昔話とストーリィテリングの魅力(多賀一郎先生)

1 はじめに

本記事は、2015年8月22日に大阪にて行われた「子どもを育てる絵本の世界」における多賀一郎先生の講演内容を基に作成しました。セミナーに参加できなかった方もぜひご覧ください。セミナーに参加された方も復習を兼ねてご覧いただければ幸いです。

2 読み聞かせの魅力

絵本は子どもたちの心の中にメッセージを与える

絵本には、子どもを惹きつける力があり、お話の登場人物と子ども自身の想いを重ね合わせることで世の中への理解や、心の奥底の深層心理をたすける役割がある、と多賀先生はおっしゃいます。

説話やいわゆる“大人の有り難い話”は耳に入らずとも、絵本の世界の“お話”は記憶に残りやすい、というのは皆さんも実感があるのではないでしょうか。絵本は、子どもの心の中に豊かな物語の世界を育むだけでなく、努力や善行の積み重ね、耐え忍ぶことの先には、幸せが訪れるということなど、寓話として子どもたちの心の中へのメッセージを与える、とても重要な要素でもあるのです。

読み聞かせは必要?

そんな魅力いっぱいの絵本ですが、子どもが小さくて字の読めないうちには熱心に読み聞かせをしていても、少し大きくなって字を覚えだした子どもをもつ親や先生の中には、「(子どもが字を覚えたから)もう読み聞かせはしなくてもいいだろう」や「そろそろ自分で読ませたほうがいいのではないか」といった意見をもつ人もいるかと思います。しかし字を覚えたての子どもが一字一句読むよりも、親・先生が上手に読んであげたほうがむしろ子どもに言葉の力がつくし、絵本の世界も楽しめるのです。

絵本は親や先生が選んだほうがいい

「では、どんな絵本を選んだらいいの?」「おすすめは?」といった質問も、保護者や先生方から多賀先生のもとへとよく寄せられるそうですが、多賀先生は、人生の中でベストの本は常に変わるものであるから、“おすすめの1冊”というのは難しいといいます。

また、子どものことをいちばんよく知っているのはその子の親や先生だから、親や先生が実際に手に取ってみて、子どもに合うと思ったものを選べばいいのだ、といいます。

3 ストーリィテリングの魅力とは?

ストーリィテリングとは

ストーリィテリングとは、読み聞かせとは異なり、語り手が頭の中に記憶している物語を、諳んじてきかせるものです。落語や怪談話をイメージすると分かりやすいかもしれません。

多賀先生は長年、絵本の読み聞かせだけでなく、この“ストーリィテリング”を教室で実践してこられました。子どもたちにもとても評判がよく、また思い出に残るものであるらしく、今でも昔の教え子たちに会うと30代40代になった彼・彼女らに「お話をして」とせがまれるのだと多賀先生は語られました。

実際セミナーでも参加者の目の前で幾つかの「お話」をしてくださり、情感たっぷりに、時には身振り手振りを交えながら語られるお話の世界に参加者一同どんどん惹き込まれてしまいました。

読み聞かせとは異なるストーリィテリングの魅力

そんなストーリィテリングの魅力とは何なのでしょうか。セミナーでは以下のような点が魅力として挙げられました。

まず、読み聞かせと違って子どもの顔を見ながら、反応を確かめながらできること。それと同時に子どもも、親や先生の顔を見て話をきけるので、子どもとの対話の時間がもちやすいのです。

さらに、子どもが絵にとらわれず自分だけのイメージを頭の中に構築できるので、本質的な物語の世界の楽しさに引き込むことができるといいます。昔話などは特に、もともと口承で語り継がれてきたものであるからして、本来のかたちでお話が楽しめるともいえるのでしょう。

4 実践者プロフィール

◆多賀一郎先生
私立追手門学院小学校
神戸大学附属住吉小学校から私立小学校に長年勤務。「教育が趣味」。保護者のための講座、親塾主催。公私立校で助言・講演等をしている。著書「子どもの心をゆさぶる多賀一郎の国語の授業の作り方」「全員を聞く子どもにする学級の作り方」「一冊の本が学級を変える」「まるごと一年生」「子どもはこう受け止めるんやで」 (黎明書房)「国語の発問10のルール」「学級担任のための伝わる話し方」「ヒドゥンカリキュラム入門」(明治図書)その他。「教室の声を聴けー石川晋さんとの対談」「ロケットスタート・三部作」等、共著多数。
引用元:http://kokucheese.com/event/index/294142/

5 編集後記

 「子どもを育てる絵本の世界」のセミナーでは、長年教室で実践をしてこられた多賀先生ならではのストーリィテリングの魅力など、興味深いお話をたくさん聞くことができ、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。また、実際に参加者同士で絵本の読み合いをするという体験を通して、絵本の魅力や読み聞かせの心地よさ、奥深さを感じることが出来ました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部中原みなみ)

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