う。また,『社会科教育』(明治図書出版)をはじめとする教育雑誌,国際教育系機関誌や教育系ウェブサイト等のコラム執筆,単著本の出版からラジオのゲスト出演までその活動は多岐に渡る。
 
近著には,「上海の摩天楼を吹き抜けるビル風はどこに向かい 北京の五星紅旗はどこにたなびくのか」(ブイツーソリューション,2013年)がある。

6 編集後記

人やもの,交通など様々な次元から中国とのつながりを捉え,そして日本の視点からだけでなく,中国から見た日本と中国のつながりを考えるこの授業は,これからも中国とつながっていく子どもたちにとって,とても重要な経験だと思います。その上,子どもたちは、両国のこれからのつながりについて,自分の考えを持つことができています。このように,外国とのつながり・世界とのつながりを多角的に捉え,これからのつながりを考えていくことで,様々な国とのつながりが豊かに広がっていくのではないかなと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA 編集部 森七恵)

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