教採体験談インタビュー 第8弾(東京都・小学校) その2

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目次

1 はじめに

第8弾の今回は、早稲田大学在学中に教員採用試験に合格された方に、教員採用試験の試験対策の方法や、アドバイスについて伺いました!

この記事では、論文試験や集団討論の対策などについてお聞きしました。併せてこちらの記事もご覧ください。
教採体験談インタビュー 第8弾(東京都・小学校) その1

2 論文試験について

どのような練習をしましたか?

指導の先生にもよりますが、まずは大学の教職支援室に行き、そこで雑談をし、「教育についてどう思うか」や、「自分の教育観はどのようなものか」などを話しながら、自分が教育についてどのように思っているのかについてまとめてから論文試験の問題演習に移りました。最初はパソコンで書き、慣れてきたら時間を計って実際に書いてみるという流れで練習していきました。

内容面で意識したことは何ですか?

論文対策担当の先生に全体を通して言われたのは、「現場での実践に即したものでなくてはならない」ということでした。ただただ理想を語っていたら、「現場はそんなに甘くない」と思われてしまうこともあるので、現場(教育ボランティアでお世話になっていた小学校)での経験や、そこで学んだことをベースに書くように意識しました。

他に意識したことは何ですか?

論文試験の問題文には書いていないのですが、実は指導の先生や予備校から「こういう風に書きなさい」という指導がありました。具体的な例を挙げると、「落ち着かない子がクラスに一人います。その子も含めて学級全体をいいクラスにするにはどうすればいいでしょうか」みたいな題があるとします。その場合、最初の3行に論の導入みたいなものを書き、具体策を10行ずつで2つ書き、最後に結びの3行を書く、といったように回答の形式に関する指導を受けていました。個人的にはあまり好きではないのですが、形式的には元から決まっており、指導された文章形式通りに書いていました。

本番で聞かれた内容はどのようなものでしたか?

簡単に言うと、「クラスの話し合い活動の中で、自分の主張はするけれど人の話を聞けない児童が沢山います。あなたはその学級の担任として、ともに支え合う児童を育てるにはどういう実践が出来ますか」という問題でした。
自分の解答としては、仲良しの木(友達のいいところを葉っぱに書き木を葉っぱで一杯にする)を用いて、他者意識や思いやりの気持ちを醸成できるよう促す、ということを書きました。

3 集団討論について

どのような練習をしましたか?

大学の教職支援室に行き、同じ教員採用試験を受ける仲間同士で集まって去年までの問題の議題などを通して実践的に練習していくということを繰り返し行っていました。

意識したことは何ですか?

討論の中では、チームとしての協調性、つまり「グループで何を成し遂げられるのか」というところを見られるので、言い合いや言い負かすということではなくて、相手の意見を吸収したり、相手の意見をうまく受け入れたりしながら、議論をいい方向にもっていくということを意識しました。

やっておいて良かったことは何ですか?

集団討論は、「こういう子どもを育てたい」「育てるためにはクラスでどんなことをしますか」といった内容でした。頻出の物を含め色々な議題がネット上にあるので、その議題について前もって「自分だったらこういう実践をするな」というのをはじめから頭に入れておいて集団討論をするという練習をしていました。予習ありきのような感じなのですが、そういう仕組みになってしまっているので、皆そのようにやっていました。

本番で聞かれた内容はどのようなものでしたか?

一次試験合格者には前もって「集団討論はこんなテーマでやります」という通知が来ます。昨年の場合は①思いやりに関すること②生活習慣の形成に関すること③勤労の意義に関すること④原動力に関すること、という大きなテーマが通知されて、その中の1つから集団討論を行いますという風に言われました。自分の場合は①思いやりに関すること というテーマでして、「クラスの中で困っている子がいても思いやりを持って授業ができ、学習活動ができるようにするためには、担任はどうすれば良いか」という議題で議論をしました。

アドバイスをお願いします。

自分の役割を把握しておくといいますか、「自分はどんな人かな」「自分は集団の中でどういう役割を発揮できるのかな」というのを、事前にある程度考えておくのが大切です。無理に司会はしなくていいですし、下から支えていくことが得意な人もいます。無理せず自分の役割をチームのためにこなすというのも評価されます。

4 全体について

教採前に参加したインターンでの経験はどのように活用しましたか?

大学3年から2年間、中野区の小学校にインターンに行っていました。特別支援系(ADHDなど)の子どもの学習支援をやっていたのですけれども、そのクラスにはそういった(障がいの)傾向がある子が多くて、学級崩壊が起きていました。現場を見る機会に恵まれたことで、そこで得た視点を面接の場に生かすことができました。面接では、理想も大事ですけれども、それを現場でどう活かすかということが問われます。自分はそういった(現場を見ることが多い)環境を経験できていたため、感じていたことを面接の場面でダイレクトに伝えればよかった、という点では活動内容が面接で話す際に活かせたと思います。

一番対策がしやすかったのは何ですか?

全科や教養といった試験が取り組みやすかったです。筆記試験はマークシート形式のため必ず答えがあるので、ひたすら勉強すれば点数は伸びるからです。
今までの受験勉強と何も変わらない、という意味では非常に勉強しやすかったです。

一番対策がしにくかったのは何ですか?

面接や集団討論です。凄く答えが曖昧で、先生によって指導内容が少しずれることがあるからです。集団討論に関しては、何が正解かがよく分からない部分もありました。採点する人のさじ加減で成績が変動する部分もあり、評価が数字としては現れにくいので、それを勉強していくということに難しさを感じました。曖昧だと感じる部分が多かった分、一人で勉強するだけではなく、教採を受ける仲間同士での練習の回数を重ねることを意識していました。

全体を通して大変だったことはなんですか?

どの分野の勉強にどの程度時間を割くかを考える」というところには苦労しました。例を挙げると、教育支援資料というものが文科省から沢山出ているのですけれども、過去問題で何回か、「教育支援資料の内容に含まれる文章を選べ」というような問題が出たことがありました。教育支援資料なんてすごくページ数も多いですし、文章も長いですし、「そんなの分かるわけないよ」というような問題がいっぱいありました。しかし、自分はそういうものも「満点」を目指したい人なので、そういった資料もすごく分厚く印刷してマーカーを引くという作業をやっていました。ただ、今振り返ると「あの作業は本当に必要だったのかな」と感じることもあります。「勉強する上での上手な時間配分を考える」というのが大変でした。

教採を受ける学生へ向けてメッセージをお願いします!

「採用試験に受かるために勉強する」という風に思ってほしくないと思っています。数字(離職率)で表したらそんなに高いわけではないのですが、精神を病んで辞めてしまう人が多いんです。そのため、「受かっておしまいじゃないんだよ」という部分を強調したいです。その先の教員という生活を目指して勉強しているので、筆記をただ頑張ればいいというよりは、やはり現場を見てほしいというのが印象です。

自分もこの先自分のクラスが崩壊したら、教員を続けていく自信はなくなるでしょうし、辞める可能性は大いにあると思います。ですから、「自分は関係ないよ」ではなく、現実を見つめ、教員の生活をイメージしながら勉強して欲しいというのが個人的な願いです。

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6 編集後記

教採試験に関する情報を早くから集め、傾向に合わせた対策をすることの必要性を痛感しました。また、目の前の試験勉強に盲目になるのではなく、教員になった後の生活まで見据えて勉強することの大切さにも気づかされました。
(EDUPEDIA編集部 星明日香)

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