「ごんぎつね」板書例と授業の流れ 全時間

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目次

 1 挿絵を中心にして板書

黒板に挿絵を拡大して掲示し、その周りに板書しています。児童も同様に挿絵を小さくコピーしたものを中心にしてノートをとっています。私の板書をある児童が忠実に、というよりもよっぽど美しくまとめてくれているので、ノートの方をアップロードしています。この子供はかなり力があり、発言もたくさんしながら、授業時間内にこれだけのクオリティーでノートを取れます。実際は、だれもがここまで上手にノートをとれるわけではなく、私がけっこうランダムにキーワードを書いていくので、ぐちゃぐちゃになってしまっている子供もいます。ノートづくりと話し合い活動を同時に進めるのはよくないという意見もありますので、その辺りは各自よく考えて授業を進めて下さい。

絵に沿って八場面でノートをとっています。ひとつの絵に対して2時間かけた所もありますので、全部で12時間ほどかけて読解を進めました。

このように挿絵を中心にして板書やノートを書くことについては、

国語のノートを絵を中心にしてまとめさせる | EDUPEDIA

を、ご参照ください。

 2 第一場面

ごんの身の上について考えさせました。ごんの置かれている状況、特に「ひとりぼっち」であることが浮き出るように発問を考え、それがいたずらを繰り返すことにつながっていることを図(板書)でも中心表しました。これは、この物語を読解していく上でベースになっていく重要なポイントです。ですので、最期の場面の板書まで、ずっと「ひとりぼっち」を絵のそばに書いています。また、ごんは菜種がらに火をつけるという重罪を犯していますが、その事の重大さがわかっていないという意見が出てきたので、それも今後につなげるように取り上げました。

 3 第二場面

ごんは何度も村に足をのばし、兵十のそばに現れます。退屈さと、兵十への関心の表れなのだろうと考えられます。これが、今後も繰り返されるパターンです。そしてその両方が「ひとりぼっち」であることに起因しています。

 4 第三場面

うなぎをとろうとして首にまきつかれ、兵十に見つかって遁走し、結局うなぎは食べないというなんとも間抜けな様子が描かれています。はんの木の下で振り返る所などは、「追いかけてきてほしかった」という子供がちょっかいを出す時の心理も描かれています。こうしたごんの「所詮はきつね」であるという「愚かさ」に起因しているのでしょう。ごんが愚かであるという読みを共有しておくと、以降の場面でのごんの行動に対する理解につながってくると思います。これ以降の板書では必ず、授業の流れのどこかで「ひとりぼっち」「おろか」であることを思い出させ、「そうそう、そうだったよね」と言いながら中心にこの2つの言葉を書き入れました。

 5 第四場面

情景描写から兵十と村人の悲しさが読み取れるようにしたい場面です。

 6 第五場面

「ひとりぼっちのごん」と「ひとりぼっちの兵十」がごんの頭の中でぐぐっとつながってくることによってごんの変容が生まれる様子をつかませることができるといいと思います。

盗んだ魚を荒々しく放りこむ「つぐない」から、自分で集めてきたくりや松たけをそっと固めて置くような「つぐない」に変わっていくこの場面では、後半で「おろか」の「ろか」を少し薄く消しています。

 7 第六場面

短く、地味な場面ではあるものの、ごんが兵十に強く惹かれている事をつかませることができるといいと思います。

 8 第七場面

この場面の挿絵は載っていませんので、PCでごんの向きを反転させた絵を作りました。

ごんは辛抱強く「井戸のそばでじっと」兵十と加助の会話の続きを待っています。そして、影法師を踏むほど、心も体も近づいています。ごんと兵十の物理的な距離と心理的な距離が比例して描写されている事にもそれとなく気づかせたいですね。

ところがこの「友だちになれる」というごんの期待が、加助の言葉によってひっくり返されてしまいます。それで、ごんが思わず「引き合わないなあ」と口にした事にも触れてみました。詳しくは、

ごんぎつね ~「引き合わないなあ」という矛盾 | EDUPEDIA

 9 第八場面

命と引き換えに兵十が気づいてくれたという悲劇的な結末について考えさせました。「兵十はかけよってきました」とあり、初めて兵十の方から物理的な距離を縮めます。ぎりぎりのところで「ひとりぼっち」ではなくなったという救いについても考えさせたいです。
最期は、「ごん=おろか」を板書から消しました。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 場面ごとにノート1ページにまとめるところが良いですね。丁寧な実践でこれからの授業に生かしたいと思います。

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