1 はじめに
本記事は、平成29年1月29日に行われた「新しい学びプロジェクト平成28年度報告会」(主催「新しい学びプロジェクト」研究協議会/東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)における、理科部会の実践報告の資料をもとに作成しています。
報告者は、福岡県飯塚市立飯塚小学校の森方辰史先生です。
*飯塚小学校は、東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)と連携し、「新しい学びプロジェクト」という「協調学習」を引き起こす授業づくりのための研究連携事業を推進しています。
知識構成型ジグソー法やCoREFの詳細は、こちらを参照して下さい。
2 授業案
3 本時の展開
本時のねらい
長い年月を通して川が曲がってきた仕組みを 「浸食」「運搬」「堆積」 の3つの視点から多面的に考えさせる。
①川の土質の違いから、浸食作用の違いが起き、運搬 作用により土や砂が運ばれ、流れる水の速さの違いによる堆積作用で、カーブの内側に土や砂が溜まることを考えることができる。
②友達の考えと比べたり吟味し合ったりして、自分の考えを深めていく力
【導入:5分】
「流れる水のはたらき川」
T:飯塚市で川といえば?
T:世界に出ましょう!みなさんどの国に行きたいですか?
C:ブラジル
T:ブラジルの川と言えば?
課題提示
【エキスパート活動:10分】
資料をもとに、課題の答えを出すための飯塚市の取組について考えます。同じ資料を読み合うグループを作り、その資料に書かれた内容や意味を話し合い、グループで理解を深めます。
【ジグソー活動:10分】
課題に対する答えを話し合い、班でまとめます。違う資料を読んだ人が一人ずついる新しいグループに組み替え、エキスパート活動でわかってきた内容を説明し合います。他のメンバーから他の資料についての説明を聞き、自分が担当した資料との関連を考える中で、理解を深めていきます。
【クロストーク:10分】
各班の考えを聴き合います。お互いの答えと根拠を検討し、その違いを通して、一人ひとりが自分なりのまとめ方を吟味するチャンスが得られ、一人ひとりが納得する過程が生まれます。
【まとめ:10分】
課題について考えた答えを各自でワークシートに説明を書きます。
4 授業者の振り返り
児童の学習の評価(授業前後の変化)
学習成果についての検討
授業前には、川を流れている水の量やけずる働きに注目している子どもが多かった。カーブの内側と外側の速さの違いや運搬作用について書いている児童は2名だった。
授業後には、25名中20名が侵食作用(けずる)、運搬作用(はこばれる)、堆積作用(つもる)の3つの言葉を使い、期待する回答をしていた。
授業の改善点
(1)授業デザイン
○子ども達には、既有知として遠賀川の増水した写真や、濁った水を見せていたので、川が曲がっていく仕組みについて水のはたらきが関係していることを理解していた。
○エキスパートでは、それぞれの流れる水のはたらきをA: 浸食作用の違い、B:川のカーブの内側・外側の速さと堆積 作用の違い、C:水の速さと運搬・堆積作用の違い、について調べさせたので、既有知をつかってさらに考えを深め、統合的に考えることが出来ていた。
○今回は電子黒板で写真を見せて、川が曲がっていることに注目させたので、一方的な提示になってしまったのだが、砂場で川を作らせる作業を通して、気付いたことから学習を進めても良かったのかもしれない。
(2)課題や資料の提示(発問、資料の内容、 ワークシートの形式など)
○電子黒板を活用して、遠賀川とアマゾン川を提示したことで、本時の課題をつかむことができていた。
○実験動画をBとCに用意したのだが、実際に実験させた方が良かったのではないか。
○エキスパートBの資料では、【カーブの内側と外側の流れ る速さの違いと堆積作用の違い】について考えさせたかったのだが、子ども達は堆積作用の違いにだけ目がいってしまい、その現象の原因の「速さの違い」まで説明することができ ない児童がいたので、速さの違いが明確になる資料を用意しておくべきだった。
(3)その他
○エキスパート活動の段階で、自分の考えをまとめるなどの見通しをもたせなければいけなかった。
○ジグソー活動で、課題の交流をする時間を多く とるために、エキスパートの「報告を5分でして下さい」などの発問をしておいて、見通しを立てさせる必要があった。
5 関連資料
◎飯塚市・飯塚小学校の記事
⇒21世紀の社会と教育を考える~入試、働き方、職業が変わる~(平成28年度 飯塚市学力向上フォーラム)
⇒「東京オリンピックから戦後の日本を考える」社会科でジグソー学習(新しい学びプロジェクト 飯塚小学校)
◎東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)の記事
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