1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
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あいさつと整理整頓。この二つは社会に出ていくにあたって重要であり、必ず身に着けていなくてはならないことです。今回は、あいさつと整理整頓の大切さをよりわかりやすく子どもたちに伝えるために、日本サッカー協会の長沼さんの言葉を借りて授業を行いました。
2 実践内容
「長沼健さんという人がいました。日本サッカー協会の「頭領(ドン)」と言われていた人です。この人が、こんな話をしました。サッカーが上手になるためには、大事なことが2つあるのだそうです・・・」
こんな話をしながら、道徳の授業を始めました。子どもたちは「何の話が始まるのだろう?」と興味深げにこちらを見つめています。
発問1 サッカーが上手になる2つのものとは何でしょうか?
クラスの子供たちはサッカー好きです。次から次へと思いつくまま、サッカーが上手になる2つの条件を出させていきました。
「体力」「精神力」「根性」「やる気」「持久力」「センス」「努力」「練習」「集中力」「環境」「走ること」「健康」「チームワーク」「リフティング」「シュート」「蹴る力」「フェイント」「パス」「声を出すこと」「作戦」「頭脳」「個性」「まわりを見ること」
こんなにもたくさん出てきました。上手になる2つとは、どれなのでしょうか。子どもたちは、何を支持するのでしょうか。少し尋ねてみました。
発問2 サッカーが上手になる2つのものは、どれでしょう。2つ選んで、手をあげて下さい。
「えー!、選べないよ」という声があがりました。こんなにたくさんあるのだから、無理もありません。それでも予想をさせ、手を上げさせてみたところ、上位3つは次のものでした。
1位:チームワーク 15名
2位:練 習 14名
3位:やる気 10名
一番多かったのが「チームワーク」、その次が「練習」でした。
実は、この中には正解がありません。本当は何でしょう?
「えー!!」と、またまた声があがりました。「他にもまだあるの?」という顔をしています。それでも一生懸命に考えました。
「命」「足」「ボール」「気力」「支え」「ふんばり」「家族」「応援」「仲間」「信頼」
まだ正解は告げずに、こう付け足しました。
発問3 長沼さんの話を聞いて「同じですね。私たちの世界もそうです」と言った人がいます。どんな仕事の人だと思いますか?
- サラリーマン
- 野球選手
こう言ったのは、昔9年連続優勝した巨人軍の川上監督です。野球の世界でも同じだそうです。もう一人「同じです」と言った人がいます。東京で一番の進学校だと言われる日比谷高校の進学担当の先生です。勉強の世界でも同じなのですね。実は長沼さんと同じと答えた仕事の人とは、この2つなのです。
そういって、2つの言葉を黒板に書きました。子どもたちはどんなことが書かれるかと、しんとなって注目しています。
- あいさつ
- 整理整頓
長沼さんの話を聞いて、質問した人がいるそうです。
質問1 「あいさつや整理整頓ができなくても、サッカーが上手になる人はいますか?」
質問2「あいさつや整理整とんが、できる人でもサッカーが上手になれない人はいますか?」
長沼さんは、何と答えたと思いますか?
長沼さんは次の結果を示しました。
- あいさつや整理整とんができなくても、サッカーがうまくなれる 12名
- あいさつや整理整とんができないと、うまくなれない 22名
質問1「あいさつや整理整頓ができなくても、サッカーはうまくなれるのでしょうか?」
に対して長沼さんは、こう答えたそうです。
「いません。絶対にいません。何千人という選手を育ててきましたが、サッカーが上手になる人は、必ずあいさつや整理整頓がきちんとできる人なのです。なぜかはわかりません」
なかなか味わい深い話です。
長沼さんの話を紹介した後に、次のように板書をしました。
あいさつ →「人」とじょうずにつき合えること
整理整頓 →「物」とじょうずにつき合えること
こう黒板に付け足すと「あっ、人物って書いてある」と気づいた子がいました。確かに「なかなかの人物だ」と言われる人は、人や物とじょうずにつき合うことができる人です。
もう一歩この話を進めてみると、あいさつができるというのは、人の管理ができること、整理整頓ができるというのは、物の管理ができることと言えるのでしょうか。人に素直に教えを乞い、身の回りの事柄を一つ一つきちんとこなしていくことによって、初めて力がつくものだということを象徴した話です。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
(2015年1月時点のものです)
4 書籍のご紹介 (シリウス関連)
クラスがぎゅっとひとつになる!成功する学級開きルール&アイデア事典
5 編集後記
成功する人はなにか特別なものを持っている人のことではなく、あいさつと整理整頓という一見当たり前のことがきちんとできる人のことだということを学ぶことができました。これから無限の可能性を秘めている子どもたちにとって、あいさつと整理整頓という身近なことができる人が成功しているという事実は将来に対する希望にもつながってくるのではないかと思っています。このような授業が増えて、多くの教育現場に広がっていくといいですね。
(EDUPEDIA編集部 毎田優)

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