くらしをささえる水1・2(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載

されている教育実践法の一つをご紹介しています。

http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

「くらしを支える水1」学校にはいくつの水道があるだろう

4年の社会では、水道・ゴミ・消防など公共の施設についての学習をします。一番始めは水道について学びました。普段私たちが何気なく使っている水ですが、様々な人によって支えられていること、使った水はまた海に戻っていくこと(水の循環)について学ぶことができます。

学習の取りかかりは、身近なところから始めます。
水の学習をすることを話した後、

発問1「学校にはいくつの水道があると思いますか?」

 
いきなりこんな質問をされてもわかるはずがありません。子どもたちはカンで答えます。
 〈  0~ 10〉0人   〈11~30〉0人
 〈 31~ 50〉1人   〈51~80〉8人
 〈 81~100〉5人   〈101~150〉4人
 〈151~200〉1人   〈200~〉5人

指示1「水道の数は多数決で決められないから、学校探検をして数えてみよう。」

 
「いいよ!」子どもたちは大変乗り気です。このような活動が大好きなのです。分担場所を決め、2人1組で学校の中を歩き周りました。職員室をのぞきこんだり、校長室にもぐりこんだり、授業中だというのに、4年生があちらこちらに出没します。
水道のあった場所には、学校の地図に印をつけていきます。その結果、合計はなんと152個でありました。直前の予想では、M君だけが正解となり「おぉ」の声と皆から拍手を受けました。

「くらしをささえる水2 」学校では一日に、ペットボトル何本分の水を使っているか

上記の「くらしをささえる水1」で、広小には152個の蛇口があることが分かりました。そのあと、学校の上水道の料金表を使って、私たちは1日一人当たりどのくらいの水を使っているのかを調べます。まず、私たちは学校でどのくらいの水を使っているかを予想させました。

発問1「私たちは学校にいる間に、ペットボトルで何本くらいの水を使っていると思いますか?」

 
全く予想がつかないようで「先生、カンでもいい?」と聞いてきます。カンで手をあげた予想人数は、次のようになりました。

〈0本〉0人   〈1本〉0人   〈2本〉6人
〈3本〉13人  〈4本〉5人   〈5本〉3人
〈6本〉6人   〈7本〉0人   〈8本〉1人
〈9本〉0人   〈10本〉2人

さて、ここで平成11年度の広小の上水道の使用料と、広小で1年間どのくらいの水を使ったかの表を見せます。

指示1「全部で7346立方mの水を使いました。今から電卓で1日一人当たりペットボトルで何本分の水を使うか計算してみましょう。」

 
 こう呼びかけ一人1台の電卓を手にしてもらいました。

1年間では、7346立方m÷220日…年間の授業日数
1日では、33.39立方m÷425人…児童数
1日一人で、0.0785647立方m
1立方m=1000000立方cmだからリットルにすると、78.5リットル
1日一人ペットボトル、78本分!
1日一人当たりペットボトルで78本。

最後に電卓にはじき出された答えを見て思わず「へぇ」の声があがります。「これって多すぎなんじゃないの」という声も。
「ずいぶん水を使っているんだね。みんなは学校でペットボトルで80本も水を飲むのかな?」
こう聞くと、慌てて首を振っています。「ぼくは10本くらい飲むよ」という強者もいましたが、すごい量です。
たくさんの水を使っていることを確かめてもらった後、

発問2「広小の子は水を使いすぎているか?(使いすぎ・使いすぎではない)」

 
 この問いに対して〈使いすぎ〉31人 〈使いすぎではない〉4人でした。

〈使いすぎではない〉4人

  • 自分は手を洗う時は少ししか使わないから。水も滅多に飲まない。そんなに水は使っていないと思う
  • 手洗い、うがいなどは皆するし、トイレを使っているから。喉が乾いたときも水を飲むから
  • どんなときにも必要だから。水を飲むときや手を洗うくらいで、そんなにたくさん使わないと思う。他にも使うときはあるけれどそんなに使わないと思う。使うときは、うがい・歯磨きをするとき、プール、理科の勉強など
  • 手を洗ったり、水を飲んだり、うがいをしたりするのは当たり前だし、トイレ掃除をしないと臭くなっちゃうから、別に使いすぎということはないと思う

〈使いすぎ〉31人

  • 広小の子はドッチボールやサッカーをしたり遊んで喉が渇くから、いっぱい遊べば遊ぶほど喉が乾く。広小の子はよく遊ぶから使いすぎだと思う
  • 外で遊んで帰ったときに、喉がカラカラだから。ごくごく飲んでいる
  • トイレ掃除にたくさん使う。どんどん使うので使いすぎ。トイレの水を流すときも使いすぎている
  • 絵の具を洗うとき、よくじゃぶじゃぶ流しているから使いすぎ
  • 水を出しっぱなしにして、水を止めない人がいる。それに図工の絵の具や手洗いうがいのときに使われている。こんなにいっぱい使っているので広小は使いすぎだと思う

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス

1984年創立。

「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない

」これがサークルの主な柱です。

最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」

という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってよ

り価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

(2015年10月時点のものです)

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

自分が通っている学校の水の使用量や、地域の使用料金を教材として取り扱うことで、水への見方を自分ごと化することができるとともに、「地域の水」も知ることができるので、とてもよいと思いました。授業内の気づきや学びが豊富な実践です。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 田中真奈)

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